建設関係団体の2022年度定時総会が6月末までにほぼ終了した。多くは対面形式で行われ、3年ぶりに懇親会を開いた団体もあった。建設資材の価格高騰など業界を取り巻く環境は厳しさを増している。参院選も終わり今後は、編成が想定される国の22年度第2次補正予算での公共事業関係費確保が焦点となる。各団体の本年度事業計画や幹部の言葉を振り返り、当面の課題や展望を探る。
「建設業の変革を目指していく中で利益が上がらない状況では前向きな取り組みができない。技能者の適正な給与支払いにも水を差しかねない」。日本建設業連合会(日建連)の宮本洋一会長は、過去に例がない資材の大幅な値上がりに危機感を募らせる。
日建連は民間発注者に資材高騰の現状を説明する資料としてパンフレットを作成。経団連(十倉雅和会長)にも会員への周知を要請した。今後は政府による補正予算編成を想定し、公共事業費の確保とともに物価高騰で民間建設投資が落ち込まないような経済対策を求める方針だ。
「労務単価引き上げなどの施策が下請も含む建設業全体の賃上げに適切に反映されるよう取り組んでいかないといけない」と話すのは全国建設業協会(全建)の奥村太加典会長。防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策に充てる公共事業費の支出平準化とともに、対策終了後のいわゆるアフター5カ年対策と予算確保の必要性を訴えた。
全国中小建設業協会(全中建)の土志田領司会長は、市町村を中心とする地方自治体発注工事の依存度が高い会員の特性を踏まえ、安定経営に向け「最低制限価格率95%以上」を呼び掛けた。依然として予定価格から10%以上低い安値受注を容認している事例がある背景も説明した。
業界にとって24年4月適用の時間外労働の罰則付き上限規制への対応も喫緊課題だ。日本埋立浚渫協会(埋浚協)の清水琢三会長は受発注者協働で週休2日(4週8休)に努める一方、協力会社で働く技能者の賃金が減らないよう取り組んでいくことを強調。「社会的課題に対し責任のある、持続的にきちっとやっていける業界だという方向付けをしていきたい」と述べ、現場の生産性を高める技術革新に意欲を示した。
日本道路建設業協会(道建協)の西田義則会長は、ストレートアスファルトの高騰分が合材販売価格に十分に転嫁されず「合材製造産業の収益を圧迫している」と説明。価格転嫁に関する国土交通、経済産業両省の通知を紹介した上で「適正な価格転嫁の実現に努力する」と力を込めた。
source https://www.decn.co.jp/?p=144245
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