2022年7月29日金曜日

国総研/DXデータセンター本格稼働へ、BIM・CIM中小企業導入しやすく

 国土技術政策総合研究所(国総研)が構築している「DXデータセンター」が近く本格稼働する。中小規模の建設会社でもインターネット経由でBIM/CIMを扱えるようになり、受発注者でデータを共有した打ち合わせも可能。国土交通省が2023年度に目指す小規模構造物を除く直轄工事のBIM/CIM原則適用が迫る中、地方部の中小企業がBIM/CIMを導入する際の負担軽減が期待できそうだ。
 国交省の内部ネットワークを通じ地方整備局などの職員は4月から運用可能となっている。工事・業務の受注者の作業領域などを構築している段階で、8月末から9月の初めにインターネット経由で受注者もアクセスできるようになる。
 DXデータセンターには各事務所が保管するBIM/CIMなどの3Dデータを集約し一元管理する。受発注者でデータを共有する際の通信負荷が減り、ウェブ会議システムでの工事の打ち合わせなどに活用できる。BIM/CIMを扱うための高性能パソコンや専用ソフトは必要なく、中小企業の受注者には費用面の負担軽減にもつながる。
 現状の機能はデータの閲覧に限られるが、データの作成や編集、分析、加工、統合などのサービスを追加で提供できるようになれば活用の幅は広がる。国総研は民間事業者と連携しデータの作成・編集機能などを有償で提供するソフトの追加搭載を準備している。
 有償ソフトの利用環境の構築に向けた実証実験を12月ごろに開始する。ソフトの提供元として▽オートデスク▽川田テクノシステム▽フォーラムエイト▽福井コンピュータ▽ESRIジャパン▽アイサンテクノロジー▽三英技研-の7者と協定を結んだ。
 実証実験では各整備局からモニターとなる事務所と受注者(建設会社や建設コンサルタント)を募る。例えば受注者がソフトの利用契約を結び、DXデータセンター内でBIM/CIMを作成・編集。発注者との打ち合わせや段階確認に活用する。ソフト利用の分析結果などに基づきビジネスモデルの妥当性を評価しシステム改善につなげる。



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竹中工務店/RC・S造建築物の遮音・耐震性を補完、架構システム一部に木材

 竹中工務店は28日、RC・S造建築物の架構システムの一部に木を組み込み、遮音や耐震性能を補完する設計技術「KiPLUS(キプラス)」を構築したと発表した。初弾としてCLT(直交集成板)壁を配置し地震力などを負担させる「KiPLUS WALL(キプラスウォール)」を開発。木造・木質化の新シリーズとして中高層木造ハイブリッド建築へ積極的に展開していく。
 キプラスウォールは第三者機関の構造性能評価を取得。RC、S造に木を組み合わせた架構システム全体で地震力に対する必要な効力を発揮する。従来に比べて柱や梁の断面をスリム化でき、計画の自由度も向上。内装材として使え、意匠性を付加できる。
 S造に使う場合は鉄骨梁・柱のフレーム内にCLTパネルをはめ込んで接合する。必要に応じて引っ張りを負担させる補強材(タイバー)を設け、鉄骨とパネルの接合部に無収縮モルタルを充てんする。火災時にCLT壁が燃えても無収縮モルタルが熱を吸収し本体フレームへの熱伝達を防ぐ。
 RC造ではCLTパネルの上下端を凹凸に加工。鉄筋コンクリート上に配置し空隙部分に無収縮モルタルを充てんする。
 構造性能評価を取得して以降、4件の施工実績があり現在は5件を施工中。今後はシリーズとして他の建築部材への展開も検討していく。同社は中高層木造ハイブリッド建築の普及拡大に向け、シリーズ化している耐火集成木材「燃エンウッド」や耐震補強技術「T-FoRest」も積極的に展開。国産木材の活用を促進し脱炭素社会の実現に貢献していく考えだ。



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清水建設/大分・九重町にグリーン水素プラント始動、製造コスト低減へ実証

 清水建設が大分県九重町に建設していた低コストでグリーン水素を製造できる実証プラントが完成し、8月に実証運転を始める。地熱と木材などのバイオマス資源を活用。製造時の二酸化炭素(CO2)排出量を市販水素の10分の1以下、製造コストを再生可能エネルギーを使った水電解水素の3分の1以下にすることを目標に実証を行う。同社は実証事業で得たノウハウを生かし、中小地熱発電所に併設する実用プラントの自社開発も視野に入れる。
 28日に現地で実証開始式を開いた。築島明環境省九州地方環境事務所長や吉田一生大分県副知事、日野康志九重町長、清水建設の高井裕之LCV事業本部エネルギー事業部長らがテープカットし完成を祝った。スギのチップ材と地熱水の蒸気を使って水素を製造。品質・安全面からプラントが安定的に稼働できることを検証する。
 水素製造技術は清水建設と市川事務所(東京都新宿区、市川勝社長)、エネサイクル(宮城県大崎市、野村征充社長)、大日機械工業(横浜市西区、鳥巣秀幸社長)、ハイドロネクスト(大分市、永井正章社長)の5社が共同開発。実証プラントは環境省の「地域共創・セクター横断型カーボンニュートラル技術開発・実証事業」の一環で昨年11月から建設していた。
 実証プラントは木質チップの炭化炉と炭化物をガス化する改質反応器、水素精製装置で構成。1時間当たりの水素製造能力は50ノルマル立方メートルで、純度99・999%以上のグリーン水素を抽出・製造する。製造過程で生成する1070度の高温ガスを熱源とし電力使用量を抑制。余った高温排熱を地熱発電用水蒸気の追い炊き熱源に売熱することで製造コストを大幅に低減できるという。
 実証は11月30日まで約25日間の連続運転を3回行う。製造技術の確認とともに、プラントの安定的な稼働を検証。生産効率から推定した水素製造コストやCO2排出削減率などをリポートにまとめ、2023年3月に環境省へ報告する。
 清水建設は実証事業を踏まえ、中小地熱発電所に併設する水素製造実用プラントの自社開発にも取り組む予定。実用プラントの水素製造能力は1時間当たり250~1000ノルマル立方メートルを想定している。



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静岡県沼津市/市街地公共空間再編整備検討業務、日建設計JVに

 静岡県沼津市は、公募型プロポーザルを実施した「令和4年度沼津市中心市街地まちづくり戦略公共空間再編整備に向けた検討業務委託」の委託先に、日建設計・計量計画研究所・SOCIJVを選定した。沼津駅周辺総合整備事業の本格展開に合わせ駅周辺を「ヒト中心の公共空間」とするため、歩行者空間を拡張するための整備手法や沿線の商業関係者らとの協議、社会実験に向けた検討などを進める。
 沼津駅付近の連続立体交差事業が進めば、南北に分断されている駅周辺の一体的な開発が可能になる。このため、市は2020年3月に中心市街地まちづくり戦略を策定し、沼津駅周辺総合整備事業と併せて取り組むべき施策の方向性として▽ヒト中心の公共空間の創出▽拠点機能の立地促進▽まちなか居住の促進と市街地環境の向上▽周辺地域資源との連携-の四つの戦略を示した。
 このうち、ヒト中心の公共空間の創出は、駅と隣接街区を含む幹線道路ネットワーク(駅まち環状)内の約30ヘクタールを対象に、車中心からヒト中心の公共空間に再編する。業務では、拡張する歩行者空間に対する沿道事業者の活用ニーズや求められる設備、空間再編の整備手順、概算工事費などを算出する。
 一般車乗降場の分散化に向けた社会実験の検討、居心地が良く歩きたくなる空間とするため駐車場出入り口の在り方の検討、駅まち環状内の荷さばきの実態調査なども行う。まちづくり戦略で示された中・長期の将来像の実現に向けたスケジュール検討や概算事業費の算出も行う。
 そのほか、市民や有識者、行政などで構成する「まちづくり戦略会議」や「ワーキンググループ」などの運営支援、公共空間の再編や利活用など街づくりに対する関係者の意識醸成を目的とした「沼津まちなかデザイン会議」の運営支援を行う。履行期間は23年3月31日まで。



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京成電鉄/京成本線荒川橋梁架け替え、10月にも着工へ

 京成電鉄は10月にも「京成本線荒川橋梁架替事業」に着手する。周囲の堤防に比べ高さが約3・7メートル低くなっている荒川橋梁を、約15メートル北側の位置でかさ上げし架け替える。周辺の堤防や資材運搬路なども整備する。事業延長は京成関屋駅(足立区千住曙町2の2)~堀切菖蒲園駅(葛飾区堀切5の1)間の約1・5キロ。橋梁の延長は約500メートルとなる。2037年度の事業完了を目指す。
 工事は4工区に分けて行う。右岸取り付け部(東京都足立区)の第1工区は延長594メートル。大林組・東急建設・鉄建建設JVが施工する。仮線工法ではなく当初から計画線を築造する工法で、計2回の線路切り替えを行う。
 中央部の第2工区(218メートル)は奥村組・安藤ハザマJV、第3工区(317メートル)は大成建設・京成建設JVが担当。橋脚を築造し、トラス橋を架設する。新線切り替え後に既存鉄道橋梁を撤去する。
 左岸取り付け部(同葛飾区)の第4工区は清水建設・京成建設・錢高組JVが工事する。仮線工法を用い、仮線に線路が切り替わった後に計画線を築造する。線路切り替えは計4回となる。
 荒川橋梁は京成電気軌道(現・京成電鉄)の青砥~日暮里駅間の開業に伴い1931年に完成した。地下水の工業用くみ上げなどによる地盤沈下で橋梁の位置が低くなり、水害時に浸水する危険が高くなっているため、関東地方整備局が京成電鉄に委託して架け替えることにした。



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2022年7月28日木曜日

関東整備局東京国道/品川出張所をDX化改修、フリーアドレスや遠隔臨場に対応

 関東地方整備局東京国道事務所は品川出張所をDX化改修する。関東管内の出張所をDX化するのは初めて。12日にネットワークなどの改修工事、27日には内装改修工事の入札を公告した。本年度第4四半期の開所を予定している。関東整備局のBIM/CIM・DX推進道路ワーキンググループ(WG)では、同出張所をDX先行モデル出張所と位置付けており、フリーアドレスやペーパーレス化を進め、最先端の拠点出張所づくりを目指す。
 品川出張所はRC造3階建て延べ944平方メートルの規模。所在地は東京都品川区八潮1の1の3。国道1号、15号、357号などの維持管理と品川駅周辺の再開発に伴うデッキ・交通拠点整備などを担当している。
 改修では職員の執務スペースをフリーアドレス化するとともに、会議室などにモニターを備え遠隔で会議などができるようにする。遠隔臨場にも対応。受注者などの打ち合わせもペーパーレス化する。
 品川出張所のDX化に合わせて道路分野のDXとして取り組んでいるGIS(地理情報システム)プラットフォームの活用も本格化。道路管理の生産性向上にも一層力を入れて取り組む方針だ。



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4~6月建設受注4年ぶり3兆円超、堅調な民間工事けん引/日建連会員

 日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は27日、会員94社の6月の建設受注調査結果を公表した。2022年度第1四半期(4~6月)の受注額は前年同期比19・9%増の3兆4113億円と、4年ぶりに3兆円を上回った。コロナ禍から回復し高水準で推移している民間工事が大きく伸びた一方、官公庁工事は減少した。
 受注額の内訳は国内が14・6%増の3兆1749億円、海外が213・4%増の2364億円だった。国内は民間が31・4%増の2兆4506億円、官公庁が20・3%減の7145億円、その他が11・6%増の97億円。
 民間は製造業が95・0%増の6365億円、非製造業が17・8%増の1兆8141億円。製造業の業種別では調査対象の全8業種(繊維、化学、鉄鋼、電気機械、輸送用機械、その他機械、食品、その他)が増え、非製造業は鉱業・建設業や情報通信業、金融・保険業、不動産業、サービス業の5業種が増加した。
 官公庁は国機関が18・6%減の4796億円、地方機関が23・6%減の2350億円。国機関は国が12・1%増の2574億円と増えたものの、独立行政法人が16・4%減の405億円、政府関連企業が41・6%減の1816億円と減少。地方機関は都道府県が39・1%減の433億円、市区町村が43・7%減の1084億円、地方公営が92・8%増の670億円、その他が76・6%増の163億円となった。
 9地域別では東北と中国以外が増加。いずれも民間受注がけん引した。
 6月単月の受注総額は15・4%増の1兆5739億円となり、過去10年で最高だった。国内の民間は工場やオフィス、マンションなどで1件当たり数億円規模の大型物件が相次いだ影響もあり、22・2%増の1兆0998億円と過去10年で最高額を更新した。一方、官公庁は21・1%減の3181億円と低調だった。海外は過去10年で最高となる174・6%増の1494億円。大部分を東南アジアで受注した800億円規模の医療施設が占めている。



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セメント価格/追加引き上げ相次ぐ、需要減や石炭高騰に円安が追い打ち

 セメントメーカー各社によるセメント価格の追加引き上げが相次いでいる。27日にトクヤマが10月出荷分からの値上げを発表。住友大阪セメントも追加値上げする方針を固めた。UBE三菱セメントは10月出荷分からの追加値上げを発表済み。最大手の太平洋セメントは9月から石炭価格変動分を一部上乗せする。セメント需要の低迷と石炭価格の高騰に、円安が追い打ちを掛けている。「過去最悪の厳しい状況」(住友大阪セメントの諸橋央典社長)の打開へ価格転嫁を急ぐ。
 価格改定の主な動きを見ると、昨年12月出荷分からトクヤマが、1月出荷分から太平洋セメントとUBE三菱セメント(当時は宇部三菱セメント)、デンカ、麻生セメントが引き上げ。住友大阪セメントは2月出荷分から値上げした。その後、ロシアによるウクライナ侵攻が発生。世界第3位の石炭輸出国であるロシアとの取引が難しくなる中、世界的な石炭価格の高騰がさらに進行。急速な円安も加わり、セメント製造コストが上昇している。
 今月に入り、UBE三菱セメントが10月出荷分から1トン当たり3000円引き上げると発表。トクヤマは10月出荷分から同3300円以上の価格改定を目指し、商社らとの交渉に入る。
 住友大阪セメントの諸橋社長は、日刊建設工業新聞社の取材に対し「自助努力できる範囲を超えている。近々に第2弾の値上げを発表する」と明らかにした。
 セメント各社は、石炭価格を1トン当たり200~300ドル程度と見込んでいたが、現状は400ドルの水準に達している。「石炭の値上がりはまだまだ続く」(セメントメーカー広報)との見方も強い。太平洋セメントは石炭価格変動による影響のうち、一定割合の負担を顧客に求める「石炭価格サーチャージ制度」を9月に導入する。
 セメントのさらなる値上げは、生コンクリート価格に影響を及ぼす可能性が高い。生コン協同組合では、今年に入り卸値を引き上げる動きが相次いでいる。生コン業界関係者からは「コストアップが先行し、価格転嫁が追いつかない。このままでは経営が持たない」と悲痛な声も上がる。出荷ベースによる契約への変更を目指す協組も出ている。



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ジオマリンサービス/洋上風力の開発支援本格化、2社と連携で調査・設計・認証取得

 東光電気工事や若築建設らが出資するジオマリンサービス(GMS、東京都港区、吉住謙代表取締役)が、洋上風力発電事業の開発支援を本格化させる。日建設計と、洋上風力を設計するアイルランド企業の2社とそれぞれ業務提携した。欧州の最新技術を取り入れながら、日建設計の知見を生かし日本独自の環境に対応するのが目的。洋上風力発電設備の事前調査・基礎設計・認証取得の体制を整え、発電事業の開発をサポートする。
 GMSはCSS(東京都港区、吉住謙代表)、日本Geotechnology(同台東区、遠田敏弥代表)、東光電気工事、若築建設の4社が出資して4月27日に設立した。4社は風力発電事業の調査・開発、設計、施工の各分野で豊富な実績を持つ。東光電気工事は洋上風力発電設備の基礎となる国内初のモノパイル施工などで成果を残している。若築建設は陸上風力発電事業の施工で約180基(約500メガワット)の実績を持っている。
 GMSは洋上風力で先行する欧州企業と日本企業のノウハウや知見を掛け合わせ調査計画の立案や構造技術コンサルティングなどを推進するため、日建設計と、洋上風力の設計分野で3万5000メガワット以上を手掛けたGavin&Doherty Geosolutions(GDG、アイルランド)の2社と広域的に業務提携。3社のシナジー(相乗効果)を発揮し▽効率的な調査の実施サポート▽コスト競争力の高い風車基礎の設計▽風車基礎設計の認証サービス-の三つを展開する。
 GMSが調査と基礎設計、日建設計が構造技術コンサルティングと認証取得を所掌する。GMSとGDGによる欧州の洋上風力に関する最新ノウハウをベースに、効率的な調査計画を立案し実施を支援する。日建設計がこれまで培ってきたノウハウを生かし、風車基礎やタワーに関する構造技術コンサルティングに活用。日本の基準に準拠した価格競争力のある基礎デザインに反映する。GMSが欧州の知見に基づいて行う風車基礎設計に、日建設計が日本独自のルールを適合させ、認証取得の複雑な手続きを支援する。



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白海(北九州市)/三池港で浚渫工事見学会、小学生らがダイナミックな作業体感

 海洋土木の白海(北九州市若松区、石橋敬社長)は26日、福岡県大牟田市の三池港で、浚渫工事の現場見学会を開いた。親子連れの地元小学生や国土交通省にインターンシップ中の九州大学の学生らが参加。大型作業船に乗り込み、グラブバケットを使って行うダイナミックな浚渫作業のようすを間近で見る機会を得た=写真。
 見学会は同社の担い手育成活動の一環で実施。今回対象となった現場は九州地方整備局が発注し、同社が施工する「令和4年度三池港(内港北地区)航路(マイナス10メートル)浚渫工事」。
 石橋社長は子どもらに「今日は浚渫船という珍しい機械を見ながら勉強してもらう。ぜひ夏休みの宿題の素材に使ってほしい」とあいさつ。建設都市工学を専攻する学生には「日本の物流を支える港湾の整備に興味を持っていただけたらと思う」と語り掛けた。
 続いて九州地方整備局博多港湾・空港事務所三池港事務所の原田翔太氏が「くらし・産業を支える三池港」をテーマに港の役割や三池港の位置付け、浚渫工事の必要性や進め方などを分かりやすく説明。その上で白海が製作した「しゅんせつとは」と題する動画資料を鑑賞した。
 その後、実際に工事に使われるグラブ浚渫船に乗り込み、バケットで海底にたまった土砂をすくい取る模擬作業を間近で体感。操船室では、GNSS(全球測位衛星システム)で作業位置を特定したり、3D画像やソナーシステムで浚渫状況を確認したりする最新鋭の設備について解説を受けた。



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2022年7月27日水曜日

国交省/新たな時代のダムに「ハイブリッド」提唱、治水・利水と地域振興を実現

 国土交通省がダム整備の新たな方向性として「ハイブリッドダム」を提唱した。官民が連携し治水と利水、地域振興の三つを実現する新たな時代のダム像と捉える。河川管理者や発電事業者といった従来の関係者に加え、異業種の企業も参画する特別目的会社(SPC)を設置。治水・利水能力の増強や水力発電を使った地域振興などの取り組みを一体的に推進できる体制を整える。今後は民間とのサウンディング(対話)型市場調査を通じて事業スキームを具体化する。
 斉藤鉄夫国交相が26日の閣議後会見で発表した。斉藤国交相は「今後は水力発電や地域振興に関心のある民間企業などと意見交換しながら、取り組みの具体化に向けた検討を行っていきたい」と述べた。
 ダム管理者は従来通り、治水能力の拡充に向け堤体のかさ上げや堆砂除去、放流設備の改修などを推進。貯水量を増やして治水能力を高めるとともに、水力発電に使える水量も確保する。発電事業者は発電設備の新設や増強に取り組む。
 水力発電でつくる電力は周辺で電気自動車(EV)バスの運行に使ったり、データセンターなどの事業所を誘致して消費したりして地域振興につなげる。ダム周辺の遊休地を活用した太陽光発電も想定している。
 ダムの運用面では、治水と利水の両方に割り振れる貯水容量「ハイブリッド容量」の考え方を導入する。平時は貯水量を満杯にして発電。一方、降雨が見込まれる時は可能な限り減らし、増水に対応する。
 対話型市場調査は9月12日~10月7日に、東京都千代田区の同省内かウェブで実施する予定。8月5日にウェブで公募説明会を開く。申込書類は9月6日までに水管理・国土保全局ハイブリッドダム事務局へのメール(hqt-hybriddam@mlit.go.jp)で提出する。
 詳細は国交省ホームページ(https://www.mlit.go.jp/river/dam/hybridsounding.html)へ。



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大建工業/農業・園芸事業を展開、菜園システム中心に3年で売り上げ10億円へ

 大建工業は新たに農業・園芸事業を展開する。2021年に開発した木質培地「グロウアース」を使った菜園システム「プチまち菜園」の提供を来年度にも開始する。グロウアースの提供やプランターの管理をパッケージ化したサービスを想定。屋上など都市部の庭園でも気軽に花や野菜の栽培が楽しんでもらう。3年間で総額10億円規模の売り上げを目指す。
 グロウアースは間伐材などで作った国産木材チップが原料。特殊加工を施して植物の栽培に適した性能を持たせている。通常の土壌と比べ軽量で、手が汚れにくいのが特長。通常の土壌は専門の回収業者に依頼しないと廃棄できないケースが多いのに対し、グロウアースは燃えるごみとして廃棄できる。
 プチまち菜園はグロウアースにプランター、栽培道具などのセットをシステム化して提供する。設置場所に応じた柔軟なプランニングも可能。グロウアースは軽量なため、建物で使用する場合も建物の耐荷重などの制限をクリアできる。
 導入対象の建物としては分譲マンション、シェアオフィス、リノベーションビルなどを想定する。建物の未活用のオープンスペースなどに設置する。同社の次世代事業開発部新規事業推進担当の秋葉裕太推進グループ長は「屋上を菜園にすることで、その建物の付加価値向上につながるようにしたい」と話している。
 26、27日に東京都江東区の東京ビッグサイトで開かれている「賃貸住宅フェア2022」(主催・全国賃貸住宅新聞社)に、大建工業がブースを出展。グロウアースが入ったプランターも展示しており、実際に手で触って質感を確かめることができる。



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燈/建設DXで生産性向上に貢献、請求書処理サービスを提供開始

 東京大学発のスタートアップ企業である燈(東京都文京区、野呂侑希社長兼最高経営責任者〈CEO〉)が、建設業向けDXサービスを積極的に展開している。BIMデータの自動作成や、設計図書データを自動認識して利用しやすい形に加工する技術などを実用化しており、ゼネコンらとの協業も進む。6月には請求書処理業務を効率化するサービスの提供を始めた。AIを用いて生産性を向上し、建設業界の働き方改革に貢献していく。
 同社はDXソリューションと、AIを用いたSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)が事業の柱。3Dデータとカメラ画像、アバターデータを組み合わせて、現場の状況をデジタル空間上にリアルタイムで再現するデジタルツイン技術や、2D図面や点群データから半自動的にBIMデータを作成する技術などを開発済みだ。
 設計図書の建具表や材料表などから、数量や仕様など必要なデータを表認識技術や文字認識読取技術(OCR)で自動的に解読することも可能。設計・施工図書の情報をデータベース化し、さまざまな建設生産の場面で省力化や分析を容易にする。
 大成建設や東洋建設、地場ゼネコンの加和太建設(静岡県三島市、河田亮一代表取締役)など建設会社とのDX推進プロジェクトも実施中だ。サービスとしてパッケージ化できたものはプロダクトとして順次提供していく。
 建設業向け請求書処理業務DXサービス「Digital Billder(デジタルビルダー)」は、請求書の受領や承認などをアプリ上で完結できる。請求書をPDF形式で送信してもらい、承認してデータを保管するとともに、会計システムなどに自動的に入力できる。請求書を工事や取引先ごとに分類可能で、導入企業の書式を踏まえて請求書情報を柔軟に設定できる。協力会社側の操作も簡単で、請求書のPDFへの変換作業などを代行するサービスも設けている。
 野呂社長兼CEOは現役の東京大学生で、社員も学生が活躍している。「デジタルで一定まで業務を標準化して生産性を上げて、『建設業界はホワイトだから入社したい』という世界を作りたい」と話している。



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エイト日技/岡山本店にDXルーム設置、現場作業や災害時に司令

 エイト日本技術開発は、岡山本店第2ビル内に現場作業や災害時にBCP(事業継続計画)対策の司令室となるDXルームを設置した。現場における作業者やドローンからの鮮明な画像が確認でき、発注者や指令者が全員現場に行かなくても、現場確認や指示が可能となる=写真。
 このDXルームは、現場からの配信映像を映し出す大型モニター3台(75インチ)、発注者(インフラ管理者)とのウェブ会議用小モニター4台(43インチ)、いち早いマスコミ情報を現場へ知らせるためのテレビ2台を配置している。
 同社では、深刻化する働き手不足の解消、働き方改革の推進、激甚・頻発化する災害の対応などで、業務でのDX化は不可欠とし、第5次中期計画の中でも、DXによる業務プロセス改革・生産効率の改善、BCP(感染症対策含む)・働き方の多様化に対応した作業環境整備、防災・減災・老朽化インフラ等国土強靱化事業の新技術開発など、イノベーション推進へ積極的に投資する。
 DXの推進で人と仕事と資産のデジタル化・可視化、作業偏重から思考と試行主体の働き方へと改革していく。2023年度には仕事の仕方のDXを支援する新システムを導入、運用していく。



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秩父まちづくり/古民家改修した分散型宿泊施設(埼玉県秩父市)、8月5日開業

 西武リアルティソリューションズら4者が共同出資する「秩父まちづくり」(藤原岳史社長)が埼玉県秩父市に整備していた分散型宿泊施設「NIPPONIA秩父門前町」が8月5日に開業する。秩父エリアのにぎわい創出と持続的な地域活性化を目的に、西武秩父駅周辺の古民家3棟を宿泊施設に改修。明治期から昭和初期にかけての建築の趣が残り、滞在することで秩父の歴史や文化を楽しんでもらう。
 秩父まちづくりは西武リアルティソリューションズ、秩父おもてなし観光公社、NOTE、三井住友ファイナンス&リースの4者が出資し2020年8月に設立。秩父市と連携しながら、地域の活性化に取り組んでいる。
 開業するNIPPONIA秩父門前町は、薬局を改修した「MARUJU棟」(木造2階建て延べ409平方メートル)と、タバコ店と履物店を利用した「KOIKE・MIYATANI棟」(木造2階建て延べ252平方メートル)の2棟で構成。ともに改修工事の設計は木村建築設計事務所(秩父市)、施工は高橋組(同)が担当した。
 26日には報道機関向けの内覧会を開き、藤原社長や西武ホールディングスの後藤高志社長、秩父市の北堀篤市長らが出席した。
 藤原社長は「秩父の歴史や暮らし、文化を感じられる空間を皆さまとつくり上げたい」とあいさつした。後藤社長は「古き良き建物をしっかり守り、地域と共存できる施設にしたい」と話した。北堀市長は「コロナ後を見据えて観光需要を取り込み、地域の活性化につながる施設にしていきたい」と期待を込めた。



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2022年7月26日火曜日

内閣官房/強靱化地域計画ガイドライン見直し、対策の充実に重点

 内閣官房は地方自治体が作る「国土強靱化地域計画」に関するガイドラインを見直す。現行は「策定」に重点を置いているが、ほぼすべての自治体が作成したことを踏まえ、充実に向けた「改訂」を重視する内容に転換する。脆弱(ぜいじゃく)性評価による対策の優先順位付けや具体的な対策の立案など重要なポイントを盛る。実効性の高い計画の下で、行政と企業や住民などが主体的に地域の強靱化につながる取り組みを展開するよう促す。新たなガイドラインを月内にも公表する予定だ。
 内閣官房がまとめたガイドラインの見直し案によると、現行計画に対する自己評価や改訂の必要性を判断しやすくするため、冒頭に見直しのポイントを「チェックリスト」として列記する。必要な対策を的確に選択するため脆弱性評価を行い、リスクの高い災害や被害予想などを明確にする重要性を強調。地域が描く強靱化の将来像とともに、対策の具体化に向けて、取り組む主体や場所、スケジュールまで落とし込んで内容を記載する必要性を説く。地域主体の取り組みを促すための普及啓発、検討体制の構築、住民や企業など関係者の連携といったポイントも解説する。
 地域計画は全都道府県で策定が完了。市区町村は全体(1741団体)の97%に当たる1682団体が作成済みで、本年度末までに99%まで増える見通しだ。内閣官房はほぼすべての自治体が計画を策定したため、「時点更新ではなく、地域の強靱化指針として機能しているかという観点で計画を充実できるようガイドラインの重心を変える」(国土強靱化推進室)ことにした。「国、自治体、企業、住民が連携し地域強靱化に取り組む際の道しるべとして機能してほしい」(同)という。
 政府全体でも財政支援の面で地域計画の充実を後押ししている。同計画に事業実施箇所などを具体的に明記された事業に対し、交付金や補助金を重点化。重点化対象は2021年度予算の6件から、22年度に18件へと大幅に拡大した。政府は23年度以降も対象を増やしていきたい考えだ。



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建設技術研究所ら/災害時避難行動、アニメやクイズで学ぶコンテンツ提供

 建設技術研究所と同社グループのCTIグランドプラニング(福岡市中央区、石本俊亮社長)は25日、アニメーションやクイズなどを通じて災害時の避難行動を学べるコンテンツ「避難ナビ」を開発し、提供開始したと発表した。コンテンツはパソコンやタブレット端末を使って利用する。地方自治体や企業などに提供し、小中学校の防災教育での活用などを想定している。
 避難ナビは避難シミュレーションと避難行動トレーニングの二つのコンテンツで構成する。避難シミュレーションは定量的に評価したシミュレーションと、臨場感ある音声や映像で避難経路と避難先を具体的にイメージしてもらう。避難行動トレーニングでは、○×形式のクイズで正しい避難行動を学んでもらう。
 津波避難計画に関するワークショップで地域住民に避難ナビを利用してもらったところ、「臨場感があった。避難する人々が同じルートを通っていく様子が分かりやすかった」「計画書の文章は読まないが、クイズだと楽しく勉強できた」といった感想が寄せられた。
 今後は避難ナビを活用して自治体や企業と協力し、避難計画の策定支援や防災教育など、地域の防災力向上に向けた支援を実施する。具体的には地域の人が集まるイベントで避難ナビを体験してもらったり、自治体や企業・組織内での防災研修で活用してもらったりするのをイメージしている。



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四国整備局/南国安芸道路のいち国道橋架設(高知県)、550トンつりクレーン投入

 四国地方整備局土佐国道事務所が延伸事業中の高知東部自動車道の南国安芸道路で22日夜、橋梁架設工事が行われた。高知県香南市野市町東野の国道55号をまたぐ「のいち国道橋」の上部工事で、四国最大級となる550トンつりオールテレーンクレーンを投入。長さ53・5メートル、幅1・2メートル、重さ約75トンの橋桁2本を設置した。
 2025年春ころの開通を目指す高知龍馬空港IC(高知県南国市)~香南のいちIC(香南市)間3・5キロを結ぶ工事の一環。橋梁形式は鋼単純剛性細幅箱桁橋。アルス製作所(徳島県小松島市、坂本孝社長)が施工を担当し、作業は午後10時~午前5時の間、国道を通行止めして行った。
 四国8の字ネットワークの一部を形成する南国安芸道路は、高知龍馬空港IC~安芸西IC(仮称、高知県安芸市)間の21キロ。平時には地域の経済活動を支援し、南海トラフ巨大地震などの災害時には救急救命活動を支える「命の道」としての機能を担う。これまでに香南のいちIC~芸西西IC(高知県芸西村)間の9キロが開通している。



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利根沼田テクノアカデミー/前橋工業高校の職業体験受け入れ、小中学校にすのこ寄贈

 群馬県沼田市にある職人育成校の利根沼田テクノアカデミー(桑原敏彦校長)は、同市内の小中学校と県立前橋工業高校を対象にした社会貢献活動を行った。小中学校5校に訓練生が製作したすのこを8日に寄贈し、階段の修繕も行った。15日に前橋工業高校の建築コース1年生の40人を職業体験として迎え入れ、板金など6業種の仕事を体験してもらった。
 利根沼田テクノアカデミーは、板金、瓦、大工、水道設備、左官、塗装の6業種の訓練コースがある。すのこは、卒業前の24人の訓練生がカンナ掛けするなど丁寧に仕上げ、白沢中、沼田小、升形小、小中一貫の多那小・中に寄贈した。渡り廊下などに使われる。階段の修繕は薄根小で行った。桑原校長によると、「訓練生は数日後に自社に戻った。実際の仕事をするための自信につながった」という。
 前橋工業高校は2班に分かれ、訓練コースのある6業種の業界や仕事の説明を受け、訓練生が行っている作業などを体験した。利根沼田テクノアカデミーは、職人のキャリアパスを明確に設定している企業と提携関係を整えている。体験には9社の職人が講師を務め、仕事のやりがいなどをアピールした。意見交換にも参加した。職人の仕事をアピールする目的もあり、桑原校長は「今後の建設業の担い手確保につながる可能性がある」と手応えを示した。
 利根沼田テクノアカデミーは、地域のコミュニティーや観光施設などと関わりながら現場で即戦力となる職人の育成を行っている。「地域に根差した活動が大事」(桑原校長)として、社会貢献に力を入れ、食材や弁当の調達、入浴などで地域の企業、施設と協力している。



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全鉄筋/第4回TETSU-1グランプリ開く、山岡卓也選手(北海道)が優勝

 日本一の鉄筋工を決める「第4回全国鉄筋技能大会(TETSU-1グランプリ)」が24日、静岡県富士宮市の富士教育訓練センターで開催され、1位には東亜工業(北海道鉄筋業協同組合)の山岡卓也選手(31)、2位にはフルノ鋼業(協同組合東京鉄筋工業協会)の種山匠選手(32)、3位にはデグチ工業(山口県鉄筋工業協同組合)の渡邊武志選手(40)が輝いた。北海道鉄筋業協同組合の代表者の優勝は初めて。
 TETSU-1グランプリは全国鉄筋工事業協会(全鉄筋、岩田正吾会長)が鉄筋工の技能向上を目的に2015年から隔年で毎秋に開催している。4回目となった今大会はコロナ禍で約9カ月延期され、感染症対策に取り組みながら行われた。参加者は全国の会員組合・協会28団体の予選を勝ち抜いた精鋭29人。女性選手の姿も見られ、競技の様子はインターネットでライブ配信された。
 開会式で新妻尚祐大会実行委員長は「鉄筋の仕事は仮囲いの中での作業のため、人目に触れることがない。大会では日ごろから磨いてきた技能を多くの人に見てもらい、鉄筋業は格好良いという姿を示してほしい」とあいさつ。続いて塚本鐵筋(佐賀県鉄筋工事業協同組合)の野中俊彦選手が「力いっぱい頑張る」と選手宣誓した。
 競技は午前と午後の2回に分けて実施。国家技能検定鉄筋組み立て1級の問題に、はら筋一段を追加した課題の製作に取り組んだ。標準時間は1時間20分。採点は作業時間と精度の両方を加味して行われた。
 閉会式で岩田会長は「皆さんの競技を見て、これだけしんどい仕事をしているのだから、高い給与をもらわないといけないと改めて感じた。職人の処遇改善はもちろんだが、給与を支払う鉄筋会社も安定的な経営ができるよう活動していきたい」と締めくくった。



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2022年7月25日月曜日

大分県杵築市、国東市/上下水道維持管理で国内初の包括委託、実現へ国も支援

 国が提唱する上下水道事業の広域化・共同化に関連し、新たな先導事例が出てきた。大分県杵築市と国東市が上下水道施設の維持管理や運営を長期間まとめて民間委託する方針を決めた。水道と下水道を合わせた2市連携の包括委託は全国初の試みとなる。国も両市の取り組みを先進的と評価し財政支援している。具体的な広域化や共同化の進め方を決めていない全国の自治体に水平展開する。
 杵築、国東両市は人口減少による財政難や上下水道担当職員の不足に伴い2市連携による上下水道事業の包括委託を立案。下水道事業を所管する国土交通省の2021年度「先導的官民連携支援事業」に採択され、補助金を受け事業スキームを検討してきた。20日に検討内容に関する報告書を公表した。
 包括委託の検討対象地域では、現在も下水道分野で複数自治体による連携体制が存在する。杵築、国東両市と大分県姫島村の3自治体が「下水道船団方式」を採用。杵築市と姫島村が国東市に汚水処理を委ね、負担金を支払っている。
 今後も3市村による船団方式は維持する方向。その上で杵築市と国東市が包括委託に乗りだす。水道分野は杵築、国東両市が管理している浄水場や管路の維持管理、利用者向けの営業といった事業全般をまとめて民間に委託。下水道分野では船団方式でカバーできていなかった、管渠の維持管理を包括委託の対象に加える。
 対象分野が汚水処理に限定される既存の船団方式は当面残すが、包括委託の枠組みに段階的に吸収。最終的には上下水道事業全般の包括民間委託を実現する。両市は24年度に事業者を公募し、25年度の事業開始を目指している。杵築市は包括委託の枠組みが「橋梁の点検や公園の維持管理など、上下水道以外のインフラ分野にも活用できる可能性がある」(上下水道課)と期待する。
 国は下水道事業の「広域化・共同化計画」、水道事業の「水道広域化推進プラン」を本年度末までに策定するよう都道府県に求めている。今回の先導的な取り組みで維持管理の効率化などが確認できた場合、成功事例が同様の課題を抱える多くの市町村に役立つことが期待される。



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中部整備局名四国道/建設用3Dプリンターで重力式擁壁製作、7月28日に見学会

 中部地方整備局名四国道事務所は、国道155号豊田南バイパス(BP)の建設現場で、同局初となる建設用3Dプリンターを使った重力式擁壁の製作に着手する。施工を担当する中部土木の提案で実施するもので、施工規模としては国内最大級という。22日から現地で製作に入っており、28日に現場見学会を開く。大学や建設企業の関係者らが参加する予定。
 Polyuse(東京都港区)が所有する建設用3Dプリンターを現場に持ち込んで重力式擁壁の型枠を製作、内部はコンクリートで充填する。重力式擁壁は1ブロック当たり高さ約1・1~1・4メートル、幅(底部)は1・1~1・3メートル、延長約1メートル。これを5ブロック製作する。1ブロックの製作時間は5時間程度。
 中部土木は「令和3年度名四国道豊田地区道路建設工事」の契約後に、建設用3Dプリンターの活用を名四国道事務所に提案。同プリンターを用いることでコンクリート構造物の型枠が不要となり、慢性的な職人不足の課題解決につながる。施工性やコスト、工期など導入効果を検証する。
 名四国道豊田地区道路建設工事の概要は宮口地区が延長500メートル、若草地区は延長1620メートル。道路土工、地盤改良工、擁壁工、舗装工、排水構造部工、縁石工など。工期は2023年2月28日まで。工事場所は愛知県豊田市宮口町~大清水町。



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強化土エンジニヤリング/浸透性高めた低炭素型地盤改良工法を積極展開

 強化土エンジニヤリング(東京都文京区、島田励介社長)が、低炭素型の地盤改良工法の展開を強化している。高炉スラグを用いた注入材を用いるとともに、薬液注入で現地の土を固化し、建設汚泥処理をほぼ不要にする。浸透性を高め、最大で直径2~3メートルの柱状連続固結体を形成できる。一連の工法が4月に国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)に登録された。カーボンニュートラル(CN)への貢献を含め、発注者やゼネコンらに積極的にPRしていく。
 登録したのは「懸濁型超微粒子複合シリカグラウト『ハイブリッドシリカ・シリーズ』」。スラグがアルカリの刺激作用で結合する特性「潜在水硬性」を生かして、スラグと液体シリカを混合させてゲル化し、注入して地盤を改良する。1980年代に開発して以降、機能向上を重ねてきた。
 強度は最大で1平方メートル当たり7メガニュートン(N)。超微粒子シリカの粒径も、当初は6マイクロメートルだったが、現在は3・5マイクロメートルまで小さくし浸透性を高めている。地盤条件や注入目的によって、2本の管で注入する「二重管瞬結・緩結複合注入工法」や、外管と内管を組み合わせた注入管を用いる「ダブルパッカ工法」、一度に大きく注入できる「柱状急速浸透注入工法」を選択できる。
 高圧噴射撹拌(かくはん)工法と同等の地盤改良強度が発現できる。同社によると800件以上の実績があり、施工データも豊富にそろっているという。セメント系固化剤で既存地盤を置換する工法と比べて、二酸化炭素(CO2)排出量が少なく、産廃土もほとんど発生しないため環境負荷が小さい。島田社長は「低炭素型地盤改良工法(ジオポリマーグラウト)として積極的に展開し、脱炭素に貢献したい」としている。



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日建連/親子現場見学会が3年ぶりスタート、暮らし支える役割体感

 日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)の親子現場見学会は、これまで「けんせつ小町活躍現場見学会」として女性が主体的に活躍する現場を公開してきた。過去2年は新型コロナウイルスの感染拡大を考慮し中止。今年から名称を「けんせつ探検隊」に改め、男の子の参加も積極的に募っている。これまでと同じく国土交通省が後援する。=1面参照
 今年1回目の見学会は22日、埼玉県三郷市で施工している「三郷北部地区土地区画整理事業宅地造成工事」(発注者=三郷北部地区土地区画整理組合)の現場で開いた。常磐自動車道三郷ICの近くで工業・流通系企業を誘致するための造成工事。小中学生6人(小学生3人、中学生3人)と保護者が参加した。6組の親子は施工を担う竹中土木の石川雅康作業所長ら同社社員の案内を受け、現場を見て回ったりバックホウの運転などを体験したりした。
 参加者の中で建設会社に勤める濱田和徳さんは、建設専門紙で今回の見学会があることを知り娘の里紗さん(小学6年生)と一緒に参加。里紗さんは現場や実際に動く建設機械を目の当たりにして「参加前に比べると(建設機械の役割などが)分かった」と感想を述べた。
 石川所長は締めくくりのあいさつで小中学生に対し「建設の仕事は私たちの生活を便利にするもの。将来、なりたい職業を考えるときに頭の片隅にでも建設業があることを思い出してほしい」と呼び掛けた。
 見学会は小中学生の夏休み期間の22日から8月25日にかけて全国14の現場で実施する。
 10月1日と29日には特別版のDXシリーズとして、先端技術を活用した高速道路や建築工事の現場を別途公開する。



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鉄道運輸機構/相鉄・東急直通線レール締結式開く、23年3月開業へ

 鉄道建設・運輸施設整備支援機構は22日、横浜市港北区の新横浜駅構内で神奈川東部方面線(相鉄・東急直通線)のレール締結式を行った=写真。来賓として斉藤鉄夫国土交通相らが出席。今回の締結で相鉄本線西谷駅~東急東横線・目黒線日吉駅間の全線が1本のレールでつながった。相鉄・東急直通線は2023年3月の開業を予定している。東部方面線の整備主体は同機構、営業主体は相模鉄道と東急電鉄。=4面に詳しく



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2022年7月22日金曜日

日建連21年度決算状況/完工高0・4%減、7年ぶり粗利益率10%下回る

 日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)がまとめた会員企業の2021年度決算状況によると、回答した108社の完成工事高は合計14兆8589億円と、前年度に比べ0・4%減の微減となった。完成工事総利益(粗利益)率は1・9ポイント低い9・9%。粗利益率が10%を下回るのは14年度(7・4%)以来7年ぶり。東京五輪前に比べ工事量が落ち着いてきた中、受注競争の激化などが影響したと見る。今後は資材高騰の影響でさらなる悪化を懸念している。
 会員141社のうち、16年度以降データが連続している108社の21年度本決算(単体ベース)を集計した。売上高は15兆7711億円(前年度比0・6%増)。増収が39社で減収は69社あった。
 粗利益は1兆4776億円(16・4%減)。粗利益率が10%未満だったのは48社で前年度に比べ3社減った。一方、10%以上は60社となり3社増加。1社当たりの規模が大きい大手会員の利益が悪化した状況を伺わせる結果となった。
 本業のもうけを示す営業利益は7337億円(28・8%減)。売上高営業利益率は4・7%(1・9ポイント低下)で、前年度より3社多い37社が4%未満だった。
 経常利益は8435億円(24・9%減)となり、売上高経常利益率が5・3%(1・9ポイント低下)。純利益は6102億円(24・0%減)、売上高純利益率は3・9%(1・2ポイント低下)。
 自己資本は8兆5516億円(2・1%増)で、自己資本比率は45・5%(増減無し)となった。有利子負債は2兆3869億円(3・8%増)、売上高に対する有利子負債比率は15・1%(0・4ポイント上昇)となっている。



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国交省/単品スライド運用ルール改定で考え方、購入金額の妥当性を2段階確認

 国土交通省は資材価格の高騰を受けて講じた、直轄工事に適用する「単品スライド」条項の運用ルール改定を踏まえ、発注者が購入金額の妥当性を確認する際の考え方を示した。第1段階として、2社以上の見積もり単価との比較で実際の購入金額の適切さを客観的に評価。第2段階では購入金額と実勢価格との乖離(かいり)の程度を確認する。差が実勢価格からプラス30%以内であれば、実際の購入金額をスライド額として算定することを認める。
 従前は資材の実際の購入金額と購入月の物価資料を比較し、安い方の単価でスライド額を算出していた。資材高騰が急激に進む中、上昇額を物価資料に反映するまでタイムラグがある。そのため、購入金額の適切性を証明できる書類の提出を条件に、実際の購入金額の方が高くてもスライド額として算定できるようにした。
 国交省は新たな運用ルールを踏まえ、単品スライド条項の「運用マニュアル案」を改定し19日に公表。同マニュアルに購入金額が適切かどうか判断する際の「確認フロー」を盛り込んだ。
 フローによると、受注者は単品スライドの請求時に▽対象の品目・材料▽実購入先を含まない2社以上の見積もり-を発注者に提出する。見積もりは工期のうち納品数・量が多いなど代表的な月(1カ月以上)を対象とする。
 発注者はまず対象材料ごとに、提出された購入金額の単価と見積もり単価とを比較。実際の購入金額の単価が最も安価であれば第2段階に進むが、そうでない場合は実勢価格での算出となる。
 第2段階では実際の購入金額と実勢価格との差を確認する。それぞれの単価を比べ、購入金額の単価が実勢価格の単価よりもプラス30%以内であれば妥当と判断し、スライド額を実際の購入金額で出す。基本的に乖離がプラス30%よりも大きい場合、実勢価格での対応になる。ただ、発注者が近隣工事の材料調達状況を調査したり、調査機関に聞き取りを行ったりし妥当性が確認されれば、プラス30%よりも高くても実際の購入金額の採用が可能になる。



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茨城県/工期ダンピング防止・適正な価格転嫁要請、関係団体と連絡会議開く

 茨城県は工事の受発注に関係する民間団体に対し、工期ダンピングの防止と原材料の高騰に伴う適正な価格転嫁を要請する取り組みを始めた。15日に関係団体と民間工事に関する連絡会議を県庁で開き、適正な工期の確保にそれぞれの団体が取り組むとともに、原材料高騰による価格転嫁と適正な工期設定について周知するよう依頼した。県は今後も連絡会議を開くことにしている。
 「民間工事における適正な工期の確保に係る連絡会議」を開いた。建設業の働き方改革の一環。時間外労働の罰則付き上限規制の適用を控え、民間工事でも取り組みが必要になっている。建設業法の改正で著しく短い工期が禁止され、茨城県建設業協会(石津健光会長)から「建設業者が無理を強いられないようお願いしたい」という要望があったことも踏まえ、連絡会議の開催を決めた。
 会合で県は、国が行った民間工事の工期設定の実態調査や、社会福祉施設の整備で適正な工期確保を県福祉部に依頼していることなどを説明した。土木部が作成した「工期ダンピングはやめましょう」と銘打ったリーフレットを紹介し、関係団体それぞれが取り組みを進めるよう提案し、各団体から賛同を得た。原材料高騰に伴う対応も依頼した。
 会合では、工期を巡って「どのようにして発注者の認識を変えていくかが課題」という指摘があった。公共工事と民間工事で休日や労働時間に差があったり、過去の実績や規模から工期が設定されていたりすることを問題視する意見があった。「受注者から工期の設定や変更を申し出るのは難しい」「建設企業も無理をして受注しないことが必要」などの意見も出た。
 土木部のリーフレットは、著しく短い工期の請負契約が建設業法で禁止されていることや、工期ダンピングに当たる事象、中央建設業審議会の「工期に関する基準」などを説明してある。工期設定に関するチェックリストが付いている。
 会合で土木部の眞家勝彦監理課長は「情報共有を図るとともに、意見を踏まえ、関係団体などと連携しながら取り組みを行っていく」と協力を求めた。
 連絡会議の参加団体は次の通り。
 ▽茨城県建設業協会▽全日本不動産協会茨城県本部▽茨城県宅地建物取引業協会▽茨城県建築士事務所協会▽茨城県建築士会▽茨城県住宅協会。



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清水建設/半乾式耐火被覆吹付ロボットを開発、6軸アームで生産性向上

 清水建設が耐火被覆吹き付け作業の効率化と作業環境の改善を目的に、半乾式耐火被覆吹き付けロボット「Robo-Spray」を開発した。6軸のロボットアームが吹き付けノズルを自在に操り、梁の両脇や梁下に満遍なく被覆材を施工する。東京都港区で建設中の虎ノ門・麻布台再開発プロジェクト(A街区タワー)にプロトタイプを導入。従来の施工品質を確保しつつ、生産性が約30%向上することを確認した。
 半乾式耐火被覆の吹き付け作業は被覆材を遮る防護服や防じんメガネ・マスクを着用するため、夏場は過酷な作業になる。生産効率も低く、建設各社がロボット開発に力を入れている。「Robo-Spray」はアーム部、アーム部の高さを調整するリフター、リフター搭載の台車で構成。プロトタイプは台車の移動が手動になっている。
 全長2053ミリ、全幅1108ミリ、全高2452ミリで重量は1600キロ。使用時は作業員がロボットを所定の位置に移動後、タッチパネルで鉄骨梁の断面形状や梁天端の高さ、吹き付け範囲・角度、ノズルの作動速度などを設定。開始ボタンを押すと、アームがノズルの角度や鉄骨梁との相対位置、作動速度を適切に保ちながら作業を行う。
 吹き付けピッチは4~7センチ。厚さはノズルの作動速度やピッチで調整する。台車を一度移動すると梁幅2・5メートルまで対応が可能だ。鉄骨梁に設置される設備配管用の貫通孔は、タッチパネルで径や位置情報を入力することで回避できる。今後、ロボットの台車に電動走行機能を付加し、さらに生産性の向上を目指す。
 虎ノ門・麻布台再開発プロジェクトに導入したプロトタイプは、建物の43階と46階、49階の梁の一部(計434平方メートル)で施工した。従来の3人体制で2台のロボットを確実に操作できることや、生産性向上に貢献することを確認した。



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東急ら/東急百貨店本店(東京都渋谷区)建替/新たなランドマークに

 東急ら3社は21日、東京都渋谷区にある「東急百貨店本店」を建て替え、新たに延べ約12万m2規模の高層ビルを建設する計画を明らかにした。商業や賃貸住宅、ホテルの機能を設け、渋谷の新たなランドマークとなる施設を目指す。設計は日建設計・東急設計コンサルタントJVが担当。2027年度の竣工を目指す。=4面に詳しく



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2022年7月21日木曜日

日建連・宮本洋一会長/施工余力は十分、不足指摘に反論

 日本建設業連合会(日建連)の宮本洋一会長が20日に東京都内で開いた理事会の後に会見し、施工余力に疑義を呈する一部報道に真っ向から反論した。国の公共事業予算が計画通り消化できていないのは現場の施工余力が不足しているとの指摘に対し、「落札できないのはわれわれが忙しいからではなく予算(採算)が合わないだけ」と訴えた。
 宮本氏は、今夏から秋にかけて国の2022年度第2次補正予算編成や23年度当初予算の概算要求を控え「(一部報道のような)風潮が出てくることを懸念している」と指摘。改めて施工余力が十分にあることを「国土交通省と一緒に説明していきたい」と呼び掛けた。
 国の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」(21~25年度)終了後の在り方にも言及。「今も線状降水帯の影響で各地に被害が出ている。インフラの老朽化対策もますます大変になる」と問題提起し、予算確保を前提にした、いわゆる強靱化アフター5か年対策の必要性も主張した。



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日建連会員/21年度の4週8閉所・土日基本が4割超に、行動計画の目標とは開き

 日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は会員企業の現場を対象に、週休2日の取り組み状況(2021年度実績)をまとめた。1万5244現場のうち4週8閉所以上を達成したのは37・9%となり、前年度に比べ4・6ポイント上昇。土日閉所を基本とする4週8閉所以上は41・3%で5・2ポイント上回った。ただ23年度末までに全現場で4週8閉所以上を目指す、日建連の「週休二日実現行動計画」で定める目標とは依然として大きな隔たりがある。=2面に関連記事
 通期集計は19、20年度に続き3回目。今回は103社が回答した。調査期間は21年4月~22年3月。実際の閉所日数に応じて週休2日達成状況を▽4週8閉所以上▽4週7閉所▽4週6閉所▽4週5閉所▽4週5閉所未満-の五つに分類した。工種別内訳は土木6842現場、建築8402現場。
 土木工事を施工する現場の閉所状況は4週8閉所以上が50・0%(前年度比9・7ポイント上昇)、このうち土日閉所基本が53・0%(10・0ポイント上昇)だった。建築は4週8閉所以上が28・0%(1・5ポイント上昇)、このうち土日閉所基本が30・7%(2・0ポイント上昇)となっている。
 日建連は4週8閉所以上の実施割合や土日閉所率が着実に高まった21年度調査結果について、現場閉所活動の継続や作業所の自助努力による成果が着実に出ていると分析。特に公共発注機関主体の土木工事で大きく進展した要因に関しては、受発注者間による連携の効果が出たと見ている。
 建設業に時間外労働の罰則付き上限規制が適用される24年4月まで2年を切った。今回の調査で会員企業から寄せられた感想によると、4週8閉所以上の達成率は土木工事の鉄道や高速道路、建築工事の民間集合住宅や物流施設で低い傾向にある。4週8閉所以上の取り組みをさらに拡大していくには、現場の施工状況に応じた適切な設計変更や工期設定が必要になるとの意見が挙がった。企業努力では限界があるとして、法的整備も含め強制的な閉所日の設定を求める意見もあった。
 日建連は20日付で会員に対し、相川善郎週休二日推進本部長名で「建設現場における週休2日実現に向けた取り組みの継続推進」を通知。今後は現場閉所状況と併せて、新たに作業所勤務社員の週休2日(4週8休)実施状況もフォローアップしていく。



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加和太建設/建設DXコミュニティー立ち上げ、スタートアップとマッチング

 加和太建設(静岡県三島市、河田亮一社長)は20日、地方建設会社とスタートアップ企業をつなぐ建設DXコミュニティー「ON-SITE X」を立ち上げた。生産性向上の余地がある潜在的な課題を抱える建設会社と、建設業に参入したいスタートアップをマッチング。業界の課題解決と、スタートアップが実施したい建設業向けプロダクトの開発支援に取り組む。
 ON-SITE Xは、全国の地方建設会社とスタートアップをオンラインマッチングするコミュニティーサービス。コミュニティーアプリ開発のテイラーワークス(東京都渋谷区、難波弘匡社長)が展開するコミュニティーアプリ「Tailor Works」内に開設した。
 初弾として、静岡地域のゼネコン各社が主体となり、▽建設業界の課題の集約▽全国のゼネコン各社、地域事業者、自治体、スタートアップ企業との価値共創▽課題解決ノウハウの集積・汎(はん)化-の3点に取り組む。2022年内は建設会社とスタートアップ各10社ずつ程度のコミュニティー参加を見込む。
 コミュニティーを通じて建設会社の持つ慣習や風土などに起因する課題も可視化し、建設会社全体のDXに貢献する新たなプロダクト開発につなげる。23年初頭に「建設DXファンド」を立ち上げ、参画するスタートアップの資金調達も支援する。金融機関とも連携を図りながら、参画する建設会社から1億~3億円程度の出資を募り、最大100億円規模のファンドを目指す。
 河田社長は「地方建設業の生産性向上をスタートアップの力で実現し、参画する建設会社が、地域や社会に対して提供できる価値を増やしていくきっかけを一緒につくっていきたい」とコメントしている。



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日建設計ら/小径材木で小型空間創出、木質ユニット第2弾商品を販売

 日建設計は19日、小径の材木を簡単に組み立てて、1畳程度の広さの空間が創出できる「どこでもつな木キット」の販売を開始すると発表した。同社が企画・プロデュースし、三進金属工業(大阪府忠岡町、新井宏昌社長)が製造販売する木質ユニット「つな木」の第2弾。日本の森林保全に向けた木材活用促進の取り組みとして展開する。
 「つな木」は、45ミリ角の一般流通無垢(むく)材と専用クランプで構成され、自由な用途とサイズで組み立てられる。組み立てや解体、移設が容易にできる。今回発売した「どこでもつな木キット」は、1畳サイズの小さな空間を創出できる。複数を組み合わせることも可能。
 販売価格(税込み)は、15万7300円から(オープンキット参考価格、組み立て運送費別)。詳細は専用ホームページ(https://tsunagi-wood.jp/)へ。



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JR東日本/電柱建替用車両を導入、27年度末に4000本耐震化

 JR東日本は20日、新幹線の高架橋上にあるコンクリート柱を鋼管柱に効率良く交換する専用車両を東京都北区の田端保守基地で報道機関向けに公開した。クレーンなどを搭載した車両を四つ連結して電柱を引き抜いたり、運搬したりする。4・5時間程度かかっていた従来よりも約1時間短縮できる。同社は2024年度までに3編成を追加した4編成体制を敷き、27年度末にも約4000本の耐震化を完了する考え。
 高架橋に設置されている電柱は車両給電用の架線である「トロリ線」、変電所からトロリ線に電力を供給する「き電線」などを支持している。11年3月に発生した東日本大震災などを教訓に、JR東日本は大規模地震に備えた耐震対策を加速。その一環で新潟トランシス(新潟県聖籠町、石塚武文社長)と共同で電柱建て替え用車両を開発した。
 全長約52メートルの専用車両は▽電柱用高所作業車▽装柱作業車▽電柱建植車▽電柱運搬車-で構成する。うち高所作業車は最大約23メートルまで上昇するアームの先端に作業員2人が搭乗できるバケットを持つ。最大作業半径は約15メートル。電柱上部のき電線などを支持する金具を安全に取り外せる。
 装柱作業車は、トロリ線を支持する金具を仮受けする役割を担う。高速で走行する新幹線に安全な給電を行うため、「トロリ線の高さを変えずに作業できるのがメリット」(恩田義行新幹線統括本部新幹線電気ネットワーク部技術計画ユニットリーダー)という。
 最大約27・5メートル伸びるクレーンを搭載した電柱建植車で電柱を引き抜き、鋼管柱に交換する。重さ約3・3トンのコンクリ柱を引き抜くため、つり能力は最大約16トンに上る。その後、電柱運搬車(全長約20メートル)にコンクリ柱を積み込む。
 専用車両は高架下の環境にかかわらず、短い作業間合いで効率的に電柱の取り換えを可能にする。作業ヤードを確保するために行っていた道路使用の許可も不要だ。JR東日本が管理する新幹線の電柱は計約2万本。21年度末時点で約2250本の耐震化を終えている。21~27年度末に電柱上下部の補強や鋼管柱への交換を含め、約4000本の電柱を耐震化する方針だ。



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2022年7月20日水曜日

東北・九州地方で記録的大雨/河川氾濫や落橋発生、官民が応急復旧に奔走

 動きの遅い低気圧や前線の影響で14日以降、東北地方と九州地方を中心に記録的な大雨となった。それに伴い河川氾濫(はんらん)や道路橋の落橋、土砂災害などの被害が発生。被災地域では、国や地元自治体、建設関連団体など官民が応急復旧に奔走している。西日本から東日本の地域では20日にかけて激しい雨が続く見込みで、河川氾濫や土砂崩れなどへの警戒が引き続き求められる。=8面に関連記事
 国土交通省が発表した被害状況(19日午前8時現在)によると、▽宮城▽岩手▽長崎▽鹿児島-の4県が管理する6水系19河川が氾濫した。うち、4水系7河川は既に浸水を解消している。河川の増水を軽減するため、全国44カ所のダムで洪水調節(うち4カ所は事前放流)を実施。13カ所で土砂災害が発生したものの人的被害はなかった。
 甚大な被害に見舞われた宮城県は15日に大崎市と松島町への災害救助法の適用を決定した。同市では蛭沢川に架かる市道の丸山橋が落橋。市職員とともに、東北地方整備局のテックフォース(緊急災害対策派遣隊)、日本橋梁建設協会(橋建協)、宮城県建設業協会(宮城建協)のメンバーが18日、現地に急行し応急復旧に必要な調査を行った。高速道路は5路線15区間で雨量基準超過による通行止めを実施。このほか新東名高速の新静岡IC~新清水JCT間でのり面が一部流出し、16日夜から通行止めを行った。17日正午過ぎに解除したが、車線規制を継続している。中日本高速道路会社はのり面の崩壊原因を調査し、今後本復旧に着手する予定という。
 国交省は全国61市町村とホットラインを構築したほか、テックフォースも継続的に派遣。被害状況の把握や支援などを迅速に行っている。省内の体制として14、18両日に課長級の職員が参画する災害対策連絡調整会議を開催。雨が長く降り続いていることを踏まえ、19日夕方には幹部クラスが出席する特定災害対策本部を設置し、自治体からの支援要請に積極的に応じることなどを確認した。斉藤鉄夫国交相は同日の閣議後会見で「引き続き、地域に寄り添いながら国交省の現場力を最大限発揮し、対応していきたい」と被災地支援に万全を期す考えを示した。



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国交省と都道府県/処遇改善や資材高騰対応で連携、監理課長会議終了4項目合意

 国土交通省と全都道府県は直近の建設業の課題を踏まえ、公共工事・業務のダンピング対策や週休2日を考慮した工期設定、適切な設計変更・契約変更などに取り組むことで合意した。2022年度上期「ブロック監理課長等会議」(入札契約担当課長会議)が19日の四国地区で終了し、全国8ブロックで申し合わせ事項が了承された。国と地方自治体が一段と連携し、技能労働者など建設業従事者の処遇改善や建設資材の価格高騰への対応に当たる。
 申し合わせ事項は▽技能労働者などの処遇改善▽公共工事の円滑な施工確保▽都道府県公共工事契約業務連絡協議会(都道府県公契連)を活用した市区町村における入札契約改善▽建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用促進-の四つ。
 処遇改善関係では国と都道府県、市区町村が連携し適正な予定価格の設定やダンピング対策を推進。工事に比べ改善が遅れている業務のダンピング対策の必要性も強調した。法定福利費を内訳明示した請負代金内訳書の確認を改めて自治体に要請。週休2日や準備・後片付けを考慮した適正な工期が確保されるよう改善を急ぐ。
 公共工事の円滑な施工確保に向け、引き続き不調・不落対策や施工時期の平準化に努める。建設資材や燃料の価格高騰や納期遅れに対応するため、スライド条項の設定・運用など適切な設計変更・契約変更の必要性を共有。設計変更ガイドラインの適切な運用も働き掛けた。
 市区町村に入札契約制度の運用改善を直接働き掛けるため、都道府県公契連を原則すべての都道府県で開催することも申し合わせた。
 昨年度は全都道府県での開催を達成しており、本年度も国交省が参加する形で今月から各地での会合が順次行われる。



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大林組/鋼製支保工のひずみ無線計測システム開発、リアルタイムに監視

 大林組は山岳トンネル工事で鋼製支保工のひずみをワイヤレスで計測するシステム「ハカルーター」を開発した。ひずみの計測データを無線でタブレット端末に送り、リアルタイムで監視する。ひずみが規定値を超えると、警告灯の音と光で作業員に危険を知らせて迅速に退避。安全な作業環境を確保する。従来の計測システムで必要だった場内や切羽近くへの配線作業が不要となる。
 ハカルーターは、計測データの「送受信機」、受信データを表示する「計測用タブレット」、警報を発する「警告灯」で構成する。場外で組み立てる鋼製支保工に送信機を取り付け、ひずみゲージで計測したデータを無線で受信機に送信し、タブレットに表示する。送信機と受信機の距離は最大50メートルまで対応できるため計測値を安全に確認できる。鋼製の防護材で送信機を覆えば、発破による爆風や振動、坑内湧水に対し高い耐久性を発揮する。
 場外で設置が完了するため、切羽でのケーブルの配線や防護作業が不要。鋼製支保工を組んだ直後からひずみを計測できる。複数台の計測データは一台の計測用タブレットで一元管理する。ひずみが規定値を超えた場合、警告灯からの音と光で作業員に危険を知らせる。送受信機は約1カ月間、バッテリーの交換をせず継続して計測できる。
 送信機は繰り返し使用可能。従来よりもひずみの計測に要する費用が2割程度削減する。過去の計測事例から将来的に発生する応力を予測し、管理基準値と比較できる。支保工の適合性を早期に判断でき、鋼製支保工の変形が発生する前に対策を打てる。
 今後、積極的に現場適用し、切羽の崩落災害の防止に努める。支保工の適合性を速やかに判断し、工期短縮につなげる。
 山岳トンネル工事では、軟弱な地山をアーチ状の鋼製支保工と吹き付けコンクリートで支えるが、切羽の状態を目視し鋼製支保工の形状や設置間隔を決定していた。鋼製支保工のひずみ計測は、切羽直近で配線作業を行うため、岩石の落下などのリスクを伴う。従来の目視や有線の計測システムではひずみの増大をリアルタイムで検知できないため、作業員への警告が遅れることがあった。



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下宮比町地区(東京都新宿区)で再開発/準備組合が設立総会、熊谷組らが参画

 飯田橋駅の北西側で第1種市街地再開発事業を計画する「下宮比町地区市街地再開発準備組合」(比嘉秀年理事長)が16日、東京都新宿区の熊谷組本社ビルで設立総会を開いた。今後は関係機関との協議を重ねつつ、具体的な施設計画を詰める。新宿区による都市計画決定などの手続きを経て、2027年度ごろの着工を見込んでいる。事業協力者として熊谷組と日鉄興和不動産が参画している。
 準備組合は19年4月から活動してきた再開発協議会を引き継ぐ形で発足した。施行予定区域は新宿区下宮比町内(敷地面積は約8500平方メートル)。同日時点で地権者34者のうち、約8割が同意している。施行予定区域に隣接するマンションなども含め、周辺では建物の老朽化に伴う更新が課題となっている。準備組合は周辺の地権者とも協議した上で、施行予定区域の拡大を視野に入れている。
 区域近くに本社ビルを構える熊谷組は日鉄興和不とともに、協議会の段階から再開発の検討に協力。同日の総会で引き続き事業協力者として準備組合に加わることを決議した。準備組合は秋ごろにも事業コンサルタントを務める事業者を選定し、検討を加速させる。
 飯田橋駅の北西エリア一帯は交通の利便性が高いものの、建物の老朽化や歩行者空間の整備が不十分といった課題が山積している。新宿区の東の玄関口とするため、区も都市再生に向けた動きを強めている。
 1月には下宮比町や津久戸町、筑土八幡町などの約10・4ヘクタールを対象とした「飯田橋駅前地区地区計画」を決定。幹線道路「放射第25号線」の沿道地区では用途地域を見直し、建物の高さ制限を緩和した。8月末~9月めどに、歩行者空間の拡充や都市機能の向上につながる土地利用などの具体的な方針を示す「(仮称)飯田橋駅前地区基盤整備ビジョン」を策定する。



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京都女子大・都市機構/洛西ニュータウン団地リノベ設計、学長賞に菊田・川嵜チーム

 京都女子大学(竹安栄子学長)と都市再生機構西日本支社は15日、同大学の学生が賃貸住宅のリノベーションプランを提案する設計コンペの当選作品を発表した。両者が共同で取り組む「洛西ニュータウン団地リノベーションプロジェクト」の一環で、学長賞は菊田衣純さんと川嵜智絵さんの作品「ひととき」が選ばれた。優秀賞は吉村さわさんの作品「つくり・つながる暮らし」に決めた。
 設計コンペには26チームが参加。都市機構の職員がデザイン性や材料などを審査した。
 同日、京都市東山区の同大学新図書館ホールで表彰式を行い、竹安学長と都市機構西日本支社の熊澤学京奈エリア経営部長が特別賞7作品を含む各賞の受賞者に賞状を手渡した。
 熊澤部長は「いずれもアイデアの詰まった作品ばかりで審査に苦労した。洛西ニュータウンが活性化されると期待している」と感謝した。
 菊田さん、川嵜さんチームは「木のベンチでつながるみんなの暮らし」をテーマに、人と木が共に暮らす空間を目指した。菊田さんは「住む方が良い時間を過ごせるような空間にしたい」と話し、川嵜さんは「入学した時からこのプロジェクトに参加したいと思っていた」と学長賞受賞を喜んだ。
 最後に竹安学長は「市民の生活に役に立ち、幸福につながる活動の一端を今後も担っていきたい」と述べた。
 学長賞と優秀賞を基に施工プランを作成し、10月末に改修工事を終える。両作品は「STYLE2022」と名付け、23年1月以降にリノベーション住戸として入居者を募集する予定だ。



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2022年7月19日火曜日

国交省/xROAD構想着々と全国道路点検DB公開、民間発アプリ開発に期待

 国土交通省が道路空間の現況を電子空間に再現する「xROAD(クロスロード)」の構想が進展している。12日に中枢の「全国道路施設点検データベース(DB)」を公開。道路施設の定期点検で得られた膨大な情報をオープンデータ化した。当面は公開した情報を活用し、発注者が実際の維持管理業務を効率化できるアプリケーションの開発に注力する。同省担当者は「スタートラインに立った。民間発のいろんなアプリが生まれてくる世界を目指したい」(道路局国道・技術課)と意気込む。
 xROADは国土地理院の地図などを基にし、道路施設の諸元やメンテナンス情報を関連付けて地図上で見られるようにするシステム。今後は構造物のCIMデータや道路区域内にある占用物件の情報も加える。将来的にはCCTV(閉回路テレビシステム)カメラなどで得た交通情報や、工事規制情報などとも連携。道路の現況を電子空間にリアルタイムで再現する。
 全国道路施設点検DBは同省が毎年まとめる「道路メンテナンス年報」を基に構築した。膨大な情報が含まれており、例えば国管理の道路橋の場合、構造諸元や部材ごとの点検結果、補強履歴など1橋当たり1400項目の詳細な情報が登録されている。同省は全国の道路管理者が点検結果を入力するシステムも近く提供し、DBを最新の状態に保つ。
 今後はDB上にある情報の有効活用が課題になる。現時点ではAIを活用した発注者支援アプリを想定。構造物の劣化箇所の写真を撮ってAIに入力すれば、DB内から類似の事例を探し出して表示する。過去の事例を参考に、対処方針を検討できるようにする。
 アプリ開発の促進には民間との連携が不可欠になる。有力な手法として注目しているのは同省都市局が展開する「プロジェクト・プラトー」。直轄で整備した3D都市モデルをオープンデータ化するだけでなく、活用の具体事例を創出するため、民間提案に基づく実証実験にも取り組んでいる。こうした手法も参考に同省道路局は、近くアプリ開発の促進策を打ち出す考えだ。



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国交省/みなとSDGsパートナー登録制度創設、港湾関連産業を登録

 国土交通省は「みなとSDGs(持続可能な開発目標)パートナー登録制度」を創設した。生産性向上や働き方改革、脱炭素化など、港湾分野の事業でSDGs達成に貢献している港湾関連企業を募集し登録。登録後は同制度のロゴマーク=画像=が使用可能になるほか、国交省ホームページで取り組みが紹介される。登録申請は9月2日までメール(hqt-gikikasdgs@gxb.mlit.go.jp)で受け付ける。
 対象は港湾の整備や利用、保全、管理、運営に関する事業を展開する企業や団体、個人事業主。SDGsに関する取り組みを既に実施しているか、今後実施することが応募条件となる。
 応募者は▽経済▽環境▽社会-の三つの観点で自己の取り組みを評価し、登録申請書に具体的な内容を記載して提出。国交省の審査を通過すれば登録証が交付され、事業活動でロゴマークが使用可能になる。本年度は9月下旬の登録を予定している。
 登録証の有効期間は3年間。期間中は1年に1度、国交省に達成状況を報告する必要がある。
 SDGsへの貢献姿勢を可視化することで、同様の価値観を重視する企業間で新たな取引機会が生まれる可能性がある。ロゴマークの使用は従業員の意識啓発にもつながる。国交省は「SDGsの普及促進を図り、港湾や港湾関係産業の魅力向上や、将来にわたる発展に貢献したい」とする。



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グラウンドデザイン研究所/袋詰め粉体用昇降台車を開発、運搬や混練時の負担軽減

 ヒノデグループのグラウンドデザイン研究所(福岡市東区、木塚勝典社長)は、袋詰めのグラウト材などの積み降ろしや現場への運搬、混練時の投入作業の負担を軽減する油圧昇降台車を開発し、販売を始めた。「キャリーローダー」と名付けた台車は、天板の高さを340~855ミリの範囲で調整可能。混練時にはグラウト材を粉体投入用シューターめがけて投入することで、腕や腰の負担が軽減できる。
 現場で頻繁に使用されるグラウト材は1袋25キロ入り。運搬や混練時の作業負担を軽減することは、現場の作業環境改善につながる。
 キャリーローダーは、軽トラックから2トントラックの荷台床面の高さまでをほぼカバー。数回の足踏みで任意の高さまで調整でき、レバー一つで任意の高さまで下降することもできる。
 粉体投入用シューターは、5月に発売したグラウト材自動攪拌(かくはん)機「KNEADRUM S」にフィットし、粉体投入作業にかかる労力の軽減に役立つ。
 オフロード用の大型ノーパンクタイヤを使用しており、段差に強く、動きが滑らかなのも特色。悪路でも運搬しやすい。
 製品重量は65キロ。最大175キロまで積載可能。価格はオープン。



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東光電気工事/天井内作業の省施工ロボット開発に注力、東京電機大と連携

 東光電気工事が東京電機大学と連携して、省施工ロボットの開発に注力している。実用化を目指しているのは「天井ボード開口ロボット」と「天井内作業ロボット」。電気配線や電灯設備の施工に必要な天井内の作業を効率化し、転倒などのリスクがある高所作業をロボットで行うことで安全性を確保する。人手不足の解消や、同一作業の集約化でコスト削減を狙う。
 開発に当たり同社は、ITプロジェクト委員会を2017年に立ち上げた。電気設備施工の課題解決のためにロボット化を検討。東京電機大と開発に着手した。
 天井ボード開口ロボットは、切削機構、昇降装置、台車で構成する。CADやBIMの図面から天井開口の位置や大きさ、形を抽出し、最も効率的な開口の順番をシミュレーションしてロボットが自動で作業する。データを読み込むだけで開口部の位置を把握し、天井ボードを切削。切削用ノコギリを搭載したユニットは平面移動と鉛直軸回転が可能で斜め方向にも切削できる。夜間でも自動でロボットが切削するため生産性向上につながるほか、人員削減が可能となる。
 移動、切削、昇降の各機能と動作は確認済み。今後は一連の流れで作業できるようにシステムを統合していく。
 天井内作業ロボットは、天井裏やケーブルラック上に電源ケーブルを敷設するためのヘビ型ロボット。天井内など狭い場所で通線ロープを引いたり、内部状況をカメラで確認したりできる。上下の蛇行運動で前進し、頭部を水平に維持しながら推進することで安定したカメラ映像を取得する。最大視野角はプラスマイナス110度。頭部を左右に振ると周囲が見渡せるため、広い視野角で点検箇所を確認できる。ヘビ型なので、とぐろを巻いた状態に省スペース化でき、持ち運びも容易だ。
 ケーブルの敷設作業では狭い場所で推進する能力が求められるが、ヘビ型の機構にすることで、狭い場所でも推進を可能にした。改修工事や調査業務などでの活用を想定している。
 現在は有線で操作しているが、今後は無線操作に改善し、搭載するバッテリーなどの検討を行う。



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スコープ/洋上風力事業者選定で落札制限導入、近く新たな運用指針決定

 洋上風力発電事業の事業者選定手続き見直しを議論している国の外部有識者会議が新たな運用指針の案をまとめた。1者による複数区域の総取りを防止するため、新たに落札数制限の導入を明記。事業者評価では「運転開始時期」の項目を創設し、政府の再生可能エネルギー導入目標の達成に貢献する計画を高く評価する。指針は意見募集を経て今夏にも改定する予定。既に事業者公募を開始している「秋田県八峰町および能代市沖」にも適用する。
 新たな運用指針は交通政策審議会(交政審、国土交通相の諮問機関)と総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)がそれぞれ設置した有識者会議の合同会合で意見を聞きながら検討。14日に一般からの意見募集を開始した。
 政府は2019年4月に施行した再エネ海域利用法に基づき、一般海域で洋上風力を誘致する「促進区域」を指定する。区域ごとに定める公募要領「公募占用指針」に基づいて事業者を募集。選定した事業者は最大30年間海域を占用し洋上風力発電事業を展開できる。
 運用指針見直しの案は落札数制限を導入すると明記し、公募占用指針で具体的な内容を定めるとした。国が会議で示した運用案によると、同時に複数区域で事業者を公募する場合に落札数制限を適用する。
 1者が落札できる発電施設の出力に上限を設定する。上限は1ギガワット程度になる見通しだ。複数の区域で同じ事業者が最高点を得た場合、この事業者には次点の事業者との点差が大きい区域を優先し、発電出力の合計が1ギガワットになるまで割り当てる。残る区域は次点の事業者が落札する。
 これまで事業者選定手続きに応募している発電事業者は特別目的会社(SPC)やコンソーシアムを組織している場合が多い。一つの企業が複数のグループに参加するケースもあり得るため、「同じ事業者」か否かの判断基準が必要になる。政府は基準案を示しており、特定の企業が2分の1以上の議決権比率を占めるグループが複数ある場合、他のメンバーが違っても同じ事業者とみなして落札数制限の適用対象にする。
 国は5月に開いた有識者会議の会合に民間事業者を集め、制限に対する意見を聞いた。建設業界から参加した大林組は、制限を設ける方向性に大筋で賛意を表明。一方、三菱商事エナジーソリューションズの担当者は「落札数制限は競争をゆがめるだけで不適当だ」と撤回を強く要望するなど、賛否が鮮明に分かれた。
 国が落札数制限にこだわるのは昨年事業者を公募した▽秋田県能代市、三種町および男鹿市沖▽同由利本荘市沖(北側)▽同由利本荘市沖(南側)▽千葉県銚子市沖-の4区域全てを、三菱商事らで構成するコンソーシアムが総取りした経緯があるためだ。政府が設定した上限価格(1キロワット時当たり29円)に対して多くの陣営が同20円台で提案する中、三菱商事らのコンソーシアムは同11・99~16・49円を提示。著しい低価格で、関係者に衝撃が走った。結果を受けた業界団体などからの働き掛けも影響し、制限を設ける方針を固めたと見られる。
 会議の委員からは「参入事業者の多様化を図って投資環境を整備することは、産業育成の観点でも重要だ」などと制限に肯定的な意見が出ており、案から大きな変更はなく固まる見通しだ。
 国は事業者提案を審査する配点も変更し、運転開始時期が早い計画をより高く評価する。現行の配点は電力供給価格を評価する「価格点」(120点満点)と、「事業実現性に関する得点」(同)の計240点満点。
 案によると事業実現性の中で30点を割り振っている「事業実施実績」への配点を10点に抑え、余った20点を新たに設ける「事業計画の迅速性」に配分する。採点は評価の基準となる日を設定し、運転開始日が基準日より早いほど高得点が得られる形にする。
 会議で委員らは新たな配点案を大筋で認めつつ、著しく早い運転開始日を提示して一点突破を狙う事業者が増える可能性も指摘した。運転開始時期が遅れた場合は保証金を没収するが、「ペナルティーとしてそれだけで十分なのか検討が必要だ」と問題提起もあった。
 国が早期の運転開始を求める背景にはロシアによるウクライナ侵攻など、国際情勢の不安定化に伴う原油価格の高騰がある。国産再エネの早期実用化を促し、電力の安定供給につなげる考えだ。



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2022年7月15日金曜日

水資源機構/埼玉県内豪雨を武蔵水路で排水、22年初の内水排除

 水資源機構は13日、利根川と荒川を結ぶ「武蔵水路」で今年初めて内水排除を実施したと発表した。12日夜から13日未明にかけて埼玉県内では激しい雨に見舞われた。忍川、元荒川などの中小河川や、水路沿線の行田市や鴻巣市の内水合わせて約167万立方メートルを武蔵水路に取り込み、荒川に流した。推定で忍川(佐間水門)で約1・15メートル、元荒川(川面水門)で約0・39メートルの水位低下効果があったという。
 不安定な大気によって関東地方が激しい雨となり、特に埼玉県内では東松山市や鳩山町で河川の水が越水し家屋の浸水被害が発生。武蔵水路の沿川でも熊谷市で12日午後2時から13日午前2時までに累計136ミリの降雨量を観測した。
 こうした状況を受け、武蔵水路を管理する水機構利根導水総合事業所は内水排除を実施。2カ所の水門と6カ所の放流口から合わせて約167万立方メートル(東京ドーム1・3杯分相当)の内水を荒川へ放流した。



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清水建設/室蘭港のSEP船母港利用で市と協定、洋上風力事業の拠点に

 北海道室蘭市と清水建設は13日、「自航式SEP船による室蘭港の母港利用に関する協定」を結んだ。市は室蘭港崎守埠頭7号岸壁と荷さばき地を同社が優先的に利用できるよう調整する。同社はSEP船運用に必要な部材や資機材の調達を市内業者に優先発注するなど地域経済への貢献に努める。同日、市内で協定締結式を開き、室蘭市の青山剛市長と清水建設の関口猛専務執行役員が協定書を交わした。
 同社は現在、ジャパン・マリン・ユナイテッド呉事業所(広島県呉市)で世界最大級のクレーン能力を備える自航式SEP船(自己昇降式作業台船)を建造しており、10月の完成を予定している。
 室蘭港は日本海側と太平洋側両地域へのアクセスが容易な地理的条件を有している。港内は大型船の入港に十分な水深と静穏な波浪環境を備え、海底地盤もレグの着底に適した構造になっている。こうした条件を踏まえ、同社のSEP船が2023年4月1日から5年間、室蘭港を母港とすることで合意した。
 締結式で青山市長は「今回の協定は将来の街づくり、港づくりを展望する上で大変意義のある素晴らしいプロジェクト」とSEP船の入港を歓迎した。
 関口専務執行役員は「室蘭市との連携、協業を広げ、地域経済の発展に微力ながら貢献したい。いろいろな形で新しいカーボンニュートラルの時代を作れたらと思っている」と話した。洋上風力事業については「国内で4兆~5兆円の市場になるという試算もある。施工者としてトップシェアを目指していきたい」との目標を示した。



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国交省/直轄営繕の週休2日工事、21年度は9割超達成

 国土交通省が直轄営繕事業で試行している週休2日工事の達成率が9割を超えた。2021年度末までに完了した「週休2日促進工事」175件の現場アンケートで、90・9%の159件で週休2日を達成したことが分かった。ASP(情報共有システム)の活用などによる受発注者間の円滑な協議や適正な工期設定が達成要因に挙がっている。発注者指定の週休2日を4月以降、大規模な改修等工事で原則化するなど、さらに試行を拡大する。
 週休2日促進工事を対象とした21年度モニタリング結果を14日に公表した。直轄営繕工事では18年度に労務費補正などを試行導入。完了工事の週休2日達成率は19年度が67・4%、20年度が78・9%と着実に上昇していた=グラフ参照。
 21年度の達成状況を工事種別に見ると、新築が28件中20件(71・4%)、改修等が147件中139件(94・6%)。発注分野別で建築が92件中84件(91・3%)、電気設備が28件中25件(89・3%)、機械設備が55件中50件(90・9%)だった。
 アンケートで達成要因を聞くと、回答が多かった順に▽円滑な協議=102件▽適正な工期設定=97件▽工事間調整が適切=76件▽書類の簡素化=42件▽設計と施工条件の相違なし=22件▽シフト制での調整=12件▽施設利用者の協力=5件-などが挙がった。「ASPの活用などで担当監督員との連絡がスムーズに行えた」などの声があった。
 未達成要因では「施工条件の変更など施工中の不確定要素による遅延」が16件中6件で最も多かった。こうした事情を踏まえ施工中の不確定要素が工程に影響を与える場合、受注者と協議し工期変更などで対応に当たる方針を明確化した。
 発注者指定工事は175件中6件と少ない。21年度から新築工事で原則化しているが、指定対象工事のさらなる拡大で週休2日を一層推進する。22年度からは改修等工事のうち建築B等級以上(予定価格3億円以上)、設備A等級以上(2億円以上)も原則として発注者指定の週休2日の対象とした。



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松尾建設/熊本支店新社屋(熊本市中央区)が完成、イグサや木材使い地域貢献

 松尾建設(佐賀市、松尾哲吾社長)が熊本市中央区新屋敷で建設を進めていた同社熊本支店の新社屋が完成した。規模はRC造5階建て延べ1808平方メートル。地域経済に貢献しようと内装などに八代産のイグサを原料とした壁紙や九州産の木材を積極的に活用。自社で設計・施工を手掛けた。19日に営業を開始する。
 築58年が経過した旧社屋を現在地で約1年かけて建て替えた。1階部分はピロティで2階がオフィス、3階以上が各階7戸の計21戸の賃貸住宅となる。建築面積を旧社屋の約3倍に拡充し、業務の効率化を図るため執務スペースはワンフロアに集約した。
 開設後84年の地域に根差した同社の拠点としてできるだけ地元産の建設資材を活用した。和室の減少などにより厳しい業況となっているイグサに着目。はぐれ雲工房(熊本県水俣市)が開発した寒暖差を和らげ悪臭・有害物質を吸着するというイグサの特長を生かしたゼロエミッション高機能壁紙「かみいぐさアイビーウォール」を応接室に施工した。
 県産木材の木ルーバーを1~2階の天井に設置したほか、松尾建設も出資する総合木材会社のMEC Industry(鹿児島県湧水町)の九州産木材と鉄筋を一体化した型枠兼仕上げ材「MIデッキ」と「MIウォール」を応接室や住宅の天井、壁に使用した。MIウォールの施工は国内初となる。
 工事中の仮囲いに使用した木質化フェンスの「MIフェンス」は加工し、新社屋の家具に再利用する。
 13日には竣工式を行い、石橋和人執行役員支店長らが祭壇に玉串をささげ、新社屋の完成を祝い、社業の発展を祈念した。石橋支店長は「先輩方が築いてこられた歴史と実績を大切にし、次の世代に引き継いでいきたい」と話し、地元産の建設資材の普及拡大にも意欲を見せた。



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東急不/鉄骨・木造ハイブリッドビル(東京都渋谷区)竣工、設計・施工は前田建設

 東急不動産が東京都渋谷区に建設していた鉄骨と木造のハイブリッドビル「COERU SHIBUYA(コエルシブヤ)」が竣工した。設計・施工は前田建設。同社らが開発した鉄骨と木を組み合わせた耐震システム「木鋼組子(もっこうくみこ)」を国内で初めて採用した。鉄骨・木造のオフィスとしては国内最高となる13階建ての建物になった。
 所在地は道玄坂1の20の3(敷地面積175平方メートル)。JR渋谷駅から徒歩6分に位置する。建物はS一部W造13階建て延べ1409平方メートルの規模。内外装に多くの木材を活用し、国土交通省の「サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)」に採択されている。
 木鋼組子は鋼板の芯材の外周を木で挟んで一体化した部材を、ひし形のブレースとして活用するシステム。圧縮力に強い木と、引張力に優れた鉄骨を組み合わせることで高い耐久性能を確保している。ビルには道路に面する2面に導入した。10~13階の柱と梁には「木質ハイブリッド集成材梁」を採用。鉄骨を耐火集成材で覆い、木質感のある内装を実現した。
 東急不が展開するオフィスビルブランド「COERU」の初弾物件となった。延べ約1600~3300平方メートルの規模で、ニーズに応じてオフィスか商業の用途を選択できるのが特徴。都内を中心に開発していく方針で、2024年度までに7物件の完成を予定している。



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2022年7月14日木曜日

インフラ輸出戦略に資材高騰が影響、各国で計画見直す動きも/国交省分析

 政府が推進する「質の高い」インフラシステムの輸出戦略が軌道修正を迫られている。コロナ禍で多くの国の財政状況が悪化し、資材価格も世界的に高騰しているためだ。国土交通省は「各国で対外債務を回避する傾向が出てきている」(総合政策局海外プロジェクト推進課)と分析。資材価格高騰に対しては世界中のプロジェクトに大きな影響を及ぼすと見ており、政府間協議で契約変更に応じるよう働き掛けていく考えだ。
 各国政府のインフラ投資マインドについて国交省は「事業規模の縮小や要求性能の見直しなど、計画そのものを見直す動きもある」(同)と説明する。背景には鋼材やコンクリートなどの価格が世界的に高騰している状況がある。コロナ禍が世界経済に影を落とす中でロシアによるウクライナ侵攻が発生。原材料の調達や物流が滞っている。
 国交省によると建設会社が相手国政府などと結ぶ工事請負契約書には世界標準のひな型があり、物価スライド条項も規定されている。だがひな型は対象品目をリストアップする形式。リスト外品目の価格が上がっても契約変更の対象にならず、受注者の利益を圧迫する。
 国交省は資材価格の高騰が世界中のインフラ事業で「そろそろ大きな問題になりそうだ」(同)と予測。工事がストップするなどトラブルが起きた場合は「相手国に対し、契約変更協議に応じるよう政府レベルで働き掛ける」構えだ。
 価格競争力に優れる中国など競合国の台頭も、日本のインフラ輸出戦略に軌道修正を迫っている。日本企業は長年高い技術力を前面に打ち出す受注提案に力を入れてきたが、「近年は競合国や建設地の地場ゼネコンの技術も向上し、日本の相対的な優位性が低下している」(同)状況だ。
 国交省は6月に決定した「インフラシステム海外展開行動計画2022」で新たな方針を打ち出した。価格競争力以外に活路を見いだす必要があると認識。新たな付加価値としてO&M(維持管理・運営)技術を前面に出し、従来重視してきた建設技術とパッケージにして相手国に提案する。近年の受注実績を踏まえ、空港や鉄道、道路といった交通分野を中心にトップセールスを強化する。
 各国の財政状況に配慮した事業手法としてPPPにも着目。日本政府は2017年にバングラデシュPPP庁と覚書を締結し、同国内のPPP案件に日本企業が競争入札を経ず優先交渉権を獲得できる枠組みを構築した。今後の政府間交渉ではこうした事例も踏まえつつ、日本企業がPPP案件に有利に参画できる環境整備に努める。



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四国整備局/ドローン隊が初の被災調査実施、高知県内のり面崩壊現場で

 四国地方整備局が2021年度に結成したテックフォース(緊急災害対策派遣隊)のドローン隊が初めての被災調査を実施した。台風4号に伴い5日未明に発生した線状降水帯の影響による大雨で、高知県中土佐町久礼の国道56号でのり面崩壊が発生。その被災状況を8日調査した。
 メンバーは班長の柳川克一四国整備局土佐国道事務所副所長と操縦者の横山萌花氏(四国整備局総務部)、操縦補助の石原伸彦氏(同災害対策マネジメント室)の3人。カメラを搭載したドローンを上空100メートル近くまで飛ばし映像を撮影した。道路防災ドクターの笹原克夫高知大学教育研究部自然科学系理工学部門教授が指導に当たった。
 柳川班長は「初期段階に人が近づけない場所が確認できる。映像を記録することで後から見返すこともできる。本格的な復旧工事に向けた設計の資料にしたい」と手応えを話す。
 現地では約700立方メートルに上る大量の土砂が道路に流れ込み、全面通行止めが続いていたが、被災直後から通年の維持工事を担う大旺新洋が土砂の撤去や仮設防護柵の設置に当たり、10日から片側交互通行ができるようになった。



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鹿島/超高層向け解体工法を開発、スラブを斜めに切断・支保工の存置不要

 鹿島はスラブを斜め方向に切断し、仮設支保工の存置を必要としない新たな解体工法を開発した。スラブを大割のブロックで切断して、建物内部の大型揚重開口からつり下ろし、地上階で破砕。粉じんの飛散・風散リスクを伴う作業を密閉された建物内部で完結できる。風の影響を受けず、外部に解体ガラが落下するリスクを抑える。
 新開発の「鹿島スラッシュカット工法」は▽斜め切断カッター▽スラブ切断兼つり上げ治具▽4点自動つり上げ装置▽スラブ切断ノロ水脱水装置-の四つで構成。切る、つる、下ろすのフローで作業を効率化した。
 「斜め切断カッター」は新開発技術。スラブを斜め方向に切断し、隣接するスラブが荷重を支えるため階下にスラブの落下を防ぐ支保工を存置せずに済む。先行して下層階のスラブ解体に着手でき、工期短縮を実現する。スラブ切断時に発生するノロ水をろ過・脱水する装置は、ノロ水を脱水ケーキにし廃棄物を削減。ろ過・脱水後の回収水は再生水として循環させ、スラブ切断に再利用する。
 切断したスラブは建物内部に設けた12メートル×9メートルの大型揚重開口内を通じタワークレーンで1階までつり下ろし、地上で小さく解体する。できるだけ大割のブロックに分けてクレーンで下ろすため効率よく短工期で解体できる。
 鹿島は同工法を世界貿易センタービル(東京都港区)の既存本館解体工事に適用。最高高さ162メートルの超高層ビルで、解体される建物としては国内最高という。同工法を適用することで通常7日間かかる1フロア2500平方メートルの解体を5日間で実施可能。1割程度工期を短縮する。解体重機も12台から6台に半減できるため二酸化炭素(CO2)排出量も抑制できる。風散・飛散や騒音を大幅に低減し、解体工事を本格化した。
 超高層ビルの従来の解体方法として、最上階で重機を使って破砕する「階上解体工法」と、建物をブロック状に解体する「ブロック解体工法」があった。ただ、これらの方法は解体ガラの落下リスクや最上部での粉じんの飛散、騒音などの問題があるほか、切断したスラブをつり下ろすまで支える仮設支保工の残置量が多くなる。コストの増加や工期が長くなってしまう課題があった。



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万博協/6万平米・円周2キロの大屋根新パース公表、世界最大級の木造建築に

 2025年日本国際博覧会協会は13日、大阪市此花区夢洲に設ける同博覧会(大阪・関西万博)会場のシンボル施設「大屋根(リング)」の基本設計概要と新しいパースを公表した。建築面積約6万平方メートル、円周約2キロ、高さ12~20メートルで、世界最大級の木造建築物になるという。大屋根は「清水の舞台」(清水寺、京都市東山区)のように木の柱と梁を組む「貫(ぬき)工法」で支える。会場デザインプロデューサーの建築家・藤本壮介氏は大屋根の実現を通じ「日本の木造建築・空間が世界をリードできるようにしたい」と力を込めた。=1面参照
 藤本氏は木造建築物が増えつつある世界の潮流を踏まえ「新しい時代の木造建築を提案することは、世界に大きなアピールができる。木造建築をリードする立場として、日本の伝統を示したいという思いがある」と強調。梁の端部が柱を貫通する貫工法を「現代的に再設計」し、現在の構造基準も満たす「伝統的な建築の趣がありつつ、現代的・未来的な木造をつくる」考えを示した。
 現在は柱・梁の接合にピンを使うことが多いが、会期後の木材のリサイクルやリユースについて検証した結果、貫工法の方が現代工法より解体も容易にできることを確認した。
 大屋根の上はバンク状。内側の高さは12メートルで、外側は20メートル。幅は約30メートル。植栽スペースも設け、「自然と共存する大屋根が会場全体の生態系の象徴になる」ように計画。会場動線となる大屋根下の空間の明るさを確保する天窓も設ける。地上とはエレベーターやエスカレーター、階段でアクセス可能にする。
 使用木材量は約2万立方メートルを見込む。水面に張り出す部分があり、「基礎のつくり方は大きなチャレンジ」と話す。「ものすごく大きな屋外劇場のようになるので、催事やアートなどに使われることがとても楽しみ」と期待を込めた。工事費は約350億円。本年度中に実施設計を終え、23年4月以降の着工を目指している。



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安藤ハザマ/次世代型オフィスの新東北支店ビル、24年2月竣工へ安全祈願祭

 安藤ハザマは13日、仙台市青葉区で計画する東北支店ビル新築工事の安全祈願祭を開いた。自社で設計・施工し、支店事務所と賃貸共同住宅が入る。不動産を有効活用するFM(ファシリティーマネジメント)事業の初弾として工事がスタート。施設規模はS造地下1階地上10階建て延べ8000平方メートル。上階(4~10階)に住宅102戸、下階(2、3階)に支店オフィスが入る。2024年2月の竣工を目指す。
 建設地は旧支店ビルがあった青葉区片平1の2の32。省エネ・創エネ技術や環境に優しい建設材料を選定し、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)化した次世代オフィスビルを建設・検証することで、顧客への提案に役立てる。
 神事には本社、支社の役員ら約20人が出席。福富正人社長が鍬、月津肇常務兼常務執行役員東北支店長が鋤を入れ、工事の無事故・無災害を祈った。
 福富社長は「安全性と環境に配慮したさまざまな技術を取り入れ、長期ビジョンで掲げる『お客様価値の創造』『環境価値の創造』『従業員価値の創造』につながる次世代のビルを目指す。近隣に対する十分な配慮と安全を最優先に施工する」と話した。
 □佐藤学幸仙台片平作業所長(安藤ハザマ)の話□
 「工程管理を綿密に、近隣への配慮を徹底していく。技術力を駆使し、安全と環境、品質、働き方のあらゆる面から見本となる現場にしていく」。



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2022年7月13日水曜日

インボイス制度、元下間の準備対応進まず/全建総連が一人親方にアンケート

 2023年10月に導入される消費税の仕入税額控除の新方式「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」を巡って、建設業の元下取引で制度導入を見据えた準備対応が進んでいない。現行制度で納税義務が原則免除される「免税事業者」を対象とした全建総連のアンケートによると、制度導入後の税負担の在り方などで上位企業と何らかの協議をした一人親方は1割程度に過ぎなかった。数年間の経過措置が設けられるとはいえ、元下双方が制度内容を理解し、どう対応すべきか十分に話し合う必要がある。
 アンケートは全建総連の構成組合の加入者を中心に4月1日~5月13日実施。一人親方のうち免税事業者1312人にインボイス制度の周知状況や現時点の準備状況を聞いた。
 制度導入後、仕入れや外注の際に負担する消費税分は、売り手が交付するインボイスを受け取り保存しなければ控除できない。ただインボイス交付に必要な事業者登録は課税事業者にしか認められていない。
 免税事業者が課税事業者に転換すれば新たな税負担が生じ、免税事業者のままでいても控除できない消費税分を誰かが負担しなければならない。いずれにせよ制度導入後の税負担で元下間の合意がなければ混乱が生じかねない。
 アンケートによると上位企業が課税事業者になるよう求めてくる可能性について「知らない」が40・3%で、制度そのものの理解が十分に浸透していない実態が分かった。上位企業から「課税か、免税か」を問うアンケートを受け取ったり、聞かれたりしたのは11・1%。それ以外は「何も聞かれていない」と回答した。
 制度導入後の取引の在り方で上位企業から「課税事業者にならないと今後の取引をしない」と言われたケースは22件、「雇用(社員に)したい」とアプローチがあったのは11件。制度導入後の請負金額で「据え置き」と言われたケースは13件、「新たに負担する消費税分だけ引き上げる」と提案があったケースは17件で、誰が税負担するか判断が分かれている状況がうかがえる。



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東保証4~6月取扱実績/請負額4・2%減、国や独立行政法人が低調

 東日本建設業保証が12日発表した2022年度第1四半期(4~6月)の公共工事の動向によると、前払金保証を扱った工事などの請負金額は前年同期比4・2%減の2兆7067億円だった。第1四半期として過去10年では12年度(約1・9兆円)、13年度(約2・4兆円)に次ぐ低い水準。発注者別では金額に占める割合が大きい国や独立行政法人、都道府県が低調だった。全体的に東日本大震災の復興工事がほぼ完了した影響も考えられるという。
 全体の取扱件数は3・5%減の3万3235件、保証金額は4・7%減の1兆0316億円となっている。
 発注者別の請負金額は、国が7・0%減の3926億円、独立行政法人などが15・1%減の4113億円、都道府県が2・8%減の7502億円、市区町村が0・9%増の9594億円、地方公社が15・2%減の289億円、その他が1・0%増の1641億円。
 国は国土交通省で442億円減少し、環境省が190億円増加した。国交省は中部地方整備局(前年同期比269億円減)の工事件数が減り、環境省は福島第1原発事故に伴う環境再生工事が増えた影響を挙げている。
 独立行政法人などは中日本高速道路会社が281億円、東日本高速道路会社が192億円のマイナス。中日本高速会社は八王子支社管内のETC設備工事、東日本高速会社は東京外かく環状道路(外環道)関連工事の反動減がそれぞれ響いた。都道府県は岩手県が158億円減少。県発注の道路工事が減ったという。
 5地区別の請負金額は、東北が8・0%減の5591億円、関東が1・1%増の1兆1409億円、甲信越が3・1%減の2617億円、北陸が20・2%減の1759億円、東海が5・3%減の4758億円。
 規模別の請負金額は、5000万円未満の小規模が2・7%減の4158億円、5000万円以上5億円未満の中規模が8・2%減の1兆1794億円、5億円以上の大規模が0・2%減の1兆1115億円だった。



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大林組/コンクリ構造物の自動化施工システム、PCa製造で省力化と工程短縮

 大林組は、3Dプリンターとロボット打設技術を活用したコンクリート構造物の自動化施工システムを開発した。セメント系材料を使用し3Dプリンターでプレキャスト(PCa)コンクリートの外殻を形成。この中にロボットアームでコンクリートを打設し、PCaブロックを製造する。鋼製型枠の製作、組み立て、解体作業が不要になり、PCaコンクリートの製造で省力化や工程短縮、コスト削減を図る。
 同システムはコンクリの吹き付けと流し込みの2パターンでPCaブロックを製造できる。打設経路をプログラミングしたロボットアームが自動でコンクリ打設する技術を採用。従来、数人の作業員で行っていたコンクリ打設を3分の1に省力化できるという。
 3Dプリンターは設計図から直接、ロボットの制御情報を生成し複雑な型枠や多品種の型枠が必要な構造物を構築できる。3Dプリンター製の外殻は鋼製型枠より短期間で製造できる上、次の製作に型枠を転用するまでの待ち時間が発生しない。PCaの製造工程を大幅に短縮できる。3Dプリンターの費用や人件費を比較しても鋼製型枠より安価に製造できる。
 大林組は日本ヒュームと同システムを適用した。プリントした外殻はコンクリと一体化しており、従来手法で製造したPCaと同等の強度を確認。PCaブロックの製造に成功した。
 特注の鋼製型枠で複数のPCaブロックの製造が必要なPCaケーソン基礎工事では、従来の約10カ月かかっていたブロックの製造工程を約2カ月短縮できる。外殻のプリントやコンクリの打ち込みをロボットアームが自動で行うため、24時間体制の製造が可能となり、さらなる製造工程の短縮を実現する。
 従来、コンクリート構造物の製造は、型枠の組み立てと解体、コンクリ打設など多くの人手が必要だった。大型のPCa製品は、鋼製型枠が特注生産となるため、設計から納品までの期間が約10カ月かかり、製造コストが高くなることが課題だった。



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中央日土地ら/淀屋橋駅東地区都市再生事業(大阪市中央区)、竹中工務店で着工

 中央日本土地建物と京阪ホールディングス(HD)が、大阪市中央区で計画する「淀屋橋駅東地区都市再生事業」の建設工事に着手した。オフィスや商業施設が入る延べ約7・3万平方メートルの超高層ビルを建設する。設計・施工は竹中工務店。2025年5月の竣工を目指す。
 計画地は北浜3の1の1ほか(敷地面積3940平方メートル)。大阪メトロ・京阪電気鉄道淀屋橋駅に近接する。敷地北側の中央日土地の「日土地淀屋橋ビル」と、南側に京阪HDが所有する「京阪御堂筋ビル」の敷地を一体化し、共同で建て替える。
 新たなビルはS一部SRC・RC造地下3階地上31階建て延べ7万2850平方メートルの規模となる。高さは約150メートルで周辺で最も高いビルになる。オフィスを中心に低層部に商業施設を配置。最上階には周辺を一望できる展望テラスを整備する。地下1階で淀屋橋駅と直結し、回遊性を高める。
 昨年12月に国土交通省の「サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)」に採択された。建物の省エネルギー化に向けて、断熱性を高める高性能外皮や調光を制御する昼光センサーを採用。排熱を利用するコージェネレーションシステムも導入する。



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兵庫県ら/公共交通勉強会開く、職員らがグリーンスローモビリティ試乗体験

 兵庫県は11日、2022年度第1回公共交通勉強会「グリーンスローモビリティ勉強会」(共催=神戸運輸監理部・復建調査設計)を神戸市内で開いた。郊外や地方都市の新たな移動手段として注目されるグリーンスローモビリティ(グリスロ)の活用事例などを講師が解説。導入に関心がある県内の自治体や交通事業者ら約70人が参加し、試乗会も行われた=写真。
 グリスロは時速20キロ未満で公道を走行する4~18人乗り程度の電動自動車。地域の乗り合いバスとして約2キロ圏内の移動を目安に、高齢者の買い物などの移動手段に利用される。二酸化炭素(CO2)の排出ゼロで環境に優しく、交通弱者の福祉向上や、相乗りによるコミュニケーションの活性化、観光利用で地域活性化などが期待される。
 勉強会では復建調査設計大阪支社の山口満交通計画課課長補佐がグリスロの概要を説明。国の委託事業として40カ所以上の自治体で実証実績がある同社の知見から、導入効果や運行スキームなどを解説した。大阪府河内長野市や岡山県備前市など地域交通や観光での導入事例を紹介し、導入に当たって「他のモビリティとの連携や、地域と密着した事業スキームの構築が必要」と話した。
 宮崎市都市戦略課の日高和哉公民連携推進室主査が、JR宮崎駅周辺再整備と合わせて導入したグリスロ「ぐるっぴー」の導入経過などを報告。松江市法吉地区で地域交通「リホープ」の運営を手掛ける社会福祉法人みずうみの岩本雅之理事長が、導入で進んだ地域コミュニティー形成の事例を紹介した。
 試乗会ではエナジーシステムサービスジャパン製(4人乗り)とヤマハ発動機製(7人乗り)のグリスロを使用し、兵庫県民会館(神戸市中央区)周辺の公道約700メートルを走行。参加者らが実際に利用者目線で乗り心地を体感した。



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2022年7月12日火曜日

下請次数制限8府県が導入・適正運用、重層構造改善へ事例周知/国交省調査

 国土交通省は技能労働者の処遇改善を一段と推進する方策として、重層下請構造の改善に焦点を当てた取り組みを始める。重層化の非効率性などを解消し、末端技能者にも適正な賃金が確実に行き渡る状況をつくる。その一環で複数の都道府県が発注工事で導入する下請次数制限制度の運用状況を調査。いずれも問題なく運用され、むしろ受注者側の利益向上や施工体制の明確化に効果が挙がっていることが判明した。こうした制度導入をほかの地方自治体にも先進事例として周知していく考えだ。
 中央建設業審議会(中建審、柳正憲会長)での直近の議論と連動した取り組みとなる。技能者の平均年収が公共工事設計労務単価の伸びに追い付いていない現状を踏まえ、国交省は設計労務単価相当の賃金が全体に行き渡るよう徹底させる方策が必要と指摘。重層下請構造が元下間の請負金額に与える影響を検証する必要性など課題を挙げた。
 国交省が下請次数制限に関する都道府県の取り組み状況を調査するのは2018年以来2回目。18年時点で導入していた▽埼玉▽新潟▽福井▽京都▽鳥取▽長崎-の6府県(うち1県は総合評価の加点措置)の運用状況をフォローアップするとともに、それ以降に▽三重▽宮城-の2県が導入したことも分かった。
 建築工事を「3次」、それ以外を「2次」までに制限しているケースが多い。運用状況を聞くと「ほぼ制限以内に収まっている」(京都)、「工事全体で下請契約している工事が7割から5割に減少」(福井)、「土木工事は導入前から2次下請以内がほとんど」(鳥取)、「次数制限を超えた工事は直近3年で平均0・6%程度」(三重)、「過去に契約後の不履行は発生していない」(長崎)などと回答。導入後に制度を撤回した事例もなかった。
 受注者から寄せられたメリットとして「次数が減り施工体制が明確化した」(埼玉)、「元請の売り上げが上がった、法令順守の意識が高まった」(新潟)、「元請の施工体制管理の改善、下請の利益向上」(宮城)との声があった。



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足立敏之氏が参院選再選/大型補正予算編成に全力、他産業並みの給与水準確保へ

 10日投開票の参院選で再選を果たした自民党の足立敏之氏が同日夜、日刊建設工業新聞の取材に応じた。47都道府県を回って「『建設産業の再生なくして日本の再生なし』と唱えて活動してきたことをすごく評価いただいていると実感した」と強調。「一番やらないといけないのは建設産業の賃金アップ。期待を裏切らないようにしたい」と述べ、当面は大型補正予算の編成に力を注ぐ考えを示した。=2面に関連記事
 足立氏は国土交通省時代から「現場主義」をモットーに活動している。選挙活動を振り返り「被災地に駆け付けて地域の声を聞き復旧・復興に尽力する。建設産業のために法律改正や制度を見直す。公共工事設計労務単価のアップに尽力するなど、いろんな取り組みを大変評価していただいているという実感がある」と話した。
 その上で「47都道府県を回り、建設業協会や専門工事業、建設コンサルタント、地質・測量、物流、住宅などものすごく幅広い方たちにご支援をいただいた」と述べ、感謝の意を表した。
 建設産業の最重要課題は、将来にわたる担い手確保を後押しする「新4K」(給与・休暇・希望・かっこいい)実現というのが官民共通の認識。足立氏は建設現場で働く技能者の賃金水準が全産業平均に比べ2割程度低い現状を指摘し、「いかに早く他産業並みに近づけていけるかが大きな課題だ」と力を込めた。
 目下の課題は今秋の臨時国会を想定した大型補正予算の編成と強調。「秋に大型補正予算を編成し、『防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策』(2021~25年度)に充てる3年目(23年度)の公共事業予算をしっかり確保することだ」と訴えた。
 建設関連団体が与党に予算確保とセットで新たな中長期計画の策定を求めている5か年加速化対策後、いわゆるアフター5か年対策の在り方にも言及。全国各地で甚大な自然災害が頻発している中、「26年度以降の道筋も付けていきたい。(秋の補正予算編成と合わせて)この二つが自分にとって大事なミッション。その期待が得票数に表れたと思う」と語った。



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日本躯体/広島県東広島市でコンクリート打設社内検定、1・2級に30人が挑戦

 日本建設躯体工事業団体連合会(日本躯体、大木勇雄会長)は10日、広島県東広島市の東広島地域職業訓練センターで、中国・四国地区の2022年度「コンクリート打ち込み・締め固め工社内検定」を行った。1級検定に29人(中国地区27人、四国地区2人)、2級検定には1人(中国地区)が受検した。21年度に創設した技能認定制度でこれまで東京地区で2回実施。今回が初めての地方開催となった。日本躯体は技能者の処遇改善や社会的地位向上に向け全国展開していく。
 同社内検定は国家資格のなかったコンクリート打設の技能者の地位向上や処遇改善を図るために立ち上げた制度で、厚生労働省の認定を得ている。地方での実施は中国地区が初めてで、23年は東北、近畿、四国、九州の各地区で開催を予定している。
 試験は筆記と実技で構成。実技はコンクリートに見立てた、けい砂と骨材の混合物を使用し、準備から締め固め作業、片付けまでの段階ごとに検定員が採点。実技後には口述試験で機械の操作や締め固めの状態などについて適正に判断できているかを判定した=写真。
 試験会場を訪れた大木会長は「しっかりした構造体を造るためにはコンクリートの打設が重要だが、作業員はこれまで大事にされてこなかった。客観的に技能レベルを評価する制度を設け、資格を取得することが処遇改善につながるよう、元請などにも働き掛けたい」と強調。さらに「建設キャリアアップシステム(CCUS)のレベル判定にも連動させ、技能者の年収引き上げを目指したい」との考えを示した。
 中国建設躯体工業連合会の福井正人会長は「受験生を増やしていかなければならないが、実施にかかるコスト、日程設定などが課題となっている。週休2日の実施、現場閉所が徹底されていけば大きな力となる」と話した。



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東急建設/建築物関連の全CO2排出量算出、シート1枚で顧客に提供

 東急建設は11日、自社施工の建築物に関連する全ての二酸化炭素(CO2)排出量を算定し、1枚のシートにまとめて希望する顧客に提供すると発表した。今後受注する新築工事が対象。資材調達や建物の施工、竣工後の運用など一連の過程で発生する年間CO2排出量を独自手法により短時間で試算し、グラフや数値で一覧にする。結果を見て提案を見直すなど、CO2削減に役立ててもらう。
 サプライチェーン(供給網)を含めた建築物のCO2排出は、▽鉄骨やコンクリートなど建設資材関連▽重機や輸送車両の燃料、仮設電気など施工関連▽完成後に使う電気や燃料など建物の運用関連-の三つに大別される。
 資材関連の排出量は、同社が公的データやメーカーへの聞き取りでつくった独自データベースによる「積み上げ式CO2排出量算出シート」を基に算出する。施工時の排出量は、自社保有の施工実績データを係数化して算定。完成後の排出量は用途別の一般的なエネルギー消費量を想定し、設計時の省エネ性能指標(BEI)を組み合わせて計算する。
 近年は気候変動への関心の高まりを受け、建物も供給網を含めた全体のCO2排出量の把握が企業などに求められている。東急建設は1枚のシートにまとめることで、顧客に排出量の見込みを分かりやすく示せるようになる。必要な資材の数量が決まれば時間をかけずに試算結果を得られ、さらにCO2を減らせたり効率的に施工できたりする計画の提案につなげる。
 今後はコストとの兼ね合いなど顧客の要望に沿った提案を作成しながら、脱炭素社会の実現に貢献していく。



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岐阜県各務原市/新総合体育館・運動防災公園基本計画案、総事業費120億円

 岐阜県各務原市は、「各務原市新総合体育館・総合運動防災公園整備基本計画」の素案を公表した。各務原スポーツ公園広場の南東部に2階建て延べ約1万3000平方メートルの総合体育館を整備し、災害時は防災活動拠点として活用。周辺の広場や駐車場は人員や物資の活動・収集拠点とする。総事業費は約120億円。事業手法は民間活力導入を見据えて検討する。全体の完成は2029年度ごろを見込んでいる。
 建設地は、各務山の前町1。敷地面積は約6・9ヘクタール。新総合体育館のメインアリーナ(3174平方メートル)は、2階に約1400席の固定観覧席と、アリーナフロアに臨時の観覧席約1600席を設置し計3000席を確保。サブアリーナ(1426平方メートル)は固定観覧席約300席を確保する。武道場やトレーニングルーム、会議室、研修室なども設ける。
 新総合体育館の外溝部分には芝生広場や噴水広場のほかカフェやコンビニなどの施設も誘致する。3カ所に計2万8000平方メートルの駐車場と防災備蓄倉庫1棟も整備する。災害時は施設内部が地域住民の避難場所や各機関の運営本部として機能。駐車場は自衛隊や消防などの活動拠点とするほか、隣接する各務原スポーツ公園広場の施設や広場も一体的に活用する。
 事業費は概算で公園整備費が約35億円、体育館建設費は約84億円、防災備蓄倉庫建設費は1億円を見込んでいる。
 事業手法は、定性的評価ではPFIの経験がない企業でも参画しやすく補助事業や起債が可能な従来方式が優位とした。定量的評価ではPFI法に基づかず設計・建設・維持管理・運営を一括して発注するDBO方式が最も優位とした。このため、今後はDBO方式やPFIのBTO(建設・移管・運営)など民間事業者と連携を図る方式を見据えて検討する。
 市は市民意見を踏まえ本年度に基本計画を策定するとともに用地取得を開始。民間活力を導入する場合は23年度に可能性調査を実施し、24~25年度に事業者を公募、選定するスケジュールを想定している。



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2022年7月11日月曜日

建設団体22年度総会終了/賃上げ・時間外削減へ注力、資材高騰に危機感

 建設関係団体の2022年度定時総会が6月末までにほぼ終了した。多くは対面形式で行われ、3年ぶりに懇親会を開いた団体もあった。建設資材の価格高騰など業界を取り巻く環境は厳しさを増している。参院選も終わり今後は、編成が想定される国の22年度第2次補正予算での公共事業関係費確保が焦点となる。各団体の本年度事業計画や幹部の言葉を振り返り、当面の課題や展望を探る。
 「建設業の変革を目指していく中で利益が上がらない状況では前向きな取り組みができない。技能者の適正な給与支払いにも水を差しかねない」。日本建設業連合会(日建連)の宮本洋一会長は、過去に例がない資材の大幅な値上がりに危機感を募らせる。
 日建連は民間発注者に資材高騰の現状を説明する資料としてパンフレットを作成。経団連(十倉雅和会長)にも会員への周知を要請した。今後は政府による補正予算編成を想定し、公共事業費の確保とともに物価高騰で民間建設投資が落ち込まないような経済対策を求める方針だ。
 「労務単価引き上げなどの施策が下請も含む建設業全体の賃上げに適切に反映されるよう取り組んでいかないといけない」と話すのは全国建設業協会(全建)の奥村太加典会長。防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策に充てる公共事業費の支出平準化とともに、対策終了後のいわゆるアフター5カ年対策と予算確保の必要性を訴えた。
 全国中小建設業協会(全中建)の土志田領司会長は、市町村を中心とする地方自治体発注工事の依存度が高い会員の特性を踏まえ、安定経営に向け「最低制限価格率95%以上」を呼び掛けた。依然として予定価格から10%以上低い安値受注を容認している事例がある背景も説明した。
 業界にとって24年4月適用の時間外労働の罰則付き上限規制への対応も喫緊課題だ。日本埋立浚渫協会(埋浚協)の清水琢三会長は受発注者協働で週休2日(4週8休)に努める一方、協力会社で働く技能者の賃金が減らないよう取り組んでいくことを強調。「社会的課題に対し責任のある、持続的にきちっとやっていける業界だという方向付けをしていきたい」と述べ、現場の生産性を高める技術革新に意欲を示した。
 日本道路建設業協会(道建協)の西田義則会長は、ストレートアスファルトの高騰分が合材販売価格に十分に転嫁されず「合材製造産業の収益を圧迫している」と説明。価格転嫁に関する国土交通、経済産業両省の通知を紹介した上で「適正な価格転嫁の実現に努力する」と力を込めた。



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国交省/22年建設事業功労者大臣表彰の受賞者決定、221人・2団体に

 国土交通省は、2022年の建設事業関係功労者等国土交通大臣表彰の受賞者を決定した。建設事業関係各分野の発展に尽くした221人と優良2団体を表彰する。11日に東京・霞が関の国交省内で表彰式を行う。=6面に受賞者一覧
 優良団体以外の分野別受賞者数は収用委員等16人、建設業97人(総合48人、専門49人)、不動産業28人、測量事業等9人、建設機械4人、都市計画事業17人、河川事業9人、道路事業4人、住宅・建築事業36人、建設行政1人。
 建設業関係では伊藤隆三元守谷商会社長(日本建設業経営協会副会長)、津波達也屋部土建社長(沖縄県建設業協会会長)、土井建土井組代表取締役会長(熊本県建設業協会会長)、福田勝之福田組代表取締役会長(新潟県建設業協会常任理事)、川田琢哉川田建設社長(プレストレスト・コンクリート建設業協会理事)、菅原稔郎復建技術コンサルタント社長(建設コンサルタンツ協会理事)らが受賞した。
 不動産業関係で菰田正信三井不動産社長(不動産協会理事長)、建設機械関係で小沼直人アクティオ社長(日本建設機械レンタル協会副会長)らを表彰。住宅・建築事業関係では市川晃元住友林業社長(日本木造住宅産業協会会長)、伊藤公智アルテック設計代表(三重県建築士会会長)、森戸義美元関電工社長(元ロングライフビル推進協会副会長)らが選ばれた。
 優良団体では建設産業専門団体連合会(建専連)らが受賞した。



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熊谷組/新テレビCMに川口春奈さん起用、7月16日から全国12地区で放送

 熊谷組は俳優の川口春奈さんを起用した新テレビCM「砂場でまちづくり篇」を制作した。川口さんが演じる女性社員が砂場で出会った男の子とトンネル作りに挑戦。最後に立派な街が完成しているというストーリー展開。16日に全国12地区で放送が始まる。
 新テレビCMのメッセージコピーは「Believe.」。SDGs(持続可能な開発目標)など新しい未来の実現を“信じて”実行していく企業姿勢、自分を仲間を“信じる”熊谷組の社員の姿勢を表現している。同社は川口さんの起用について「夢と信念を持って働く女性を描くに当たり、演技力の高さと真摯(しんし)にひたむきに活躍する姿勢に共感した」という。
 CMは男の子が失敗を繰り返しながら砂場でトンネル作りに挑戦する姿を見た川口さんも、一緒に寝転びながらトンネルを作り始める。実際に公園の砂場に熊谷組が手掛けるまちづくりをイメージしたセットを制作し撮影した。



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建設技研インターナショナルら4者JV/フィリピンの湖畔道路詳細設計を受注

 建設技研インターナショナル・オリエンタルコンサルタンツグローバル・大日本コンサルタント・長大JVが、フィリピン・ラグナ湖で計画されている総延長約37・8キロの道路詳細設計を受注した。発注者は同国公共事業道路省。予備費を含む契約金額は約44億円。設計期間は2023年3月まで。道路の完成は26年末を予定している。
 業務件名は「ラグナ湖畔道路詳細設計業務」。道路はマニラ首都圏南部にあるラグナ湖の湖上に建設する。総延長約37・8キロのうち、橋梁部は約21・1キロ、土工部は約16・8キロ。アジア開発銀行(ADB)がプロポーザルを公示し、建設技研インターナショナルJVが選定された。JVは主に橋梁部の設計を担当する。
 計画している道路と並行する既存の道路「AH26号線」は慢性的に渋滞が発生している。湖畔の道路の完成によって渋滞緩和による経済効果や、二酸化炭素(CO2)排出量削減への寄与などが期待される。計画道路南側の土工部は、南西部地域に多発する洪水を緩和させる堤防としての機能も期待される。
 ラグナ湖は沿岸延長約220キロ、湖面積約900平方キロと、琵琶湖の約1・3倍の面積を持つ。



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日本オーチス・エレベータら/エレベーターとロボットのクラウド連携成功

 昇降機メーカーの日本オーチス・エレベータ(東京都文京区、ティボー・ルフェビュール社長)は、大阪市内にあるホテルでエレベーターとロボットのクラウド連携のテスト運用に成功した。エレベーターとロボットのクラウドシステムを接続して通信。人間の手を借りずにエレベーターを呼び、目的地を選択してフロア移動できる。テスト運用ではホテルの宿泊客に物品を配達した。
 テスト運用は大阪市中央区にある「ホテル京阪 ユニバーサル・タワー」で、ロボットプロパイダーのエイム・テクノロジーズ(東京都港区、吉本万寿夫社長)と共同で実施した。同社のホテル向けサービスロボットを日本オーチスのエレベーターと通信、接続した。
 通信には、同社のAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)「オーチス・インテグレート・ディスパッチ」を利用。エレベーターを呼んで目的階を指示できる。オーチス・インテグレート・ディスパッチは多くの自立型サービスロボットと連携できる。さまざまなプロパイダーの異なる種類のロボットにも柔軟に対応可能だという。
 ティボー・ルフェビュール社長は「今後もエレベーターとロボットの連携に向けた研究や開発を進め、ロボットがよりシームレスにビル内を移動できるよう追求する」とコメントした。



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2022年7月8日金曜日

近畿建設協会と本紙/大阪市でインフラDXシンポ開催、官民の課題や取り組み共有

 建設分野のDXについて考える「インフラDXシンポジウム」(主催・近畿建設協会、日刊建設工業新聞社)が6日、大阪市中央区のドーンセンターで開かれた。本年度は国土交通省がDX推進に向けた「挑戦の年」に位置付けており、シンポジウムでは3Dデータを活用した官民の取り組みや、生産性向上に不可欠な技術者の役割などを話し合った。官民の関係者ら約270人が参加し、オンラインで約500人に配信した。
 冒頭、近畿建設協会の谷本光司理事長は「DXはトランスフォーメーションが重要だ。変革によってライフスタイルも変わる。自分自身が取り組み、努力しないといけない。シンポジウムを何をすべきかを考えるきっかけにしてほしい」とあいさつ。
 国交省の佐藤寿延官房技術審議官は「通信の技術に加え、情報とデータをどう使い、現場にどうフィードバックして生産性と効率性を高めるかの大きな挑戦になる。従来の常識にとらわれない新しい取り組みへの機運を高めてほしい」と話した。
 基調講演で国交省総合政策局の岩崎福久公共事業企画調整課長は「インフラDXへの挑戦」をテーマにICT施工の普及に向けた取り組みなどを紹介。アドバイザー制度やeラーニングなどを説明するとともに、小規模現場で普及させるには「小型バックホウのICT化が重要になる。マシンガイダンスを使い、安価で施工できる環境が整備されている」とし、施工経験がない企業に「体験することで今までとの違いが分かり、その効果を実感できる。それを社内や社外にも発信してほしい」と期待した。
 続いて「DXに向けた企業からの挑戦」と題しリレートークが行われ、日本建設業連合会(日建連)関西支部から大成建設技術センター生産技術開発部スマート技術開発室の片山三郎課長、OCF(CADソフトウエアベンダー団体)から福井コンピュータ関西営業所の村田真悟所長代理、建設コンサルタンツ協会(建コン協)近畿支部から中央復建コンサルタンツの森博昭ICT戦略室長が、それぞれの会社や団体の取り組み、DXに関わる現状を紹介した。
 パネルディスカッションのテーマは「地域建設業からBIM/CIM施工への挑戦」。立命館大学総合科学技術研究機構の建山和由教授がコーディネーターを務め、道端組の道端健太社長、川嶋建設の松本英利土木工事部副部長、尾花組の谷口庸介社長、吉川組の鬼武利幸営業企画部副部長が地域建設業の課題や取り組みを討論。近畿地方整備局企画部の堤英彰技術調整管理官も加わり、建設業を巡る整備局の取り組みなどを説明した。
 道端氏は「3Dデータで施工の効率化が図られている。ただ、2Dの図面は完成形や作業手順をイメージできた。3Dだけにせず、2D図面や丁張りも覚えるようにしないといけない」と指摘。松本氏は「ICT施工が当たり前になり、丁張りがあると作業がしにくいという声もある。今は3Dデータを作成できる職員の育成が課題」と話した。
 松本氏は「受発注者ともに同じ方向を向いてインフラDXを推進する必要がある」と強調。鬼武氏は「ICT施工のノウハウがたまり、施工の実績を上げるとともに省力化につながっている」と話した。
 続いて、近畿2府5県の建設業協会の会長らがオンラインで登場し、建設分野のDX推進に向けて決意を述べた。
 最後に建山氏は「いまは新しい技術を取り入れ、課題を解決できる時代の中にいる。多くの方が自分ごととしてとらえ、前向きに変えていく取り組みを結集することで改革ができる」と締めくくった。



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2022年7月7日木曜日

22年度建設投資は実質減に、物価高騰で名目増から反転/建設経済研ら見通し

 建設資材や燃料の急激な価格高騰を要因に、足元の建設投資額が実態を超えて上振れしている。建設経済研究所と経済調査会が6日発表した建設投資予測の最新推計によると、2022年度の投資総額は前年度比で名目値が3・1%増、物価変動の影響を取り除いた実質値が1・8%減。前年度比増減が反転するほどの隔たりがあった。実質値の減少により実際に手掛ける工事量は減っていると考えられ、現場の肌感覚と合わない状況が生まれている可能性がある。
 22年度建設投資予測の前年度比増減を分野別に見ると、▽政府投資=名目値1・5%増、実質値2・4%減▽民間住宅投資=2・2%増、3・9%減▽民間非住宅建築投資=9・4%増、3・6%増▽民間建築補修投資=1・8%増、3・1%減▽民間土木投資=1・2%増、2・7%減。いずれも名目値と実質値に大きなギャップが生まれた。
 実質値の算定に用いる「建設工事費デフレーター」(建設工事にかかる費用の相場を示す指標)は、これまで緩やかに上昇してきた。国土交通省の公表数値によると15年度を「100」とした場合、暫定値で20年度は107・9、21年度は112・9と推移。ただ建設経済研究所による22年度予測は118・8に跳ね上がる。ここまで急激な上昇幅は前例がない。
 コロナ禍の低迷から回復してきた民間投資への影響は大きそうだ。住宅着工戸数は22年度に前年度比0・8%減の85・90万戸と予測。いったん回復した住宅需要が資材高騰の影響で伸び悩むと判断した。分譲住宅のうち「マンション・長屋建」は1・5%減の10・27万戸と見通す。
 民間非住宅建築は着工床面積の22年度予測が4・1%増の4555万平方メートルと好調。店舗や工場は10%超の増加を想定。21年度に大型物件が相次いだ事務所は20・5%減だが、首都圏などで大型再開発を控え当面堅調と予測する。ただ物価高騰が長引いた場合、民間企業の投資判断にどう影響を与えるか注視が必要だ。



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東北整備局ら官民合同技術講習会/持続的に若手技術者育成、コロナ禍乗り越え本格化

 建設産業の将来を担う技術者を官民連携で育成する「東北土木技術人材育成協議会」の活動が、コロナ禍を乗り越え本格化している。若手を対象にした基礎技術講習会のうち、土木コースのプログラムが4日に宮城県多賀城市の東北地方整備局東北技術事務所で始まった。2020、21年度の講習会は感染症対策として参加人数を絞って開催した。同協議会は22年度、ウェブも併用しながらカリキュラムを工夫。受講者が1000人近かったコロナ禍以前の7割以上を目標に、「学びの場」を若手技術者に提供していく。
 同協議会は担い手の持続的な確保と育成を目的に、東北整備局や建設関係団体で17年3月に立ち上げた。建設産業に関連する専門分野の知識、i-Constructionをはじめとする建設DXを核にした生産性向上などで学びの機会を提供。行政機関や業界団体が個別に実施していた講習会を合同で開き、密度が高く充実した内容のプログラムで若手技術者の成長を後押ししている。
 メンバーは東北整備局と東北6県、仙台市、建設、測量・建設コンサルタント、建設機械、発注者支援の各業界団体合わせて17機関で組織する。初年度の17年度に391人が受講した後、2年目は884人、19年度に958人と参加人数が大幅に増えた。若手技術者の育成だけでなく、i-Conに関連するノウハウを伝授する市町村向けの講習も内容を拡充した。ただ新型コロナウイルスの感染拡大もあり、20、21年度は規模を縮小した活動を余儀なくされた。
 新型コロナの感染拡大が以前に比べ落ち着いた本年度、同協議会は「受講者数でコロナ禍前の7割以上」を目標に活動を本格している。4日からスタートした土木コースの基礎講習会は137人(官57人、民80人)が受講しているという。8日までの日程で土工、アスファルト舗装、コンクリート、構造物設計の分野ごとに座学と実習で知識と技術を学んでいる。第2回は9月5~9日、第3回は11月7~11日に予定している。
 福島市に本社を置く佐藤工業で働く入社4年目の國分和樹さんは「監督・検査業務の知識を得ることで現場に生かせる。技術者としてスキルアップにつなげたい」と話していた。



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長大/広島県福山市で飛ぶクルマ実証実験、国内初の海上飛行に成功

 長大は6日に広島県福山市で、2025年の日本国際博覧会(大阪・関西万博)への出展を目指す「空飛ぶクルマ」(電動垂直離着陸型航空機)の実証実験を行った。2人乗りの機体を地上30メートルまで上昇させた上で、海岸沿い約450メートルを無人飛行した。空飛ぶクルマによる海上の飛行実験は国内初の試みだ。
 人・夢・技術グループの永冶泰司社長は「空飛ぶクルマが実現すれば地方の人も気軽に病院に行けるし、医師による山間部などへの往診も可能になる。生活の利便性や安全性が大幅に向上するだろう」と期待を込めた。
 実証実験を行ったのは福山市の海水浴場。空飛ぶクルマの中国メーカー、EHang(イーハン)製の機体を使用した。機体はコンピューターで遠隔制御し、離着陸と飛行を無人で行った。機体は450メートル程度の距離を往復。海上も問題なく安定飛行できることを確認した。
 長大の野本昌弘社長は「(空飛ぶクルマは)日常生活の利便性に加え、災害時の救出活動や、水などの物資の運搬にも有効だ。今回の実験でこれらの実現に向け一歩前進できた」と手応えを示した。
 実証実験を担当した長大の菊地英一執行役員事業戦略推進担当は「かなりの確度で安定飛行できることを確認できた」と主張。実現に向けた今後の取り組みについては「実用化した際の騒音の問題などにも対応していく。空飛ぶクルマをどう社会インフラに適用するかという観点で、課題を一つ一つ解決していきたい」と語った。
 同社は道の駅や高速バスターミナルといった陸上交通の企画設計やPPPによる運営の実績を持つ。これらの実績に加え、ドクターヘリ用のヘリポートのある病院の設計を通じて得たノウハウを生かし、空飛ぶクルマの離発着場を含めた街づくりへの参入を狙う。
 長大は経済産業省や国土交通省らによる「空の移動革命に向けた官民協議会」に参画している。空飛ぶクルマの実現に向け▽社会実装に向けた制度策定▽離発着場の導入・評価▽建築・構造設計、設備設計、災害対応といった実装▽PPP運営、維持点検、自治体導入支援などの展開-の4点を検討している。
 協議会が3月にまとめたロードマップによると、25年の大阪・関西万博までは試験飛行や実証実験の期間に位置付けられる。万博以降は20年代後半に商用運行の拡大、30年代以降にサービスエリアや路線・便数の拡大を目指すとしている。



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トヨタ不ら/富士スピードウェイホテル10月7日開業、モータースポーツの魅力発信

 トヨタ不動産(名古屋市中村区、山村知秀社長)とトヨタ自動車は、富士スピードウェイ(静岡県小山町)の隣接地に建設している「富士スピードウェイホテル」の開業日を10月7日に決めた。レースが観戦できる客室や、レーシングカーを展示する博物館などを設け、モータースポーツの魅力を体験できる施設となる。ホテルの設計・施工は大林組が担当した。
 ホテルは地下1階地上9階建て延べ2万6771平方メートルの規模。客室数は120室。富士山を望む客室や、サーキットの最終コーナーに面した客室などを用意した。吉川源太総支配人は「モータースポーツの興奮を、客室にいながら体験できるのは当ホテルならではの特徴になる」と話した。温泉や地元静岡県産の食材を利用したレストランなども併設する。
 ホテルの1、2階にはトヨタが監修する自動車の博物館「富士モータースポーツミュージアム」を開設する。展示面積は約3500平方メートル。自動車メーカー10社と連携し、世界のレーシングカー約40台を設置。これまで非公開だった車両なども展示する。布垣直昭館長は「自動車の技術進化を促してきたモータースポーツの歴史は、ファン以外にも楽しんでもらえるものになると思う」と述べた。
 トヨタらは富士スピードウェイ周辺の約250ヘクタールを大規模開発する「富士モータースポーツフォレスト」プロジェクトを進めている。ホテルやレーシングチームのガレージなどを整備し、年間100万人が訪れる拠点を目指す。トヨタの西塚淳BRフォレスト準備室長は「ホテルの開業を皮切りに、来年以降はさまざまな施設やコンテンツを拡充していく。多くの方に来場いただき、体験を広げる施設にしたい」と話した。



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兵庫県明石市/JR西明石駅南地区再編へ都市計画道路整備、複合施設移転も

 兵庫県明石市は、JR西日本と共同計画している西明石駅周辺開発の初弾として、同駅南地区(西明石南町ほか)の再編に着手する。同駅新幹線ホーム(北側)と在来線ホーム(南側)をつなぐ連絡通路の南端に南改札口を新設し利便性を向上。南駅前広場と新駅ビルを建設し、南北軸の都市計画道路を整備する。JR所有地のマンション建設に伴い、市有の複合施設「サンライフ明石」(西明石南町3)を沿道に建て替え移転する。都市計画手続きを進め、10月ごろに県で都市計画案を縦覧、11月ごろに決定告示する予定だ。
 5日に「JR西明石駅周辺地区における公共施設等の整備・運営に係る調査業務委託」の公募型プロポーザルを公告した。業務では開発の収益や利便性を考慮し、施設整備の方向性を検討する。対象範囲は南地区を中心とする約1・5キロ圏内。サンライフ明石など既存公共施設の把握や導入機能検討、管理運営の意向調査を行う。駅東口側の旧国鉄清算事業団用地(同1)の活用案やPPP/PFI導入可能性も検討する。
 参加資格は建設コンサルタント「都市計画及び地方計画」で登録する者。15日まで参加申請書を受け付け、ヒアリング審査を経て8月4日に選定結果を公表する。見積もり限度額は1659万7000円(税抜き)。履行期限は2023年3月31日。
 新設予定の市道「西明石駅南線」は、南北軸の国道250号明姫幹線の小久保南交差点からL字状に南駅前広場に到達する。延長は約440メートル、幅員は16~19メートル(車道7メートル、歩道9メートル)。既存の路地を拡幅し整備する。駅前広場の面積は約1900平方メートルでロータリーを整備。JRが南改札口を含む3階建て程度の駅ビルを建設する。
 市が4月に地元説明した都市計画変更案によると、用途地域を第1種住居地域・準住居地域から近隣商業地域、建ぺい率を60%から80%、容積率を200%から300%にそれぞれ変更する。建物の高さ上限は設けない。
 サンライフ明石(RC造3階建て)は新設市道と接する西側隣接地に移転。東西に隣り合うJR社宅跡地に、JRがマンションを建設する。
 南地区の再編完了後、駅東側で旧国鉄清算事業団用地(約6900平方メートル)の利活用を行う。



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2022年7月6日水曜日

JACIC/土木分野の画像・映像データ利用で提言、「評価・判定」に活用可能

 日本建設情報総合センター(JACIC、深澤淳志理事長)は、土木分野で画像・映像データの利活用を広める方策をまとめた提言を公表した。ICTの進展で画像・映像を単なる記録や目視の代替だけでなく、より高度な評価・判定に活用可能と指摘。土木分野で利活用が求められる領域・プロセスを明示し、関連要領・基準類に反映する重要性を説いた。提言内容を国土交通省や地方自治体に周知し、実現場での適用を目指す。
 JACICが事務局を務める産学官の有識者会議「社会基盤情報標準化委員会」の特別委員会(委員長・皆川勝東京都市大学名誉教授)がまとめた。全方位カメラやドローン撮影、AIによる画像分析、VR(仮想現実)・AR(拡張現実)などが発展する中、その利活用に向けた体系的な検討が土木分野で十分に行われていないという問題意識が背景にある。
 提言では画像・映像と撮影対象物の属性状況を組み合わせることで「評価・判定」が可能になる側面を強調。画像・映像データのマネジメントで意思決定の高度化が可能と訴える。
 既存技術や利活用事例を分析すると、対象としてコンクリート構造物やアスファルト、土構造物、鋼構造物が多かった。画像・映像はひび割れなどの損傷や変状の把握に適しているからだ。
 土木分野のうち建設プロセス別に利活用事例を見ると、道路関連の維持管理や河川関連の災害対応が目立つ。AIや3D点群モデルを活用し舗装や橋梁、トンネルの損傷を見つけたり、画像解析で河川の流速や流量を把握したりする。AR・VRを用いた配筋検査に利用するケースもあった。
 事例数が多かったり利活用場面が明確だったりする技術は標準化が望ましく、要領・基準類の作成、反映につなげることが重要とした。自動車や鉄道、防犯といった他分野の先行事例を参考に、建設分野で高度な利用につなげる有効性も指摘。これを機に業務の仕方を変革し、建設プロセスの生産性向上に寄与することに期待を示した。



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竹中工務店ら3社/火災時の避難口誘導灯開発、危険箇所への進入禁止を表示

 竹中工務店、東芝ライテック(神奈川県横須賀市、平岡敏行社長)、ホーチキの3社は5日、火災時に危険な箇所への進入禁止を表示する避難口誘導灯を共同開発したと発表した。火災検知器、制御盤、誘導灯の三つが連動し、火災の発生場所に応じて進入禁止を表示する仕組み。出火場所につながる扉などの上に設置することで、避難する人が危険な場所に駆け込んでしまう事態を防ぐ。
 6月に竣工した名古屋市国際展示場第1展示館整備事業に初適用した。日本消防設備安全センターのシステム評価を取得した。5日時点でシステム評価を取得しているシステムの中で、進入禁止を表示する避難口誘導灯は初という。
 開発したシステムは避難経路上で火災が発生した場合、火災で使用できなくなった避難経路上にある避難口誘導灯に「×印」を表示することで、安全な避難口に誘導する。火災が発生すると、発生箇所付近の火災検知器が煙などを検知。制御盤が火災検知器からの火災信号を受信し、避難経路上にある避難口誘導灯に×印を表示させる。
 誘導灯は平常時は通常のイラストとして表示される。システムが機能すると、イラストに大きく赤い×印が強調される。システムは後付けでも設置できる。
 開発に携わった竹中工務店技術研究所建設基盤技術研究部架構・防耐火グループの長岡勉主席研究員によると、火災時に避難階段で人的被害がある場合は、後ろからどんどん人が入ってしまい、戻れない時に発生しているケースがあるという。「危険な箇所につながる階段に人が入らないようにすることで安全な避難につなげたい」(長岡主席研究員)と話している。
 一定規模の建物では、火災や災害発生時の安全な避難を目的に、複数の避難経路が計画されている。しかし出火場所によっては一部の避難経路が利用できない場合もあり、そこにつながる誘導灯が表示されたままでは、避難者が誤って危険な避難経路に誘導される恐れがある。



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福岡県大刀洗町らの保存会/今村天主堂耐震補強・補修、文建協で調査工事着手

 一般社団法人「今村天主堂保存会」は国指定重要文化財の今村天主堂(福岡県大刀洗町今)=写真=の耐震補強・補修事業に着手する。文化庁の補助事業採択を受け、文化財建造物保存技術協会(文建協)に調査工事を発注した。2023年度までの2カ年で調査工事を行い耐震補強の工法などを決め、24年度に本格的な工事に着手する見通し。事業期間は10年程度、20億円を超える事業費を見込む。
 今村天主堂は九州最大規模のれんが造りの教会堂。九州各地の教会建築を手掛けた鉄川与助が設計・施工を担当し、1913年に完成した。床面積は1階部分が530平方メートル、2階部分が28平方メートル。
 自然災害や老朽化により、柱が傾き、壁がひび割れるなど建物が著しく傷んでおり、17~18年度に実施した耐震診断では大規模な地震が発生すれば倒壊する恐れがあると判定された。21年1月から堂内への立ち入りを禁止している。
 耐震診断では地盤が軟弱なため基礎の補強と地盤改良が必要と指摘されている。このため調査工事では基礎の一部を解体し、新築時に基礎工事で施工したとされる松杭などの状態を確認する。この結果を受け基礎工事の内容を固める。
 建物本体については傾いた双塔の内部を鉄骨フレームで補強する案などを想定しており、調査工事の一環として進める実施設計の中で詳細な工法を決める。
 調査工事は重要文化財関連の高度な知識や経験、技術力が必要なため、文建協に随意契約で発注した。24年度以降の耐震補強・補修工事の発注方法は入札などを今後検討する。



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盛岡市/盛岡南地区で大規模物流拠点整備、公募条件整理へ対話調査実施

 盛岡市は、市の南側にあり東北自動車道盛岡南ICやJR貨物の盛岡貨物ターミナル駅に近接するエリアで、大規模物流拠点の開発を計画している。民間事業者の進出意向や公募条件の整理に向け、サウンディング(対話)型調査を実施する。90ヘクタールの開発対象をA~Jの10区域に分け物流施設や工場、事務所、研究施設の誘致を想定している。調査終了後に募集の内容や区画、支援策を検討し、早ければ年内に事業者公募手続きに入る方針だ。
 市は北東北エリア全体をカバーする新たな物流拠点として、市街地に近く交通環境も整っている永井地区を有力候補地に挙げている。対話調査では、開発スピードで優位な民間施行を想定し、施設整備の規模や内容を進出意向がある事業者に聞く。
 対象は盛岡南ICに最も近いA(面積8・3万平方メートル)~盛岡貨物ターミナル駅に近接するJ(4・2万平方メートル)の10区域。最大面積は盛岡南公園の北側に位置するDで17・6万平方メートルに達する。現状は田畑が多いものの、C(12・8万平方メートル)やH(4・6万平方メートル)など一部は住宅が立地し、移転交渉を伴う用地買収が必要になる。
 対話調査は20日まで質問書をメール(sinsangyoukyoten@city.morioka.iwate.jp)を受け付ける。回答を8月3日に市が送付。参加申込書の提出は同24日が期限になる。ヒアリング期間は9月30日~10月13日で、終了後に結果を公表する。
 事業実績や整備内容、インフラ整備の要望、既存住宅の取り扱い、収支計画、事業スケジュール、市への要望などを踏まえ、公募条件などを整備する。
 市がまとめた基本計画によると、大規模物流拠点が整備できた場合の経済波及効果は577億円、雇用誘発効果は5400人と見込む。北東北の物流を支えるだけでなく海外への物資輸送や災害時の緊急対応拠点としても機能すると見る。
 条件が整えば年度内に開発事業者の募集手続きを開始し、来年4~8月に進出予定者を選定する。都市計画法などに基づく土地利用の変更手続きなどを経て、2025年秋以降の開発着手を目指す。



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埼玉県春日部市/新庁舎建設現場の仮囲いにクレヨンしんちゃん、施工は大林組JV

 埼玉県春日部市の「春日部市新本庁舎建設工事」の現場仮囲いに、同市『特別住民』のクレヨンしんちゃんのイラストを用いた工事看板が設置された。5日に現地で関係者らによる除幕セレモニーが開かれた=写真。岩谷一弘市長は「本市の子育て支援のイメージキャラクターでもあるクレヨンしんちゃんのイラストを用いた工事看板を設置していただき、施工者に感謝申し上げる」とあいさつした。
 施工は大林組・東武建設(栃木県日光市)・正和工業(埼玉県春日部市)JVが担当する。基本・実施設計は久米設計。2024年1月の開庁を目指している。岩谷市長は「現本庁舎は1970年の完成で旧耐震基準期の建物であり、防災拠点となる新庁舎の整備が待たれている」と期待した。
 セレモニーには岩谷市長のほか、施工者を代表して多尾田望大林組常務執行役員関東支店長、飯野秀夫東武建設社長、横田生樹正和工業社長も参加。地元の春日部市立上沖小学校の児童も招かれ、岩谷市長から記念品としてクレヨンしんちゃん関連グッズが贈られた。



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2022年7月5日火曜日

国交省、農水省/10月に労務費調査実施、賃金3%上昇の成否占う

 国土交通、農林水産両省は10月時点で技能労働者に支払われる賃金を調べる「公共事業労務費調査」の実施内容を公表した。昨年度と同じく書面調査を原則としつつ、来年度の本格導入を見据えオンライン調査を一部工事で試行。調査票の回収率や無効標本の棄却率の改善につなげ、賃金水準を正確に把握する。斉藤鉄夫国交相と建設業主要4団体が2022年の賃金上昇率の目標として「おおむね3%」の実現に取り組むことを申し合わせており、本年度調査はその成否を判断する最重要指標となる。
 調査結果は公共工事の積算に用いる「設計労務単価」改定の基礎データとなる。両省や都道府県、政令市、独立行政法人が発注した1件当たり1000万円以上の工事から約1万件を抽出し、積算に用いる51職種ごとの賃金実態をまとめる。標本数が少ない38職種は9月分も調査する。
 9月に入ってから約2万の調査対象業者に通知する。技能者数にして約11万人を想定。うちオンライン調査は地域ブロック単位などで構成する各地方連絡協議会で最低10工事を選定し計100工事以上で試行する。
 コロナ禍以降は調査方法を対面から書面送付に切り替え、電話での聞き取りを組み合わせ運用。来年度以降は書面送付を廃止しオンラインシステムを用いた回答記入に変更する。システムは構築済みで、本年度はトライアルとして調査票の提出、管理、審査を円滑に行えるかどうか確かめる。
 オンライン化でさまざまな手間や拘束時間が省かれ、一人親方などからの回収率アップが期待できる。システムは誤記入のチェック機能もあり書類不備の削減にもつながる。無効標本の棄却率は改善傾向だが昨年度で22・3%あった。
 調査票も一部変更し、元請会社から技能者に直接支払われる手当の受け取り実態を把握する記入欄を新設。下請会社を通さない手当は賃金台帳に記載されないため別途確認する。建設キャリアアップシステム(CCUS)が浸透し、技能レベルに応じた手当支給の動きが広がっていることが背景にある。



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全管連/長野県軽井沢町で総会・全国大会開く、時代に合わせた改革を

 全国管工事業協同組合連合会(全管連、藤川幸造会長)は4日、長野県軽井沢町の軽井沢プリンスホテルウエストで第62回通常総会と2022年度全国大会を開いた。総会で本年度の事業計画と予算を承認。全国大会では本年度のスローガンを「業界の力で災害時に届けよう『命の水』」「行政・消費者と連携し悪質業者を排除しよう」「処遇改善と働き方改革で魅力ある業界を作ろう」に決めた。
 全国大会の冒頭、藤川会長は「今年は3年ぶりに全国大会が再開できることをうれしく思う」と述べた。コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻で食糧やエネルギー供給が世界的に不安定な中、「管工事業界も景気の下振れが懸念される。技術者・技能者不足など、人材確保と育成が建設産業の構造的な課題となっている」と説明した。
 会員数の減少については「国民のライフラインを支えるためにも、若い人が管工事業界に入職し、技術・技能を身に付ける流れを定着させることが必要だ」と訴え、「入職促進には給与水準の引き上げや週休2日制の定着が必要」と指摘した。若年層が将来設計を持てる魅力ある業界への発展に尽力し「時代に合わせた組織改革を行う」とした。
 悪質業者による高額請求や不要工事の強要が社会問題化している現状にも言及。「PRちらしやポスターに悪質業者に対する注意喚起を盛り込むなど、広報の強化に努める」とし「国や関係機関に積極的に働き掛ける」と今後の展望を述べた。



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関東整備局荒川調節池工事/あらいけDX体験館がオープン、3D模型やVR活用

 関東地方整備局荒川調節池工事事務所は、建設DXの取り組みを紹介する「あらいけDX体験館」を設置し、7月に見学者の受け入れを始めた。荒川第二・第三調節池の事業区域を一望できる二池見晴台の隣に整備したDX体験館では、3Dプリンターで作成した調節池の模型などを展示。VR(仮想現実)やAR(拡張現実)を活用し、調節池整備事業を知ってもらうコンテンツも用意した。
 あらいけDX体験館は、さいたま市桜区下大久保の国道463号羽根倉橋のたもとに設置した。JR西浦和駅から車で20分程度に位置する。同事務所が取り組む建設DXの内容を紹介しているほか、今後は工事の進展に合わせてコンテンツの充実も図っていく予定だ。
 見学は10月までの毎月第2・4水曜日。最大20人の団体だけで個人の来場はできない。見学希望の場合は同事務所ホームページ(https://www.ktr.mlit.go.jp/araike/koho/shisatu.htm)から申し込む。



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鉄建建設/坑内自動運転バッテリー機関車を公開、AIカメラで障害物判別

 鉄建建設は6月25日、東京都北区の地下で掘進中の配水管用トンネル坑内で、無線LANとAIカメラを用いてバッテリー機関車が無人で自動走行する様子を公開した。セグメントを運ぶ台車を牽引(けんいん)する機関車に装備した高精度のAIカメラが、走行の支障となる人や物を判別して注意喚起や自動停止を行う。当日は地下約33メートル、坑内入り口から約650メートルの地点で機関車を試走させ、運転の精度を確かめた。
 バッテリー機関車の運転を無人化し、長距離の狭い空間で作業員の安全確保と生産性向上を図るのが目的。鉄建建設によると、トンネル坑内で無線LANを使った自動運転システムは業界初という。
 導入現場は北区王子5丁目と同区昭和町3丁目をつなぐ約2キロの配水管用トンネル。内径は1850ミリの小断面で、現在約830メートルまで掘り進めた。シールドマシンがある区間とそこまでに至る区間で計2台の機関車を運用する。
 試走では狭く照明も限られる坑内を機関車が自動走行して、レール上に残る作業員を検知すると、赤色灯を回転させて警告し数メートル手前から徐行運転を開始。作業員が退避しない場合は自動停止した。スチール缶のように動かない障害物では検知後にゆっくりと停止した。
 無線LANユニットは側壁に約100メートル間隔で設置されており、GPS(衛星利用測位システム)が届かない地下深くでも、地上の現場事務所にある制御室で現在位置と進行方向をリアルタイムに把握できる。車体前後に取り付けたカメラの映像も同時送信する。
 開発した同社土木本部機電部部門長の谷崎英典部長は「トンネル断面が大きく作業員と機関車のルートを完全分離し、監督官庁の承認を得られれば、さらに速い運転が可能になる。より性能を発揮できる」と話す。一方で急カーブの走行などには改良の余地があるという。
 機関車は今後、大阪府内のシールド工事の現場でも導入予定。将来的には通信環境を生かし、ウエアラブル端末による作業員の健康状態の監視なども検討している。



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東京建物ら/大分市の小学校跡複合施設、総延べ1・9万平米を西松建設JVで着工

 東京建物ら3社は4日、大分市の「荷揚町小学校跡地」に計画する複合公共施設の建設工事に着手すると発表した。同社を含む3社の特別目的会社(SPC)が公共複合施設など3棟を計画。総延べ床面積は約1・9万平方メートルを見込む。設計は久米設計・俊設計・大有設計JV、施工を西松建設・梅林建設JVが担当する。2024年4月の開業を目指す。
 計画地は荷揚町32ほか(敷地面積約9900平方メートル)。大分市が公募した「荷揚町小学校跡地複合公共施設整備事業」で、事業者の選定を受けた九州電力と東京建物、日本管財(兵庫県西宮市、福田慎太郎社長)の3社がSPCの「大分荷揚リンクスクエア」を設立。施設整備を推進する。
 複合公共施設はS造7階建て延べ約1万0200平方メートル、350台相当を収容可能な立体駐車場棟がS造6階建て延べ約7700平方メートルの規模。民間施設はS造2階建て延べ約1000平方メートルを見込む。
 複合公共施設には災害対策本部や県内の全消防本部が共に運用する消防指令センター、大分中央公民館などが入る予定。同一敷地に計画する民間施設は飲食店や物販店を組み合わせた立体交流広場を想定する。
 施設は中間免震などを採用し、防災拠点として優れた耐災害性能と事業継続性を両立する。環境にも配慮し、建築環境総合性能評価システム(CASBEE)の「Sランク」と「ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)Ready」の認証取得を目指す。複合公共施設を通じ、SPCは大分市から脱炭素社会の取り組みを発信する。



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2022年7月4日月曜日

国交省/JIS改正見据え生コン情報電子化試行、民間向け指針も検討

 国土交通省はコンクリート工の生産性向上策の一環で検討している生コン情報の電子化で、直轄工事での試行を近く始める。関東地方整備局発注工事のうち既契約を含めた複数案件を対象とする予定だ。生コンの仕様や配合、製造などの紙伝票を電子データに切り替え、施工や品質管理を含めた関係者間のやりとり時間の削減や手戻り防止に役立てる。2023年度末に電子化に対応する形でJIS改正を想定。民間工事も対象に運用ガイドラインを検討する。
 有識者会議「コンクリート生産性向上検討協議会」に設置した「電子媒体化ワーキンググループ」の会合を6月30日に開き、直轄土木工事を対象とした試行要領を決めた。日本建設業連合会(日建連)が参加するコンソーシアムが内閣府の官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)を活用し開発した「クラウド共有型コンクリート品質管理システム」を用いる。
 同システムは生コンの製造、出荷、現場の受け入れ、施工、品質管理の記録をすべてクラウド上に保存。生コン工場の出荷状況や施工現場の打設状況を「見える化」し、供給者と受注者、発注者の3者がリアルタイムで確認できる。生コン車の到着に合わせた現場打ち作業の調整に役立つなど施工者側の利点も大きい。
 生コン工場がシステムの導入主体になるが、現状では導入実績が全国で1割に満たない。直轄の試行工事では受注者が調達先の生コン工場に導入状況を確認。未導入の場合は各工場や、地区別に加入する協同組合からシステム導入の了承をもらう。
 関東整備局でのスポット的な試行で実用性を検証し、23年度は試行拡大を視野に入れる。将来的に直轄土木だけでなく民間建築などに適用を拡大したい考え。同システムを用いた施工管理ガイドラインを検討し、誰もがシステムを導入、運用できるようにする。



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首都高技術センター/都内に「イノベーションハブ」開設、異業種交流推進

 首都高速道路技術センター(大島健志理事長)が東京都港区の本部に異業種交流拠点「イノベーションハブ」を開設した。先進技術の開発などを手掛けるスタートアップと情報共有し、高度な技術開発などにつなげる。コロナ下で対面が難しい遠方の企業とはウェブ形式による面談も可能にする。
 イノベーションハブは、本部が入居する虎ノ門PFビル(港区虎ノ門3の10の11)の1階に開設。室内に設置した大型モニターは、参加企業の取り組みをプレゼンテーションする場合に使用する。自由闊達(かったつ)に意見を出し合える空間を生み出している。同センターらが開発したいち押し技術もパネル展示するなど、スタートアップや異業種連携の促進につなげる工夫を施している。



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三井住友建設/別埜谷橋(徳島)がfib審査員特別賞受賞、独自性・耐久性を評価

 三井住友建設が施工した徳島県阿波市にある徳島自動車道の別埜谷(べっそだに)橋が、国際コンクリート連合(fib)の審査員特別賞を受賞した。鉄筋など腐食する部材を使わない「超高耐久橋梁」を適用。高速道路橋として世界初という高い独自性が評価された。6月15日にノルウェーの首都オスロで開かれたfibコングレスで表彰を受けた。
 別埜谷橋は土成IC~脇町IC間に位置し、2020年12月に完成した。超高耐久橋梁は、西日本高速道路会社と共同開発。鉄筋やPC鋼材などを使用せず、高強度繊維補強コンクリートなどを用いて腐食劣化の可能性を排除した。構造物の耐久性を向上し、将来の維持管理の負荷低減を図れる。
 fibコングレスは4年に1回開催しており、独自性を認めた構造物に「審査員特別賞(Exceptional Recognition prize)」を授与している。



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日建リース工業/盛り替えなしに養生設備や足場せり上げ可能なシステム開発

 日建リース工業は、部材の盛り替え作業をせずに養生設備や足場のせり上げが可能なユニットシステムを開発した。生産性向上やクレーン占有時間の削減などにつながる。高層建築物の建設現場に展開する。足場ユニットと養生ユニットがあり、初弾として養生ユニットを埼玉県川口市の現場に導入した。全国20件程度の採用が決まっているという。
 連層足場用ユニットシステム「UDシステムダーウィン」は、同社と東都機材、信和が昨夏に共同開発した。主材となる支柱や回転式の荷重支持材(回転ブラケット)、壁つなぎ材(回転アーム)などで構成。盛り替え時は回転ブラケットを回してから、クレーンなどでつり上げる。
 くさび緊結式足場「ダーウィン」との組み合わせで隙間の無い作業床が構築できる。RC造やS造、SRC造などさまざまな構造に対応可能。途中階での継ぎ足しも容易で、解体工事で徐々に下げながら利用することもできる。
 川口栄町3丁目銀座地区市街地再開発組合(田中宣充理事長)が埼玉県川口市に建設している再開発ビルで、施工を手掛ける前田建設・埼和興産JVが連層養生ユニットを導入した。高層棟の外周を囲むように、5・5フロア分のユニットを利用している。日建リース工業が見学会を開催。前田建設の木村直史統括所長は、労働人口の減少などを踏まえ「既成概念を崩して意識を変え新しいものに挑戦してほしい」と述べた。日建リース工業の金子弘副社長執行役員営業本部長は「新しい形の足場を創造する商品」と説明した。
 再開発ビルはRC・S造地下2階地上28階建て延べ6万6683平方メートルの規模。共同住宅や店舗、事務所などが入る。参加組合員は野村不動産。設計・監理はINA新建築研究所が担当する。工期は2023年3月22日まで。



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千葉市/中央コミュニティセンター減築改修基本設計、優先交渉権者に山下設計

 千葉市は、老朽化した建物を減築するとともに大規模改修する千葉中央コミュニティセンター(中央区)の整備事業について、基本設計業務の委託先を選定する簡易公募型プロポーザルで優先交渉権者に山下設計を選定した。案件名は「千葉中央コミュニティセンター減築大規模改修基本設計業務委託」。6月30日に特定結果を明らかにした。委託限度額は2億0812万円(税込み)に設定していた。履行期間は240日間。
 千葉中央コミュニティセンターの所在地は千葉港2の1。千葉都市モノレール・市役所前駅を挟んで建設中の市役所新本庁舎の向かいに位置する。敷地面積8244平方メートル。規模はSRC造地下3階地上10階建て延べ5万1184平方メートル。庁舎、コミュニティー施設、プールなどの機能がある。設計は富家建築事務所、施工は大成建設、竹中工務店。1974年9月に竣工した。
 更新期を迎え、減築することで耐震性を確保し、大規模改修によって長寿命化することにした。市は1万1000平方メートル以上の庁舎、1000平方メートル以上のコミュニティセンター、1300平方メートル以上の屋内プール、5000平方メートル程度の駐車場の整備を計画。地上4階以下、地下3階までに設定している。
 技術提案書によると、山下設計は地下2階とピット、地上4階までとするゾーニング案や、コスト・環境の総合性能に優れたストックとすること、エネルギー消費を75%以上削減する千葉市初の「ストック型 Nearly ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」を目指すことなどを提案した。既存のプールの上階の体育館に続いて高層部を解体する減築手法、環境配慮技術を可視化し環境ミュージアムとすることなども提案した。基本設計は市と協議していく。今のところ2022年度に基本設計、23、24年度に実施設計を行い、25年度の工事着手を予定している。



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2022年7月1日金曜日

建退共本部/CCUSと就業履歴データ連携強化、元請・1次下請も直接活用可能に

 勤労者退職金共済機構(勤退共)の建設業退職金共済事業本部(建退共本部、岸川仁和本部長)は、建設キャリアアップシステム(CCUS)のデータを活用した電子申請による掛け金納付を行いやすくする。建退共の「就労実績報告作成ツール」にCCUSから技能者の就業履歴データを取り込む作業を効率化。現在は被共済者(技能者)を直接雇用する下請事業者が作業しているが、新たに元請や1次下請が下位下請分も一括処理できるよう見直し、多くの下請の事務負担を減らす。9月から本格運用に乗りだす。=2面に関連記事
 6月30日に東京都内で開いた第48回運営委員会・評議員会で、電子申請の掛け金納付方式について運用状況を報告した。5月末時点で8766社が電子申請方式の利用契約を締結。利用率は掛け金納付額ベースで1・6%になる。
 建退共本部は建退共制度の適正な履行確保に向け、電子申請による掛け金納付の利用増加を掲げる。従来の証紙貼り付け方式に比べ退職金の積み立てや給付の徹底、事務作業の合理化を見込む。当面の目標値として利用率10%達成を目指す。その一環で電子申請と一体運用しているCCUSとのデータ連携のさらなる強化に取り組む。
 現在は建退共の「電子申請専用サイト」に送る被共済者の就労状況を電子データでまとめる際、CCUSに蓄積された技能者の就業履歴データを取り込むことで入力・確認作業を効率化している。ただ被共済者の直接雇用主しかこの作業ができないシステムとなっており多くの下請事業者に事務負担が生じている。そこで元請や1次下請が下位下請で働く技能者の就業履歴データをCCUSから一括し取り込めるようシステムを改修する。
 この新たな仕組みを利用しようとする場合、あらかじめ現場単位で元請もしくは1次下請のいずれかがCCUSの就業履歴データを一括し取り込むか選択する必要がある。それをCCUSに登録した翌月から利用できる。例えば8月分のCCUSの就業履歴データは9月10日以降に取り込めるようになる予定だ。
 CCUSで漏れていた技能者の就労履歴を建退共の就労実績報告作成ツールで補正した後、元請からCCUSにデータ送信する仕組みも整備する。
 建退共の電子申請利用手続きも簡素化。今月から新規の建退共加入者に対し、加入と同時に電子申請専用サイトのログインに必要なIDと初期パスワードを発行する。



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熱海土石流災害から1年/国交省直轄の緊急砂防工事進む、9月にも本堰堤完成へ

 静岡県熱海市で発生した大規模な土石流災害から3日で1年がたつ。国土交通省直轄施工の緊急的な砂防工事が行われている現地では、新たに造る本設の砂防堰堤の建設工事が急ピッチで進む。この1年で被害拡大の要因とされる不適切な盛り土に厳しい目線が向けられ、法改正につながるなど盛り土規制の在り方も大きく変わった。=2面に関連記事
 国直轄の緊急的な砂防工事は大成建設が施工を担当。作業時の安全確保を目的に無人化施工を駆使し、24時間態勢で速やかな復旧に取り組んでいる。
 これまでに再度災害の防止措置として仮設ブロック堰堤の設置や既設堰堤の堆積土砂の撤去などが完了。新設堰堤の建設に3月着手し、6月30日時点で6メートルの高さまでコンクリートを打設した。
 最終的には高さ13メートル、幅59メートル、施設効果量1万0800立方メートルの規模を予定。本堰堤を9月中旬にも完成させ、副堰堤や垂直壁の施工を経て年度末までの完成を目指している。



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安藤ハザマ/AIで画像・文字認識、コンクリ打設の数量・時間を自動管理

 安藤ハザマは6月30日、AI技術を用いてコンクリート打設の数量管理と時間管理を自動化するシステムを開発したと発表した。ICTツールを活用して打設の省人化と品質管理の両立を目指す。画像・文字認識システムにより納品書の記載内容や生コン車の打設開始・終了の時刻を、人手を介さずに電子データ化しクラウドに送って統合処理する。打設数量を適切に把握し、戻りコン削減にもつなげる。
 ビッグデータ解析などを手掛けるAvintonジャパン(横浜市西区、中瀬幸子社長)が保有する端末内で円滑にAI処理する技術を活用した。システムは入場口と打設箇所のカメラ、納品書を集める場所のタブレット端末の計3カ所で情報を取得。到着した生コン車の到着時刻や積載数量など計八つの情報を画像データから読み取り、クラウド上で統合する。工場ごとの打設数量や各車の打設ペースなどをまとめて管理、把握できる。
 関係者はデータや現地画像が場所を問わず確認でき、打設管理帳票なども自動作成する。従来の納品書管理を生かすため、工場側の新たな設備導入も不要という。
 これまでに大型ケーソン工事での打設に適用。1回当たり4台のポンプ車を用いる現場で、従来に比べ車両ごとに配置していた専任管理者が必要なくなり、戻りコンの量を約6割減らしたという。
 今後は上下水道施設やポンプ場など、1回当たりの打設量が多い工事に広く展開する。既に安藤ハザマが保有する生コン車の位置情報確認や締め固め自動判定といった技術と連携させ、より省力化できる総合的な生コン管理システムに発展させたい考えだ。



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住友生命・福岡地所/天神のビル共同建替、延べ4・2万平米・25年5月完成へ

 住友生命保険と福岡地所(福岡市博多区)は、福岡市中央区天神で計画するビル共同建て替えプロジェクト「(仮称)住友生命福岡ビル・西通りビジネスセンター建替計画」の概要を発表した。事務所や店舗、駐車場で構成し、規模は地下2階地上24階建て塔屋2階延べ約4万2000平方メートル。設計は日建設計と竹中工務店が担当。施工も竹中工務店が担当する予定。2025年5月の完成を目指す。
 建設地は天神2の148ほか(敷地面積約2820平方メートル)。「天神二丁目南ブロック明治通り沿道地区」として地区計画が決定されている。既存ビルの解体工事は竹中工務店で進めている。工事期間は12月末まで。
 新たなビルの建築面積は約1890平方メートル、建物高さは約113メートル。市が進める「感染症対応シティ」などの取り組みを実施することで市のビル建て替え誘導プロジェクト「天神ビッグバン」の容積率緩和措置(天神ビッグバンボーナス)の適用を受ける。
 感染症対応シティの取り組みでは基準階の事務室から直接出入りできるバルコニー、先行予約システムによる非接触エレベーター呼び出しなどを導入。魅力あるデザイン性に優れたビルとして屈曲した道路の正面にはテナントが自由に使えるバルコニーを各フロアに設ける。
 地下広場のベンチや仕上げ材には木材製品を取り入れ、敷地の東側には大きなピロティ空間、西側には大きな庇(ひさし)がある広場空間を設ける。



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千葉県鉄筋業協組/東総工高(旭市)、京葉工高(千葉市)で出前講座開く

 千葉県鉄筋業協同組合(樋脇毅理事長)は、6月28日に千葉県立東総工業高校(旭市)、同29日に同京葉工業高校(千葉市稲毛区)で「企業技術者による鉄筋組立講習会」を行った。高校生向けの出前講座で建設業への理解を深め、職業観や勤労観を養ってもらうのが目的。組合員の技術者が講師となり、生徒たちに2級鉄筋施工実技試験の構造物を課題にした実習や、圧接・機械式継ぎ手の施工体験に取り組んでもらった。実習は組合員の企業に所属する卒業生が手伝った。
 東総工業高校は建設科の3年生37人、京葉工業高校は建設科の38人が参加した。講師に習って鉄筋の結束の基礎を学んだり、結束作業を行ったりした。講師が課題を仕上げるデモンストレーションも披露。鉄筋工事で心掛けていることや、現場での職人の過ごし方などを話しながら行った。
 京葉工業高校の講習会の冒頭、黒川康宏校長は「現場の方から講習を受けられるのは幸せな機会。この講習で興味を持った生徒が3月に卒業し、鉄筋工事会社に就職した。建物ができると鉄筋は見えなくなってしまうが、責任のある誇りの高い仕事。話しを聞いて有意義に過ごしてほしい」と生徒に話した。
 樋脇理事長は「関係者のご理解で11回目を開催できた。鉄筋はコンクリートに隠れてしまうが、縁の下の力持ちとして建物を支えている。この仕事の重要性を次代を担う皆さんに伝えたい。現場に出ている職長、卒業生が来ている。私たちの仕事への理解を深めてもらいたい」とあいさつした。
 京葉工業高校は複数の職種の講習会を行っており、鉄筋の回数が最も多いという。



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