長大は6日に広島県福山市で、2025年の日本国際博覧会(大阪・関西万博)への出展を目指す「空飛ぶクルマ」(電動垂直離着陸型航空機)の実証実験を行った。2人乗りの機体を地上30メートルまで上昇させた上で、海岸沿い約450メートルを無人飛行した。空飛ぶクルマによる海上の飛行実験は国内初の試みだ。
人・夢・技術グループの永冶泰司社長は「空飛ぶクルマが実現すれば地方の人も気軽に病院に行けるし、医師による山間部などへの往診も可能になる。生活の利便性や安全性が大幅に向上するだろう」と期待を込めた。
実証実験を行ったのは福山市の海水浴場。空飛ぶクルマの中国メーカー、EHang(イーハン)製の機体を使用した。機体はコンピューターで遠隔制御し、離着陸と飛行を無人で行った。機体は450メートル程度の距離を往復。海上も問題なく安定飛行できることを確認した。
長大の野本昌弘社長は「(空飛ぶクルマは)日常生活の利便性に加え、災害時の救出活動や、水などの物資の運搬にも有効だ。今回の実験でこれらの実現に向け一歩前進できた」と手応えを示した。
実証実験を担当した長大の菊地英一執行役員事業戦略推進担当は「かなりの確度で安定飛行できることを確認できた」と主張。実現に向けた今後の取り組みについては「実用化した際の騒音の問題などにも対応していく。空飛ぶクルマをどう社会インフラに適用するかという観点で、課題を一つ一つ解決していきたい」と語った。
同社は道の駅や高速バスターミナルといった陸上交通の企画設計やPPPによる運営の実績を持つ。これらの実績に加え、ドクターヘリ用のヘリポートのある病院の設計を通じて得たノウハウを生かし、空飛ぶクルマの離発着場を含めた街づくりへの参入を狙う。
長大は経済産業省や国土交通省らによる「空の移動革命に向けた官民協議会」に参画している。空飛ぶクルマの実現に向け▽社会実装に向けた制度策定▽離発着場の導入・評価▽建築・構造設計、設備設計、災害対応といった実装▽PPP運営、維持点検、自治体導入支援などの展開-の4点を検討している。
協議会が3月にまとめたロードマップによると、25年の大阪・関西万博までは試験飛行や実証実験の期間に位置付けられる。万博以降は20年代後半に商用運行の拡大、30年代以降にサービスエリアや路線・便数の拡大を目指すとしている。
source https://www.decn.co.jp/?p=144152
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