日本建設情報総合センター(JACIC、深澤淳志理事長)は、土木分野で画像・映像データの利活用を広める方策をまとめた提言を公表した。ICTの進展で画像・映像を単なる記録や目視の代替だけでなく、より高度な評価・判定に活用可能と指摘。土木分野で利活用が求められる領域・プロセスを明示し、関連要領・基準類に反映する重要性を説いた。提言内容を国土交通省や地方自治体に周知し、実現場での適用を目指す。
JACICが事務局を務める産学官の有識者会議「社会基盤情報標準化委員会」の特別委員会(委員長・皆川勝東京都市大学名誉教授)がまとめた。全方位カメラやドローン撮影、AIによる画像分析、VR(仮想現実)・AR(拡張現実)などが発展する中、その利活用に向けた体系的な検討が土木分野で十分に行われていないという問題意識が背景にある。
提言では画像・映像と撮影対象物の属性状況を組み合わせることで「評価・判定」が可能になる側面を強調。画像・映像データのマネジメントで意思決定の高度化が可能と訴える。
既存技術や利活用事例を分析すると、対象としてコンクリート構造物やアスファルト、土構造物、鋼構造物が多かった。画像・映像はひび割れなどの損傷や変状の把握に適しているからだ。
土木分野のうち建設プロセス別に利活用事例を見ると、道路関連の維持管理や河川関連の災害対応が目立つ。AIや3D点群モデルを活用し舗装や橋梁、トンネルの損傷を見つけたり、画像解析で河川の流速や流量を把握したりする。AR・VRを用いた配筋検査に利用するケースもあった。
事例数が多かったり利活用場面が明確だったりする技術は標準化が望ましく、要領・基準類の作成、反映につなげることが重要とした。自動車や鉄道、防犯といった他分野の先行事例を参考に、建設分野で高度な利用につなげる有効性も指摘。これを機に業務の仕方を変革し、建設プロセスの生産性向上に寄与することに期待を示した。
source https://www.decn.co.jp/?p=144124
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