JR東日本は20日、新幹線の高架橋上にあるコンクリート柱を鋼管柱に効率良く交換する専用車両を東京都北区の田端保守基地で報道機関向けに公開した。クレーンなどを搭載した車両を四つ連結して電柱を引き抜いたり、運搬したりする。4・5時間程度かかっていた従来よりも約1時間短縮できる。同社は2024年度までに3編成を追加した4編成体制を敷き、27年度末にも約4000本の耐震化を完了する考え。
高架橋に設置されている電柱は車両給電用の架線である「トロリ線」、変電所からトロリ線に電力を供給する「き電線」などを支持している。11年3月に発生した東日本大震災などを教訓に、JR東日本は大規模地震に備えた耐震対策を加速。その一環で新潟トランシス(新潟県聖籠町、石塚武文社長)と共同で電柱建て替え用車両を開発した。
全長約52メートルの専用車両は▽電柱用高所作業車▽装柱作業車▽電柱建植車▽電柱運搬車-で構成する。うち高所作業車は最大約23メートルまで上昇するアームの先端に作業員2人が搭乗できるバケットを持つ。最大作業半径は約15メートル。電柱上部のき電線などを支持する金具を安全に取り外せる。
装柱作業車は、トロリ線を支持する金具を仮受けする役割を担う。高速で走行する新幹線に安全な給電を行うため、「トロリ線の高さを変えずに作業できるのがメリット」(恩田義行新幹線統括本部新幹線電気ネットワーク部技術計画ユニットリーダー)という。
最大約27・5メートル伸びるクレーンを搭載した電柱建植車で電柱を引き抜き、鋼管柱に交換する。重さ約3・3トンのコンクリ柱を引き抜くため、つり能力は最大約16トンに上る。その後、電柱運搬車(全長約20メートル)にコンクリ柱を積み込む。
専用車両は高架下の環境にかかわらず、短い作業間合いで効率的に電柱の取り換えを可能にする。作業ヤードを確保するために行っていた道路使用の許可も不要だ。JR東日本が管理する新幹線の電柱は計約2万本。21年度末時点で約2250本の耐震化を終えている。21~27年度末に電柱上下部の補強や鋼管柱への交換を含め、約4000本の電柱を耐震化する方針だ。
source https://www.decn.co.jp/?p=144617
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