2022年7月29日金曜日

清水建設/大分・九重町にグリーン水素プラント始動、製造コスト低減へ実証

 清水建設が大分県九重町に建設していた低コストでグリーン水素を製造できる実証プラントが完成し、8月に実証運転を始める。地熱と木材などのバイオマス資源を活用。製造時の二酸化炭素(CO2)排出量を市販水素の10分の1以下、製造コストを再生可能エネルギーを使った水電解水素の3分の1以下にすることを目標に実証を行う。同社は実証事業で得たノウハウを生かし、中小地熱発電所に併設する実用プラントの自社開発も視野に入れる。
 28日に現地で実証開始式を開いた。築島明環境省九州地方環境事務所長や吉田一生大分県副知事、日野康志九重町長、清水建設の高井裕之LCV事業本部エネルギー事業部長らがテープカットし完成を祝った。スギのチップ材と地熱水の蒸気を使って水素を製造。品質・安全面からプラントが安定的に稼働できることを検証する。
 水素製造技術は清水建設と市川事務所(東京都新宿区、市川勝社長)、エネサイクル(宮城県大崎市、野村征充社長)、大日機械工業(横浜市西区、鳥巣秀幸社長)、ハイドロネクスト(大分市、永井正章社長)の5社が共同開発。実証プラントは環境省の「地域共創・セクター横断型カーボンニュートラル技術開発・実証事業」の一環で昨年11月から建設していた。
 実証プラントは木質チップの炭化炉と炭化物をガス化する改質反応器、水素精製装置で構成。1時間当たりの水素製造能力は50ノルマル立方メートルで、純度99・999%以上のグリーン水素を抽出・製造する。製造過程で生成する1070度の高温ガスを熱源とし電力使用量を抑制。余った高温排熱を地熱発電用水蒸気の追い炊き熱源に売熱することで製造コストを大幅に低減できるという。
 実証は11月30日まで約25日間の連続運転を3回行う。製造技術の確認とともに、プラントの安定的な稼働を検証。生産効率から推定した水素製造コストやCO2排出削減率などをリポートにまとめ、2023年3月に環境省へ報告する。
 清水建設は実証事業を踏まえ、中小地熱発電所に併設する水素製造実用プラントの自社開発にも取り組む予定。実用プラントの水素製造能力は1時間当たり250~1000ノルマル立方メートルを想定している。



source https://www.decn.co.jp/?p=144864

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