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愛知県は4日、「三郷駅前地区市街地再開発組合」の設立を認可した。名古屋鉄道瀬戸線三郷駅前(尾張旭市三郷町栄)に再開発ビル3棟を整備する事業。施行期間は2029年3月末まで。三郷駅前市街地再開発準備組合(秋田昌彦理事長)が4月3日に認可申請を提出していた。26日に準備組合の解散と本組合の設立総会を開く予定。
第一種市街地再開発事業で、駅南側の約1・1ヘクタールにA~Cの3棟(延べ約3万~3万3000平方メートル)を建設する。A棟には共同住宅や商業施設、公共施設が入る。B棟には商業施設や駐車場、駐輪場、C棟は商業施設を備える。南口駅前広場も整備する。事業協力者は三菱地所レジデンス・フージャースコーポレーションJV、一般業務代行者はアール・アイ・エー・オオバJVが担当している。
市は都市計画マスタープランで同駅周辺を「活力拠点」に位置付け、交通結節機能や商業機能の強化などを目指している。再開発ビルに入る市の公共施設の機能は今後、詳細を検討する。地域交流やにぎわいの促進に貢献する機能を導入する予定。
再開発に合わせ、市の事業として駅舎改修や自由通路整備も行う。南北の歩行者動線を確保し、アクセス性の向上を図る。将来的には駅北側の広場などの整備も計画している。
神戸市は、動物園やスポーツ施設などを備える「市立王子公園」(灘区王子町)の大学誘致に向けた公募で、学校法人関西学院(兵庫県西宮市)を優先交渉権者に選定した。同公園の再整備に伴い、現「王子スタジアム」がある園内東側敷地(約3・5ヘクタール)に大学を設置・運営する。六甲山など緑豊かな景観と調和、公園と一体化し、街に開かれたキャンパスをコンセプトとする。2029~31年ごろの開設を目指す。
大学の設置・運営に当たって、土地は市が有償で譲渡する。公募段階の譲渡予定価格は100億円(1平方メートル当たり約28万5000円)としていた。
提案概要によると、設置大学の名称は「関西学院大学王子キャンパス」。教育コンセプトとして、予測困難なVUCA(変動・不確実・複雑・曖昧)の時代を前向きに、他者や異分野と協働して地域や世界の課題解決に取り組み、イノベーションを起こす人材の育成・輩出を目指す。
キャンパス規模は学生数が約4000人、教職員が約200人を想定。キャンパスをイノベーションエコシステムのハブに位置付け、国際性を豊かに持つ教職員と学生が産官学民で起業支援などの取り組みを展開する。多世代が気軽に訪問できる空間として、地域住民や公園利用者などにキャンパス内の諸施設を開放する。
景観面では、緑豊かな六甲山系の山並みと調和したランドスケープや校舎配置を計画する。中庭などの外部空間を開放し、公園利用者や地域住民が気軽に訪問できる空間を提供。食堂やテラス、オープンラボなどの諸施設も一般開放する。
市と優先交渉権者で覚書を交わした後、事業実施計画の策定し基本協定を結ぶ予定。都市計画の変更手続きを経て、土地譲渡契約を締結、市議会の土地処分議決後に土地を引き渡し、キャンパス整備工事に着手する。
国土交通省の防災・減災対策本部(本部長・斉藤鉄夫国交相)は28日に東京都内で会合を開き、2023年度の「総力戦で挑む防災・減災プロジェクト」を決定した。切迫する南海トラフ地震や首都直下地震といった大規模地震対策への支援を充実。ハード・ソフト両面から総合的に展開する。デジタル技術を最大限取り入れた防災・減災対策も一段と推進していく。
会合で斉藤国交相は大規模地震対策の必要性に触れ、9月に関東大震災から100年を迎えることにも言及。夏にまとめる24年度の予算概算要求や税制改正要望を視野に入れ「できる限り支援施策を前倒しで実施する。防災・減災プロジェクトのさらなる充実、強化を図る」と指示した=写真。
首都直下地震を念頭に大規模地震対策を進める。地方自治体に補助金を出し、密集市街地にある沿道建築物の不燃化や老朽建築物の除却を推進。民間事業者には帰宅困難者受け入れ施設の整備を促す。エレベーターの閉じ込め対策として、ダンパーの設置やリスタート運転機能の追加にかかる費用も補助する。
ソフト面では自治体に「事前復興まちづくり計画」の策定を促進。23年度末までに同計画づくりの参考となるガイドラインを策定し公表する。
防災・減災対策の全般でデジタル技術を最大限活用し、より効率的で高度な施策展開を目指す。遠隔操縦で管内を巡視できるドローンや、AIがカメラ画像を解析し浸水範囲を抽出する自動判読技術などの導入を想定。自治体には3D都市モデル「プラトー」の活用も推奨し、3D点群データで把握できる地形状況などを参考に災害リスクの高い地点から優先的に対策できるようにする。
熊本市は市電の熊本市民病院方面(東区東町)への延伸計画について、全線複線で想定していた延伸区間(約1・5キロ)の約3割を単線化する考えを示した。用地取得の範囲を縮小して事業費を抑え、早期の延伸実現につなげる。今後、2020年度にまとめた延伸の基本設計の見直しに着手。年度内に市議会で延伸方針が承認されれば、市は24年度にも実施設計を行い、早ければ29年度に一部区間で先行開業できるとの見通しを立てている。
延伸ルートは現在の終点・健軍町電停(東区若葉)から県道28号熊本高森線上を約490メートル東進。東野一丁目交差点で北側に進路を変え、熊本市民病院付近まで直進する。熊本市民病院付近を含めて新たに4カ所の電停を設ける。
単線化の方針を示したのは複線の用地確保が難しく、延伸の障壁となっていた県道28号上の区間。健軍町電停付近と東野一丁目交差点付近を除いた約430メートルを単線で整備する。
全線複線案では道路幅が広く用地取得がしやすい熊本市民病院側から先に整備する考えもあったが、路線が分断されることが課題となった。市の木村仁洋移動円滑推進課長は「単線であっても既設路線をそのまま延伸させるだけなので、一部区間での先行開業が可能といったメリットがある」と話している。
20年度の基本設計で示した延伸全体の概算事業費は約135億円。20年度時点の資材価格などを基準にすると、一部単線化により22億円程度は削減できる見通しだ。基本設計業務を担当したトーニチコンサルタントと近く随意契約を結び、基本設計の修正業務を委託。9月の市議会定例会に最新の資材価格動向を踏まえた基本設計の修正案を提出する。
市は基本設計の修正案が承認されれば、市民の意向を聞き取るアンケートも実施する予定だ。
市電延伸は新型コロナウイルスの感染症対策への集中を理由に議論や実施設計を中断していた。本年度6月補正予算案で市電延伸調査の関連経費として総額4700万円を計上。内訳は基本設計修正3370万円、軌道運送高度化実施計画1000万円、都市計画図書作成330万円。
近畿大学医学部・付属病院(大阪府大阪狭山市大野東)を堺市南区三原台へ移転する計画で、大阪狭山市は2022年8~10月に現病院などの跡地約28ヘクタールの土地利用案について、民間企業への聞き取り結果を3案に集約し、取りまとめた。3案とも後継病院を置くとし、住宅系を中心に福祉・商業系を複合する案や、商業・産業・流通系を導入する非住居系案、商業・住居系に文化・交流系を加える案に収れんした。10月までに後継医療法人と土地取得者が決まり、手続きなどを経て25年度にも開発が始まる見通し。
跡地は、現在の付属病院があるAブロック(約10ヘクタール)と、Aブロック南側隣接地で緑地が広がるBブロック(約5ヘクタール)、Bブロックの西隣のCブロック(約11ヘクタール)で構成する。
民間企業への個別の聞き取りには、デベロッパー4社とゼネコン3社を含む9社が応じた。このうちデベロッパー3社とゼネコン2社を含む6社が土地利用に関する提案を提出した。
3案のうち、住宅系を中心にする案は、Aブロックに後継病院とサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)、福祉系を、Bブロックには一戸建て住宅などと商業系を、Cブロックには公園、レクリエーション系、一戸建て住宅などを想定。
非住居系案では、Aブロックに後継病院と商業・産業系を、Bブロックには商業・流通系、Cブロックに公園とレクリエーション系を配置した。文化・交流系導入案は、Aブロックに後継病院と住宅・福祉系を、Bブロックに文化・交流系と商業系、Cブロックには公園とレクリエーション系、一戸建て住宅を計画する。
3案とも事業化した場合の効果として、▽後継病院での医療サービス継続▽居住人口や交流人口の増加▽商業施設や福祉施設の立地による利便性向上▽地域公共交通の活性化-などが見込めると指摘。
今後の課題として、土地利用規制の秩序ある緩和や、PPPによる都市計画道路の整備など交通環境改善には「行政の取り組みが不可欠」としている。