建設分野のDXについて考える「インフラDXシンポジウム」(主催・近畿建設協会、日刊建設工業新聞社)が6日、大阪市中央区のドーンセンターで開かれた。本年度は国土交通省がDX推進に向けた「挑戦の年」に位置付けており、シンポジウムでは3Dデータを活用した官民の取り組みや、生産性向上に不可欠な技術者の役割などを話し合った。官民の関係者ら約270人が参加し、オンラインで約500人に配信した。
冒頭、近畿建設協会の谷本光司理事長は「DXはトランスフォーメーションが重要だ。変革によってライフスタイルも変わる。自分自身が取り組み、努力しないといけない。シンポジウムを何をすべきかを考えるきっかけにしてほしい」とあいさつ。
国交省の佐藤寿延官房技術審議官は「通信の技術に加え、情報とデータをどう使い、現場にどうフィードバックして生産性と効率性を高めるかの大きな挑戦になる。従来の常識にとらわれない新しい取り組みへの機運を高めてほしい」と話した。
基調講演で国交省総合政策局の岩崎福久公共事業企画調整課長は「インフラDXへの挑戦」をテーマにICT施工の普及に向けた取り組みなどを紹介。アドバイザー制度やeラーニングなどを説明するとともに、小規模現場で普及させるには「小型バックホウのICT化が重要になる。マシンガイダンスを使い、安価で施工できる環境が整備されている」とし、施工経験がない企業に「体験することで今までとの違いが分かり、その効果を実感できる。それを社内や社外にも発信してほしい」と期待した。
続いて「DXに向けた企業からの挑戦」と題しリレートークが行われ、日本建設業連合会(日建連)関西支部から大成建設技術センター生産技術開発部スマート技術開発室の片山三郎課長、OCF(CADソフトウエアベンダー団体)から福井コンピュータ関西営業所の村田真悟所長代理、建設コンサルタンツ協会(建コン協)近畿支部から中央復建コンサルタンツの森博昭ICT戦略室長が、それぞれの会社や団体の取り組み、DXに関わる現状を紹介した。
パネルディスカッションのテーマは「地域建設業からBIM/CIM施工への挑戦」。立命館大学総合科学技術研究機構の建山和由教授がコーディネーターを務め、道端組の道端健太社長、川嶋建設の松本英利土木工事部副部長、尾花組の谷口庸介社長、吉川組の鬼武利幸営業企画部副部長が地域建設業の課題や取り組みを討論。近畿地方整備局企画部の堤英彰技術調整管理官も加わり、建設業を巡る整備局の取り組みなどを説明した。
道端氏は「3Dデータで施工の効率化が図られている。ただ、2Dの図面は完成形や作業手順をイメージできた。3Dだけにせず、2D図面や丁張りも覚えるようにしないといけない」と指摘。松本氏は「ICT施工が当たり前になり、丁張りがあると作業がしにくいという声もある。今は3Dデータを作成できる職員の育成が課題」と話した。
松本氏は「受発注者ともに同じ方向を向いてインフラDXを推進する必要がある」と強調。鬼武氏は「ICT施工のノウハウがたまり、施工の実績を上げるとともに省力化につながっている」と話した。
続いて、近畿2府5県の建設業協会の会長らがオンラインで登場し、建設分野のDX推進に向けて決意を述べた。
最後に建山氏は「いまは新しい技術を取り入れ、課題を解決できる時代の中にいる。多くの方が自分ごととしてとらえ、前向きに変えていく取り組みを結集することで改革ができる」と締めくくった。
source https://www.decn.co.jp/?p=144179
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