2022年7月5日火曜日

鉄建建設/坑内自動運転バッテリー機関車を公開、AIカメラで障害物判別

 鉄建建設は6月25日、東京都北区の地下で掘進中の配水管用トンネル坑内で、無線LANとAIカメラを用いてバッテリー機関車が無人で自動走行する様子を公開した。セグメントを運ぶ台車を牽引(けんいん)する機関車に装備した高精度のAIカメラが、走行の支障となる人や物を判別して注意喚起や自動停止を行う。当日は地下約33メートル、坑内入り口から約650メートルの地点で機関車を試走させ、運転の精度を確かめた。
 バッテリー機関車の運転を無人化し、長距離の狭い空間で作業員の安全確保と生産性向上を図るのが目的。鉄建建設によると、トンネル坑内で無線LANを使った自動運転システムは業界初という。
 導入現場は北区王子5丁目と同区昭和町3丁目をつなぐ約2キロの配水管用トンネル。内径は1850ミリの小断面で、現在約830メートルまで掘り進めた。シールドマシンがある区間とそこまでに至る区間で計2台の機関車を運用する。
 試走では狭く照明も限られる坑内を機関車が自動走行して、レール上に残る作業員を検知すると、赤色灯を回転させて警告し数メートル手前から徐行運転を開始。作業員が退避しない場合は自動停止した。スチール缶のように動かない障害物では検知後にゆっくりと停止した。
 無線LANユニットは側壁に約100メートル間隔で設置されており、GPS(衛星利用測位システム)が届かない地下深くでも、地上の現場事務所にある制御室で現在位置と進行方向をリアルタイムに把握できる。車体前後に取り付けたカメラの映像も同時送信する。
 開発した同社土木本部機電部部門長の谷崎英典部長は「トンネル断面が大きく作業員と機関車のルートを完全分離し、監督官庁の承認を得られれば、さらに速い運転が可能になる。より性能を発揮できる」と話す。一方で急カーブの走行などには改良の余地があるという。
 機関車は今後、大阪府内のシールド工事の現場でも導入予定。将来的には通信環境を生かし、ウエアラブル端末による作業員の健康状態の監視なども検討している。



source https://www.decn.co.jp/?p=144098

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