2022年7月20日水曜日

大林組/鋼製支保工のひずみ無線計測システム開発、リアルタイムに監視

 大林組は山岳トンネル工事で鋼製支保工のひずみをワイヤレスで計測するシステム「ハカルーター」を開発した。ひずみの計測データを無線でタブレット端末に送り、リアルタイムで監視する。ひずみが規定値を超えると、警告灯の音と光で作業員に危険を知らせて迅速に退避。安全な作業環境を確保する。従来の計測システムで必要だった場内や切羽近くへの配線作業が不要となる。
 ハカルーターは、計測データの「送受信機」、受信データを表示する「計測用タブレット」、警報を発する「警告灯」で構成する。場外で組み立てる鋼製支保工に送信機を取り付け、ひずみゲージで計測したデータを無線で受信機に送信し、タブレットに表示する。送信機と受信機の距離は最大50メートルまで対応できるため計測値を安全に確認できる。鋼製の防護材で送信機を覆えば、発破による爆風や振動、坑内湧水に対し高い耐久性を発揮する。
 場外で設置が完了するため、切羽でのケーブルの配線や防護作業が不要。鋼製支保工を組んだ直後からひずみを計測できる。複数台の計測データは一台の計測用タブレットで一元管理する。ひずみが規定値を超えた場合、警告灯からの音と光で作業員に危険を知らせる。送受信機は約1カ月間、バッテリーの交換をせず継続して計測できる。
 送信機は繰り返し使用可能。従来よりもひずみの計測に要する費用が2割程度削減する。過去の計測事例から将来的に発生する応力を予測し、管理基準値と比較できる。支保工の適合性を早期に判断でき、鋼製支保工の変形が発生する前に対策を打てる。
 今後、積極的に現場適用し、切羽の崩落災害の防止に努める。支保工の適合性を速やかに判断し、工期短縮につなげる。
 山岳トンネル工事では、軟弱な地山をアーチ状の鋼製支保工と吹き付けコンクリートで支えるが、切羽の状態を目視し鋼製支保工の形状や設置間隔を決定していた。鋼製支保工のひずみ計測は、切羽直近で配線作業を行うため、岩石の落下などのリスクを伴う。従来の目視や有線の計測システムではひずみの増大をリアルタイムで検知できないため、作業員への警告が遅れることがあった。



source https://www.decn.co.jp/?p=144571

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