国が提唱する上下水道事業の広域化・共同化に関連し、新たな先導事例が出てきた。大分県杵築市と国東市が上下水道施設の維持管理や運営を長期間まとめて民間委託する方針を決めた。水道と下水道を合わせた2市連携の包括委託は全国初の試みとなる。国も両市の取り組みを先進的と評価し財政支援している。具体的な広域化や共同化の進め方を決めていない全国の自治体に水平展開する。
杵築、国東両市は人口減少による財政難や上下水道担当職員の不足に伴い2市連携による上下水道事業の包括委託を立案。下水道事業を所管する国土交通省の2021年度「先導的官民連携支援事業」に採択され、補助金を受け事業スキームを検討してきた。20日に検討内容に関する報告書を公表した。
包括委託の検討対象地域では、現在も下水道分野で複数自治体による連携体制が存在する。杵築、国東両市と大分県姫島村の3自治体が「下水道船団方式」を採用。杵築市と姫島村が国東市に汚水処理を委ね、負担金を支払っている。
今後も3市村による船団方式は維持する方向。その上で杵築市と国東市が包括委託に乗りだす。水道分野は杵築、国東両市が管理している浄水場や管路の維持管理、利用者向けの営業といった事業全般をまとめて民間に委託。下水道分野では船団方式でカバーできていなかった、管渠の維持管理を包括委託の対象に加える。
対象分野が汚水処理に限定される既存の船団方式は当面残すが、包括委託の枠組みに段階的に吸収。最終的には上下水道事業全般の包括民間委託を実現する。両市は24年度に事業者を公募し、25年度の事業開始を目指している。杵築市は包括委託の枠組みが「橋梁の点検や公園の維持管理など、上下水道以外のインフラ分野にも活用できる可能性がある」(上下水道課)と期待する。
国は下水道事業の「広域化・共同化計画」、水道事業の「水道広域化推進プラン」を本年度末までに策定するよう都道府県に求めている。今回の先導的な取り組みで維持管理の効率化などが確認できた場合、成功事例が同様の課題を抱える多くの市町村に役立つことが期待される。
source https://www.decn.co.jp/?p=144715
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