国土交通省は技能労働者の処遇改善を一段と推進する方策として、重層下請構造の改善に焦点を当てた取り組みを始める。重層化の非効率性などを解消し、末端技能者にも適正な賃金が確実に行き渡る状況をつくる。その一環で複数の都道府県が発注工事で導入する下請次数制限制度の運用状況を調査。いずれも問題なく運用され、むしろ受注者側の利益向上や施工体制の明確化に効果が挙がっていることが判明した。こうした制度導入をほかの地方自治体にも先進事例として周知していく考えだ。
中央建設業審議会(中建審、柳正憲会長)での直近の議論と連動した取り組みとなる。技能者の平均年収が公共工事設計労務単価の伸びに追い付いていない現状を踏まえ、国交省は設計労務単価相当の賃金が全体に行き渡るよう徹底させる方策が必要と指摘。重層下請構造が元下間の請負金額に与える影響を検証する必要性など課題を挙げた。
国交省が下請次数制限に関する都道府県の取り組み状況を調査するのは2018年以来2回目。18年時点で導入していた▽埼玉▽新潟▽福井▽京都▽鳥取▽長崎-の6府県(うち1県は総合評価の加点措置)の運用状況をフォローアップするとともに、それ以降に▽三重▽宮城-の2県が導入したことも分かった。
建築工事を「3次」、それ以外を「2次」までに制限しているケースが多い。運用状況を聞くと「ほぼ制限以内に収まっている」(京都)、「工事全体で下請契約している工事が7割から5割に減少」(福井)、「土木工事は導入前から2次下請以内がほとんど」(鳥取)、「次数制限を超えた工事は直近3年で平均0・6%程度」(三重)、「過去に契約後の不履行は発生していない」(長崎)などと回答。導入後に制度を撤回した事例もなかった。
受注者から寄せられたメリットとして「次数が減り施工体制が明確化した」(埼玉)、「元請の売り上げが上がった、法令順守の意識が高まった」(新潟)、「元請の施工体制管理の改善、下請の利益向上」(宮城)との声があった。
source https://www.decn.co.jp/?p=144271
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