2022年7月14日木曜日

鹿島/超高層向け解体工法を開発、スラブを斜めに切断・支保工の存置不要

 鹿島はスラブを斜め方向に切断し、仮設支保工の存置を必要としない新たな解体工法を開発した。スラブを大割のブロックで切断して、建物内部の大型揚重開口からつり下ろし、地上階で破砕。粉じんの飛散・風散リスクを伴う作業を密閉された建物内部で完結できる。風の影響を受けず、外部に解体ガラが落下するリスクを抑える。
 新開発の「鹿島スラッシュカット工法」は▽斜め切断カッター▽スラブ切断兼つり上げ治具▽4点自動つり上げ装置▽スラブ切断ノロ水脱水装置-の四つで構成。切る、つる、下ろすのフローで作業を効率化した。
 「斜め切断カッター」は新開発技術。スラブを斜め方向に切断し、隣接するスラブが荷重を支えるため階下にスラブの落下を防ぐ支保工を存置せずに済む。先行して下層階のスラブ解体に着手でき、工期短縮を実現する。スラブ切断時に発生するノロ水をろ過・脱水する装置は、ノロ水を脱水ケーキにし廃棄物を削減。ろ過・脱水後の回収水は再生水として循環させ、スラブ切断に再利用する。
 切断したスラブは建物内部に設けた12メートル×9メートルの大型揚重開口内を通じタワークレーンで1階までつり下ろし、地上で小さく解体する。できるだけ大割のブロックに分けてクレーンで下ろすため効率よく短工期で解体できる。
 鹿島は同工法を世界貿易センタービル(東京都港区)の既存本館解体工事に適用。最高高さ162メートルの超高層ビルで、解体される建物としては国内最高という。同工法を適用することで通常7日間かかる1フロア2500平方メートルの解体を5日間で実施可能。1割程度工期を短縮する。解体重機も12台から6台に半減できるため二酸化炭素(CO2)排出量も抑制できる。風散・飛散や騒音を大幅に低減し、解体工事を本格化した。
 超高層ビルの従来の解体方法として、最上階で重機を使って破砕する「階上解体工法」と、建物をブロック状に解体する「ブロック解体工法」があった。ただ、これらの方法は解体ガラの落下リスクや最上部での粉じんの飛散、騒音などの問題があるほか、切断したスラブをつり下ろすまで支える仮設支保工の残置量が多くなる。コストの増加や工期が長くなってしまう課題があった。



source https://www.decn.co.jp/?p=144344

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